運がいいなとは思っていたんだ
「この夏、エオが神様に見えていたのは間違いない」
「「「「「うんうん」」」」」
見てほしい。
左からケイ、チェシェ、クレナ、ウル、バズウ、ニバ、ナル、グラン。
大所帯に囲まれ。
僕はみんなに詰められている。
⋯⋯というのは冗談で。
この圧しつぶされそうな気迫。
実際褒められているのだから、わざわざそんな言い方をする必要はないんだけど。
面子だけでもかなり豪華なのは見て分かる。
「エオがほら、祈りだしてからだよね?」
「あぁっ、確かにな!」
ニバとバズウが理解し合っている。
バズウ、こんなに立派になって。
最初は畑いじりすら上手くできなかったのに。
⋯⋯感動で涙が。
「とりあえずウチの頭がとてつもないなんかを持ってるのはよく分かった」
「ケイ、それはあの時から既にわかっていた事でしょう?
クレナも私も、前頭も⋯⋯この独特な雰囲気に」
なんかケイたちが言ってる。
「エオはいつもそうだぞ?」
「⋯⋯グランはなんで僕を守ってるようで攻撃に転じてるの?」
え?僕がおかしいのかな?
今なんか攻撃された気が。
「ダンライオス⋯⋯ねぇ」
全員からニヤニヤされる僕。
──分かってるよ!
似合わないよね!?
僕だって思うよ!
神様って言われて困惑してるんだから!
大体神様ってなんだろう?
⋯⋯そう思ってわざわざ本を漁ったり情報を集めてみたんだ。
結果分かったのは、どうやら色んな事を知っていて、色んな力を持ってる"特定の存在"を指している事⋯⋯ということが分かった。
でも僕はそれで言うと違うと思うんだけどなぁ。
「⋯⋯畑見に行く」
「あーごめんごめん!な?」
悲しいお知らせ。
⋯⋯みんなが僕をいじめる。
*
「いやー、本当畑増えたなぁ」
そんないつもの面子で畑の確認。
主に育てているのは、現在オコン、トメモを始め、新たに今品目が増えている最中だ。
「あ、エオ様!」
「様はいらないんだけどーあはは」
お辞儀をして色々連れてくる彼は、フギンさん。
この第一号畑を見てくれている人だ。
僕があまりに働くものだから、みんなに代理を立てられた結果だ。
ドン・ゴの元で書紀をやっていて、この南の中では有名な学者さんらしい。
「調子はどう?」
「バッチリです!
教えていただいたやり方で現在、更に収穫量が増えつつありますし⋯⋯」
と、フギンさんが一つ持ってくる。
トメモよりは少し小さいけど、丸くて美味しそうだ。
「今では半分別のベールンという食物を育てている最中です。
そしてこれがかなり大きく進化しました」
「ベールン」
聞けばどうやら僕の案とフギンさんの中間を取った食物のようで。
「はい、どうやら水分を多く含んでおりまして、少しいわゆる甘みが──ああっ」
「うんんっ!ウメェじゃん!」
フギンさんから強奪して齧るのはグラン。
それを見てバズウやウルも続く。
⋯⋯ウル。
君だけだよ。
僕の方を見て"良いの?"と確認をしてくれる子は。
「これ今までなかったってことか?」
あとから届いたベールンを齧るケイが訊く。
「はい。
エオ様の進め方で出来上がった⋯⋯いわば新種と言って差し支えはないかと」
「「「「新種⋯⋯」」」」
またまた視線が僕に集まる。
「何よ」
「お前は天才なのか?エオ」
「グラン、僕は作ってないよ」
「エオ、やっぱりすごい!」
「ニバ⋯⋯僕は何もやっていない」
「凄いです。
今までの食生活は一体何だったのでしょうか?」
「姉様、これって」
「革命が起きるわね、主に取り合いが」
ん?今、聞き捨てはならない言葉が。
「エオ、」
グランに見えないくらい小さく小突かれる。
「なに?」
「そっとしておいてやれ」
思ってる事が顔に出ていたのだろうか。
「なんでよ」
「恐らく言ってることはそっちじゃない」
じゃあどっちよ?
「ん?どういうこと?」
「⋯⋯今やるべきなのは、愛とモテる事についての勉強しておけ、ダンライオス」
「ああっ!また馬鹿にしたな!?」
僕達の大声が響いたのか、畑で働いてる子どもたちが僕の足下にやってくる。
「あっ!ダンライオスだ!」
「いつも森に祈ってくれてありがとう!」
あぁ、こうして僕のことを知ってる子供が増えていくんだね。
「ありがとうね。
これからも僕、頑張るから」
君たちの笑顔は、きっといつか⋯⋯必ず世界を変える力になるから。
「グラン」
「ん?」
「もっと──この笑い声を。
もっと⋯⋯この光景を広げよう南で見ないくらい」
「⋯⋯⋯⋯おう」
少し置いてグランが笑う。
「遂に来たんだ」
目の前のオコンの黄金畑を走る⋯⋯笑う子供達。
「こうして、みんなで力を合わせて、ご飯を食べ。
良い物を創る」
全ての人間が笑えるように。
高められる道を開く為に。
「この南を、」
祈ろう。
僕達がこれ以上間違えないように⋯⋯そうですよね?
"ベルさん"。




