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地獄で生きたければ。  作者: どら焼き戦線バルハザーク
子供編

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11/22

トラブル

 「なぁ、エオ」


 「うん、言いたいことは分かるよ」


 少しだけ時間がたったある日。

 デンデラと僕はいつものように畑を見下ろすと。


 「なんか飛んでるね」


 ブーンって聞こえる。

 なんだろう?


 生き物なのかな?


 「⋯⋯っておい!」


 「うん⋯⋯っ!???」


 僕の目には、ビリッと全身に行き渡る感覚があった。


 そう。


 「葉に穴が開いてる!?」


 よく近づいて見ると、その生き物はどうやら葉を食べているようだった。


 「待って待って!!

 食べないで!」


 多分だけど、植物ってこの葉があって初めて成長するんじゃなかった!?


 食べられたらまずい!


 「デンデラ!」


 「おう!!」


 僕らは一生懸命この飛び回る小さいモノを手でブンブン倒そうとするが、全く倒せそうにない。


 「なんか強い!」


 「あぁ、なんかフッと逃げられる」


 よく見たら、成長している全ての葉を食べられている。


 これは早くしないと、食べられなくなる!


 「グランー!!」


 僕は叫ぶ。

 数秒もしない内に、グランがよくわからない体勢でやってくる。


 「なんだ!?」


 「なんか変な生き物が葉っぱを食べてるんだ!


 この虫を殺してくれないか!」


 「んぁっ!?本当だ!


 おい!この野郎!! 

 俺達の貴重なご飯なんだぞ!!」


 これは僕もいけなかった。

 そのまま気付かずに、人間と小さくて飛び回る謎の生き物との戦いが始まる。


 そうこうしている内に、年長組が騒ぎ立てているから何事かと思ったのか、ドンドン子供達が畑に集まってきたのだ。


 ⋯⋯まぁおかげで、最悪はどうにかなったかもしれない。


 「はぁ、はぁ⋯⋯」


 はぁ⋯⋯。

 本当に危なかった。


 みんなで必死にやった結果、なんとかなったけど。

 

 「なんだよあの生き物、いすぎだろ」


 今まで見たことがなかった。

 なんだあの生き物?


 「ていうかエオの動きサイコーだったよな」


 「あぁ。


 こうやって"あっちいけー!"とか言って全然当たってなかったのおもろすぎ」


 「そんなに変だった!?」


 立ち上がってまで僕の真似をする二人がいたので、ツッコむ。


 「あんなに当たらんの初めて見たわ」


 「よく生き残ってきたもんだ」


 言いたい事ばかり言う二人。

 まぁ⋯⋯言いたいことはわかるよ?


 ──身体が弱いよね!

 けどもうちょっと言い方ってもんがあるんじゃない!?


 「そんな顔すんなよ、エオ」


 「そうだぞー。

 可愛いからイジってやってんだから」


 僕の両肩を叩いて⋯⋯最後にプッと笑われる。


 「嬉しくない」

  

 「「⋯⋯⋯⋯ぷっ」」


 ついに、噴いた。


 「笑ったなぁぁぁ!!」


 そしてそれから少し経った後。

 一人の子供が僕の元にやってくる。


 「ん?オールスか」


 隣にいるデンデラの呼び方で思い出す。

 確か遠征で結果を出さなかったら地獄を見せてやると言われていた子だ。


 「確かウルと一緒に帰ってきてたよね?」


 「は、はい!

 なんとか食料を回収してきました!」


 身体をなんかこう、ガチガチにして挨拶をしてくるので、僕としてはこう⋯⋯モヤっとする。


 ──大人みたいになりたいわけではないからだ。


 「僕にはそんな顔しなくていいよ。

 それで、どうしたの?」


 何かあるはずだけど。


 「いえ、気になった事がありまして」


 「気になること?」


 「畑の方なんですけど、この場所だけ飛ぶ生き物が居なかったんです」


 「飛ぶ生き物がいない?」


 その場にいた子供たちの視線を集める。


 あれ?そうだっけ?

 誰もそんな事言ってなかったような気がするけど。


 「見てください、この場所にだけ、何も食われてないんです」


 その所を見ると、確かに食べる生き物が居ない。


 僕はその隣を見る。


 「いるな」


 でもここには──"居ない"。


 「ちょっと真似してみようか」


 「何がだ?エオ」


 「これと全く同じ感じで隣に置いてみるってこと。 


 もしかしたらこの生き物は"何か意味"があるのかもしれない」


 「ほえー。

 エオ、そんな所見てんの?すご」


 「グランもしっかり考えるんだよー?

 もう僕達が12歳になる時期に入ってるんだから」


 「⋯⋯12歳になったら村に入れないのかな?

 誰も知らないよね?」


 「まぁね。

 12歳になる子供は大人になるからじゃない?」


 「エオ、とりあえず土はそのままでいいのか?」


 もうデンデラがいくつか植えていた。


 「あーうん!」


 「グラン、働けよ〜」


 「やべ、デンデラに怒られる」


 「そりゃ僕に隠れて喋ってるからでしょ」


 「うげー」


 「だから話は戻るけど、僕とデンデラが居なくなったらグランたちが率いて行かないといけない。


 次の頭になる子供たちといい感じにしていく必要があるんだよ?」


 「⋯⋯そんな事言ったってさぁ」


 「僕達はデンデラありきだよ?

 今の内に色々蓄えておかないと」


 「俺も一緒に外に出ればいいのか?

 そうすれば平気?」


 「先生の夜を見たでしょ?

 あんな強力な力を持つ大人達に僕達がまともな力なしに勝てるとは思えない」


 「まぁなぁ。


 てかエオはともかく、デンデラとかどんな力を手にするのかめちゃくちゃ気になってるんだよね」


 キラキラな瞳で僕を見つめるグランを見て、確かにと思った。


 デンデラは今の時点で恐らく夜がなかったら一番強いと勝手に思っている。


 けど、実際は夜によって変化することだって普通にある。


 ⋯⋯ということは?という話だ。


 「なんかまた頭を使う事が増えそうだなぁ」


 「まぁまぁ」


 「おらグラン、てめぇこっち来い!」


 「嫌ですー!」


 「⋯⋯殺すぞ」


 「はい、すみません」


 立ち上がり、グランは悲しい顔をしながらとぼとぼ向かっていった。


 ⋯⋯けど反対の向こうを見ると、いつものように誰かと誰かが喧嘩をしている。


 そう考えたら、僕達は凄く平和で、これはいいのかも知れない。

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