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地獄で生きたければ。  作者: どら焼き戦線バルハザーク
子供編

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10/19

始まり

 昨日は凄かった。

 僕は起きると、縄張りの向こうを見ていた。

 

 これでもかというほど、昨日の戦いの血の痕がそこにはある。


 鼻にはまだ臭いがある。

 死んだ人間の血のニオイだ。


 「⋯⋯仕方なかった、よね」


 内戦はあっという間に終わった。

 ⋯⋯結果はデンデラの圧勝。


 武器を持ったデンデラに誰も敵うことはなく、本当に何かをする度に子供たちは土に倒れた。


 アセラは現在、もっと凄い目にあってる途中というらしいけど。


 ⋯⋯それが人間らしい状態なのかは分からない。


 「エオ!おはよ!」


 僕が起きたことに気づいたニバが、隣までやってきて座る。


 「おはよー、眠いね」


 「うん⋯⋯」


 昨日のせいもあるだろうけど、表情が暗い。


 「どうしたの?」


 「⋯⋯グランってやっぱり強いんだなぁって」


 丸まって寂しそうにしている。


 まぁグランもここまで生き残っているから普通ではないというのが村の常識ではあるけど、いつも弱そうにしてるグランだからこそだよね。


 「グランって戦い方がデンデラとは真反対って感じでいいよね」


 「うん!

 でもなんかさ?こう⋯⋯」


 まぁ、言いたいことは分かるかも。


 「ズルいよね」


 「そう!

 デンデラは真っ直ぐに強いからグランを見てんーってなっちゃうけど、でも生きてる方が強いもんね」


 そこで僕はハッとする。


 「あ、そうだ。

 畑を見に行かないと」


 昨日あの後、種を植えたばかり。

 ウルたちも数人傷を負っていたけど、食料と戦利品を持って帰ってきていた。


 「お、早い?」

 

 見に来てみると、植えたばかりの部分はまだだが、少し前に植えたところには、もうメキメキと成長しているあの植物達だった。


 「植えたからまだそんなに経ってないのに⋯⋯」


 「ねぇ!もしかしたらさ!?」


 ニバの興奮は分かる。


 まだ全員とは言えないけど、これなら⋯⋯少しずつ隣に隣にって行ったら、みんなが食べられるかもしれない。


 「うん。

 もしかしたら」


 そして僕の頭には、この畑の作り方を知ってる"大人"がいないのではないか?


 ということが浮かぶ。


 「これ植えたのってどれくらい前だっけ?

 えーと、」


 指を3回折るニバ。


 「ていうことは、まだ3日しか経っていないということになるわけだから──」


 畑は大人の真似をしたけれど、もしかして?


 「エオ?」


 僕は以前、大人の言葉を疑ったことがある。


 「どうしたの?そんなに見つめて」


 「ちょっとピカッとしたかも」


 「天才エオの、星の力!?」


 大人は土をザクザクしていた。

 だが本当にそれでいいのか?

 

 僕はこの畑をザクザクした事はない。

 ただ、自分が来てから3回の間に一度生えた物を見て、そして種を植えた。


 大人はそれを抜いて、種を回収していた。

 僕は抜かずにその場に放置した。

 

 大人はまた同じことをした。

 収穫にかなりの時間を使って成長させていた。


 でも。

 僕はそのまま生えた草が枯れるのを待って、違う草が生えるのを待った。


 それを三回繰り返して今、収穫してたった3日でこの茶色い植物⋯⋯僕の中では"ちゃちゃ"と呼ぶ事にする。


 ──このちゃちゃはたった"3日"で生えてきた。


 しかも、この太い植物には8個ちゃちゃが付いている。


 「⋯⋯⋯⋯っ」


 僕の瞳が大きく開く。

 思わずパチパチしてしまう。


 「待てよ、つまり⋯⋯」


 僕は地面に整理する。


 「一回目で草が枯れたのには理由があって、2回目にも理由がある。


 そして三回目の今、いつもなら枯れてからまた生えるものが生えなくなった」


 「うん」


 頭がスーッとするのが分かる。

 そうだ。


 

































 "必要がないから"。


 今僕が植えたのは、この土にとって一番良い状態だから?


 前大人が見た時の大きさとこれとでは確かに少し小さい。


 けど、明らかに成長速度と付いている数が僕の方が多くて、しかも、次に植える種が多い。


 「これってつまり⋯⋯これから植えれば植えるほど収穫出来るってことか?」


 僕は隣のニバを見つめる。


 「うん!私はわからないよ!?」

 

 「ニバ、手伝ってくれる?」


 「もちろん!エオ良い人だから!」


 僕の予想が正しければ、既にここにあるだけだけど、縄張りの土地は既に──栄養が行き渡っている。


 だとすると、そこから順番に置いていこう。


 「ニバ、こう綺麗にいける?」


 「うん!」


 縦に綺麗に種を撒いて、少し経てば恐らく⋯⋯。


 「お?エオ?どしたん?」


 見上げるとグランがポカンとした顔で僕を見下ろしていた。


 「いや、もしかしたらって良い方法を見つけたかもしれない」


 「なんだ?それはこの畑に関することか?」


 静かに頷くと、グランも屈んで僕を見る。


 「俺も手伝う」


 「いいの?大変だよ?」


 「全然。

 こんくらい大したことない」


 「エオー、あのしょく、」


 今度はデンデラだ。

 しかも、凄い服に付いた変な水から、凄い臭いがする。


 「デンデラ、本当に何したのさ」


 「んぁ? 

 二度と変な真似させねぇように公開で凄いことしてきただけだ。


 多分変な気はもう二度と起こさねぇよ」


 ⋯⋯本当に何をしたと言うんだ。


 「それで?

 グランもニバもいるじゃねぇか。

 畑に進展が?」


 「うん。

 もしかしたら、凄いことになるかもしれない」


 「それ、俺にも手伝わせろ。

 絶対に成功させるぞ」


 そう言って、汚水で洗って帰ってきたデンデラを含め、僕達は畑に集中した。


 数日もすれば多分、良い結果が出ると信じて。

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