結構いた件について
「よいしょ」
「ほら、裏切者は入っとけー」
首根っこ掴んで、グラとケイが部屋に突っ込む。
この部屋は特別な場所で、数人の協力で音が漏れないようにできていて、かつ、部屋を広げていく事ができるという性質があるようで。
「頭、これで200人だ」
バツの悪そうな顔でケイが珍しく気落ちしている。
⋯⋯あ、そうか。
この200人は確か。
「なんだお前のところの奴らじゃねぇか」
「今萎えてんだから突っ込むなや」
「⋯⋯ハッ」
そんな二人の会話を横で聞く僕。
僕よりこの二人の方が頭に似合ってるじゃないだろうか。
立ち姿とか、こう⋯⋯ね?
水に反射して映る僕の顔は全く頭らしくない。
今関係ないか。
ごめん。
「頭」
グランが何処かへ向かう。
ケイがその間、口をすぼめて僕に声をかけてくる。
「マジで悪い」
「頭を下げる必要はないよ」
ある意味彼は何も悪くないのだ。
やった事はあまり難しくはないけれど、僕がみんなに守って欲しいことは何か?という話と、南の誰でも分かるような情報を問いただしたところ、妙に正確な情報を知っているところだったりを炙り出していった。
例えば知っていることと知らないことがあったりとかね。
追加でナル側の人間から嘘を付いている人を判別できる夜を持ってる人を借りて、正確さをあげていくこともできた。
ただ、気になる点はある。
「全員ではないにしろ、ケイ達に固まっていた事に結構驚いてるし、理由が分からない。
その情報が知りたいって感じかな?」
「めんたま引っこ抜いてでも取ってくる」
⋯⋯あぁ、あぁ。
本当にやりかねない。
「ケイ、やって来い」
あ、グランが帰ってきた。
「クソが。舐めやがって。
最近優しくしすぎたのか?この野郎。
いや、最初から利用する気満々だってことだろ、チッ」
「ケイくん、今度良い女紹介しろよ」
肩を叩いて僕の元へとやってくる。
「グラン、あんまり言わないの」
「あいあい。
アイツには一回くらい痛い目にあってもらわねぇと」
⋯⋯本当に分かってるのかな?
「お、来たか」
グランが後ろを向きながら発している。
振り返るとそこには。
「やぁ、頭」
「ナル!」
僕は駆け寄ってすぐに握手を交わす。
「おぉ⋯⋯」
背にいる部屋を眺め、ナルはドン引きしている。
あぁ、今凄いからね。
「早速試した感じかな」
「そういう事」
「効果てきめんだよ」
「私のところからも数人炙り出せた。
事情はアレだが、かなり状況はよろしくなさそうだ」
「そうだね、ただ、これだけ時間をかけているということはまだ攻撃はなさそうだけど」
「エオの言う通りだな。
けど、どれくらい前からやってたかもわからん状態ではまだ判断できねぇが痛えところだ」
やっぱりかなりの人が紛れ込んでるみたいだ。
⋯⋯一体どれくらい全部にしたら居るんだろう?
それと、どういう理由でいるんだ?
僕達の動きを知りたいのかな?
そこが不明な以上、どうすることもできない。
「頭、どうやら今聞いたところ、彼のところに集まっていたようだが」
顎で指し示す先には、現在暴れまわっているケイ。
「そうなんだ。
ただ、まだ現状理由が判明していない」
僕達は戦争の際にまだ吸収段階にあって契りは結んでいない。
⋯⋯だからこそ狙われたのかな?
ここだ!と思って。
「ルンデルバーンは確か二十七番通りからだったはずだ。
確かにそれなら⋯⋯」
「何か分かる?」
「⋯⋯あぁ、ちょっとややこしくなるんだが」
*
「エオ、ナルの話がマジなら、結構笑えねぇぜ?」
「⋯⋯うん。
笑えないね」
商人さんの話と一部合うところがある。
ナルが話してくれたのは、ルンデルバーンが制覇した辺りでは昔から既存勢力ではない不明勢力という小さい勢力の狩場や色々な用途で野ざらしになっていたみたい。
誰もなんの勢力なのか、どこの人間なのかを把握していない場所だったんだって。
商人さんも確か別の街から色々な理由で入っていたという話もあったし。
「正確な情報が欲しいね」
「あぁ、だが潰すとなっても関係ねぇ奴も紛れ込んでるのが厄介すぎる」
そうだ、嘘をついてるかというのを大々的にやってしまって、逃げられても情報が取られたままだから困るし。
「こればっかり今までのツケとして貰うべきなんじゃねぇか?」
「そうするしかないかもね」
今までの話は今までで、これから整えて行くしかない。
ただ、整えているというのを情報として伝わった場合、動きがある可能性もある。
「ゲートだっけ?
あの周囲に人を置こう」
「⋯⋯決まりだな」
──ギャアアアアアア!!
一瞬静かになったこの部屋にまで聞こえる⋯⋯叫び声。
僕も慣れてしまったのだろうか。
「「⋯⋯⋯⋯」」
⋯⋯うん。
目があった僕達は笑うしかない。
人ってあまりに怒ると、笑うんだね。
──ケイが笑ってるよ。




