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地獄で生きたければ。  作者: どら焼き戦線バルハザーク
大人編・南

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割れ

 「絶対に作るべきだろうな」


 それから数日。

 僕はすぐに集会を開く。


 数日でも遅れているとすら感じるけど、今の僕は1日がみちみちに予定があってこれでも一番早い。


 これでも遅く感じてしまうのは、世界を知ってしまえば誰でもそうするだろうから。


 「縛れない奴らは敵だ⋯⋯そんな事が起きんのはちげぇだろ」


 「ちげぇもクソもないぞ?

 他の街がどれくらいの戦力が眠ってるかもわからねぇ。


 ⋯⋯能力が倍以上開いてたら俺達終わりだぜ!?」


 僕よりの意見であるグランと、今までの掟、そして様々な角度があるケイの意見。


 どちらも正解なのが僕としては反応に困ってしまう。


 「一旦落ち着きましょう」


 チェシェの言葉で一旦二人とも言葉を抑えてくれた。


 言葉で伝わるようになって助かる。


 「一先ず頭」


 「うん」


 「頭の話が正しければ、かなり大事になってしまいます」


 「かなり正しい情報ではあると思う。

 疑うには情報の密度が違い過ぎたから」


 「つまりはいつでもこっちには人がやってこれて、俺達は行けないって話だろ?」


 「そういう事」


 ケイは露骨に嫌がっているのが丸わかりだ。


 「頭、考えようぜ?

 そこら辺歩いてて飯配ってる奴らの中にいるって考えたら⋯⋯受け取れねぇだろ」


 机に肘を付きながら言ってくる。

 そう考えたら確かにそうだ。

 

 「ケイの言う通りです」


 後ろで立っているケイの護衛であるアルカス。


 「縛りも入れてなければ命令で禁じてるわけでもない。


 現在の南が酷い状態なのは間違いないはずです」


 アルカスの言う事も正しい。

 僕がそういうことを無くしていきたいから命令は基本しないようにしているというだけだ。


 「なんだ、頭批判か?

 護衛だったら護衛らしく突っ立ってろよ」


 もたれ、顎を揺らしながら護衛を見上げる。

 恐らく僕を守ってくれているのだと思う。


 「っ、」


 「事実そうだろう?

 別に今の状態がなくたってその世界の状態ってのは変わってなかったんだから。


 しかも、この一年行かないくらいの時間ではあるけどよ、勢力戦争は減り、そこにいる本人は望んではいない状態ではあるだろうけど⋯⋯崇拝に近い団結力が生まれてる。


 ──南戦争の前にそんな事あったかぁ?」


 認めたくはないが、グランの言う通りだ。

 ありがたい事に、僕の考えに付いてきてくれている人が凄く増えた。


 そのせいか、暴力は減って、今の通りのような状況が出来上がっている。


 今まではなかった技術を教える人や、勉学を少しでも普及させようと頑張ってくれている人がいる。


 その人たちが困っていたらその人たちをまた支援する人がいる。


 そう、個人的にはこの短期間ではあるんだけれど、目に見えて目指している世界というか、世を変えるために僕が伝えたい気持ちが広がっていっているのが有り難い。


 ⋯⋯けれど、この問題はそれだけでは済まないのが重要だ。


 「それは、」


 「通りには死体が大量にあったなぁ?

 女の悲鳴があったなぁ?

 男が殴られている所しか見なかったなぁ?


 てめぇも同じはずだったんじゃねぇのかァ?


 なんでてめぇがそんな上から言えるか教えてやろうか?


 それはお前が今、今⋯⋯余裕があるからそんな事が言えんだよ。


 少し前までは俺達だって飯食うために死に物狂いで走ってたはずだぞ?」


 「悪かった悪かった。

 アルカス、少し外に出てろ」


 「⋯⋯すみません」


 消え入りそうに外へと出ていくアルカス。


 「悪いな、頭。

 気が立ってんだ、今全員」


 「⋯⋯自分事なんだから当然だよ」

  

 「本当、詰めがあめぇ事」


 けど、少し嬉しそうだね⋯⋯ケイ。


 「そこのグランの言う通りでもある。

 やっとマシな⋯⋯獣から人間の生活へと向かってるこの時期に、こんな情報が入ってくれば全員気が立つのも当然だ」


 「あぁ。

 だがそっちの意見も当然っちゃ当然。


 だからこの問題はかなり重い」


 ⋯⋯そう。

 ここで曲げて縛りを付ければ良いと言うことではないし、このまま放置するべき問題でもないということは間違いない。


 僕も含め、この場にいる全員の口が止まる。


 何かないだろうか。

 間のような⋯⋯。


 「いや」


 「ん?なんかあんのか?エオ」


 「ナルに声をかけてみるのは?」


 「アイツ色々手広くやってるしな。

 ちょっと行ってみるかぁ」


 「みんなも一旦冷静になってまたやろう。

 もう長い間やっていると忘れてしまうことも多いから」


 「⋯⋯かもな」


 今の状況では色々難しいからね。

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