↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2045年問題   作者: 村田こうへい
第五章 暗躍編
68/81

第五十四話:「妨害工作⑩」

 その後、俺はレストランで若井さんにデータが入ったUSBメモリを渡して別れた。

俺は元々彼へデータを渡す予定だったから、それをUSBメモリに入れて所持していたのだ。

 渡す際、彼は俺に微笑みかけると「お任せください」と自信たっぷりに答えてくれた。

俺はそれを見て、不安だった気持ちが少し解れるのを感じた。



 一時間後。俺は有海と一緒に東京駅から新幹線に乗って仙台へと向かっていた。

東京駅で新幹線に乗る前に、俺は自分でアップした動画を見たのだが、まだ再生数は5000程だった。


 俺はため息をしつつ、また動画の再生数をチェックする。


――おや?


 俺は驚きと共に、その画面をまじまじと眺める。

そこには、このように書かれていた。


「この動画は、利用規約に抵触しているため、削除されました」


 俺はそれを見て、顔を強張らせる。

警察に気づかれたな。俺は真っ先にそう感じた。


「有海ごめん。ちょっと席外すね」


 俺は有海に一声かけると、新幹線のデッキへと向かう。

有海は不安そうな悲しそうな表情をして、立ち去る俺を見つめていた。




 正直、こうなることは予想の範囲内だった。

昨日の放送により、警察も革新党の関係者も見張っているだろうと思っていたからだ。

 俺が上げた動画も、見つかるのは時間の問題だろう……。そう思っていた。


 俺はデッキに到着すると、スマートウォッチを起動し、それに語りかける。


「若井さんに電話をかけてくれ」


 その言葉に呼応し、発信音が俺の耳に響いた。

若干の間の後、若井さんへと電話が繋がる。


「もしもし?」


 目の前の空間に若井さんの顔を投影される。

その表情は、どこか不安げな表情だった。


「若井さん、報告があります」


 俺は、早口で言い切ると、若井さんへ話を続ける。


「私が上げた動画がサイト側に削除されました。多分、革新党関係者か、警察に見つかったんだと……思います」


 しかし、それを聞いた若井さんは平然としていた。


「まあ…………。いつかはそうなるだろうと思っていました。

そうなってしまえば、もう他のサイトに上げて上げて上げまくるしかないです。色々な動画投稿サイトに上げて、動画を途切れさせないようにしましょう」


「……そうですよね」


 俺は、落ち着いた気持ちで笑う。

俺もやるべきことは分かっていた。だけど、本当にそれでよいのか若干不安があったのだ。

彼の回答を聞き、また雰囲気を見て、俺は少し自信を貰うことができた。


「こちらも、そうなることを予想して10個程の動画投稿サイトに例の動画を上げてあります。

最大限の効果を出せるように、これからはメールを使って何処に動画を上げたか共有していきますか」


「そうですね。お願いします」


 自信たっぷりに言う彼を見て、俺はにっこりと笑うと彼へ頷いた。




 その後は、動画のUPと削除のイタチごっこになった。

若井さんからは、動画のURLが張り付けられたメールが次々に送られてきた。


 合わせて、俺が最初に書き込んだ掲示板には動画のURLがひっきりなしに書き込まれた。

俺がデータを渡した際に、若井さんには掲示板のURLを伝えていた。

俺の意志を汲んで、彼が書き続けてくれているのだろう。


 それに呼応するかのように、動画を見たユーザーの感想がひっきりなしに掲示板に書き込まれる。

URLの誘導と、動画への感想、そして、動画の削除報告が入り乱れ、掲示板のレス数は急速に伸びていった。


 10時頃。仙台へと到着した俺は、有海と一緒に近くのネットカフェへと入った。

俺は動画のUPを自前のノートパソコンと携帯電話から行っていたのだが、新幹線に乗っている間に動画投稿サイトのアカウントを作れなくなってしまった。


どうやら動画投稿サイトにIPアドレスでブロック(IPBAN)されたらしい。


 俺は、ネットカフェで借りたPCの前に座ると、アカウント作成作業と動画投稿作業を再開した。


 IPアドレスは、基本的に同一回線同一端末だと同じ物になる。

つまり、別回線に接続するか別端末に乗り換えれば、延々とアカウント作成と動画投稿作業を続けられるというわけだ。


 有海も、俺を手伝うと言い張り別の端末で同じ作業をしてくれている。

俺と有海は、単調な作業を延々と続けた。


 2時間もたち、アカウントの作成ができなくなる。

どうやら、またIPBANを食らったようだ。


 俺は有海へ声をかけると、別のネットカフェへと移動する。

そこでも同様の作業を延々と繰り返す。


 そんなことを繰り返し、俺達は3件目のネットカフェへ向かう。

その際、2件目のネットカフェの階段で警察の制服を着た人達とすれ違った。


 俺と有海は、マスクを確かめながら警察の横を通りすぎる。

彼らは、いつになく厳しい表情をしているように見えた。


俺は緊張しながらも警察の横を通り過ぎたが、特に話しかけて来ることはなかった。




 8時間後、俺達は6件目のネットカフェで作業を繰り返していた。

例の掲示板は、URLの誘導や感想等のレスが1万をこえていた。

 その中には、革新党に狂酔したユーザーから過激な書き込みもちらほらとされていた。

特に目を見張ったのは、以下のような文面だった。


「桜井さんがサイボーグなわけないだろう。というか、サイボーグなんて存在するわけないだろう。だけど、もし革新党の頭がサイボーグだったとしても……。今の首相よりは信じられるだろう? あいつは国民を不幸な方向へ導いている。サイボーグでもロボットでも、俺達の生活を豊かにしてくれるなら何でも良いわ」


 この書き込みには、いいねが1000以上もついていた。

俺はそれを見て、吐き気がした。


 動画が削除されるスピードもどんどん速くなっている気がする。

海外のマイナーなサイトもフル活用してUPを続けているのだが、そのようなサイトでも10分もすれば削除されてしまう状態だった。


 そんな最中、俺のスマートウォッチに着信が届く。

何事かと思い発信者を確認すると、若井さんだった。


 俺は人気のないネットカフェのトイレに向かうと、電話を取る。

それは若井さんの顔を映し出す。その表情は、興奮していた。


「昭人さん!! やりましたよ!」


「そんなはきはきと……どうしたんですか?」


 そんな彼を見て、訝しげな表情になった俺は、彼をじっとりと見つめて答える。


「そんな冷たい視線を向けないでくださいよ……。今回は良いニュースですよ」


 彼は俺を見つめると、にっこりと微笑む。


「昭人さんの動画が、今ニュースで取り上げられています! しかも全国放送ですよ!!」


「……え?」


 俺は彼の突拍子のない話を聞き、気の抜けた返事をしてしまった。

 今回でこの章を終わらせようと思ったのですが……。

すみません。持ち越しでお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。