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2045年問題   作者: 村田こうへい
第五章 暗躍編
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第四十七話:「妨害工作③」

 例の企画書が田辺さんに気にいられた後、ドッキリ企画はとんとん拍子で進んだ。

革新党桜井さんへのアポ取り。そしてそれの快諾。その後、番組の予算確保と大道具・小道具の製作……。

迅速に準備が進められていった。


 これも、選挙投票日まであと15日程しかないという焦りが番組関係者にあったからだろう。


 革新党サイドも、警戒することもなく承諾をもらった。

支持層を広げるために必死なのだろう……。俺はそう感じた。


 放映日も決まった。

投票日の2日前、2040年1月12日の土曜日のゴールデンタイムだ。

番組の放映結果が民意に与える影響を考えて、この日に設定された。

要望を出したのは、佐藤所長だ。

 準備がぎりぎりになるから、放映は投票日直前が良い。

だが、国民に投票先を考えてもらうためにも、1日程は時間を与えたほうが良い……。

そんな思いがあったのだろう。


 投票日一週間前の土日、俺と有海は東京の放送局に呼ばれて桜井さんに関する質問を受けた。

出身地はどこか? 好物はなにか? といった質問から始まり、6号君を開発していた時の態度、研究室での生活態度……、面白可笑しいエピソードなど、いろいろと聞かれた。

 ついでに、聞かれてもいないがあの頃口癖になっていたことも教えておいた。

そう、「どこかに良い彼氏(ひと)いないかな~」である。


 あの頃、彼女は毎日のようにぼやいていた気がする。

あれから5年後にやっと彼氏ができて、桜井さんのために休みにお祝いと称して飲み会を開いたのは良い思い出だった。


 今桜井さんは新人類(サイボーグ)化されてしまったけれど、夫……その彼氏とはうまくやっているのだろうか?

多分会ってもいないのだろうな……俺は勝手にそう思い納得してしまった。



「ごめんな? 貴重な休みをこんな形でつぶしちゃって」


 新幹線の中、俺は隣の席に座る有海の目を見て謝った。

そんな俺を見て、手をわたわたとさせながらマスクをした有海は返答する。


「いいよいいよそんなにかしこまらなくて! 桜井さんを止めるためにはこれが必要だったんでしょう? 私にも手伝わせてよ!」


 俺はそんな有海をみてほっこりとする。

有海は何歳(いつ)になっても天使だな……。心の中でそう思った。


 しかし、俺は確認すべきことがあった。

そう、さっきのインタビューでの回答だ。


「そういえば、さっき桜井さんと徒党を組んで俺に嫌がらせをしていたと聞いたんだけど……。どういうことかな?」


 俺のその問いかけに、有海の肩がびくっと震える。


 そう、研究室時代に俺のデスクに置いてあったケータイの位置がちょくちょく変わっていたのだ。

ただ単に俺が置いた場所を忘れただけなのかな? とその時は思っていたのだが、何度もあったから対面に座っていた桜井さんに確認したことがあった。


 その時、彼女はあっけらかんとした顔で「そうなんだー私は何も知らないなー」と言っていたが、今日のインタビューで謎が解けた。


 どうやら、その時俺が浮気をしているのではないか……。と有海が勘違いをして、俺のいない頃合いを見計らってケータイをアンロックして中身をのぞいていたらしいのだ!


 俺はその時全く浮気などしていなかった! 断じてしていない。

確かに後輩の女子から何度も相談メールをもらっていたが、あれは浮気ではない!


 しかもそんなことを今日のインタビューで暴露しやがった!

黙っていれば一生気づかなかっただろうに……。


「ご、ごめんね? メールの相手が可愛い子だったから、どうしても気になっちゃって……」


 わたわたしながら有海は答えた。


 しかし、俺は有海のそんな困った顔を見ていたら、有海のしでかした所業がだんだんどうでもよくなってきた。

もう17年も前の話だ。もう時効だろう。


「そんなことをしたのはあのころだけだし、今だったら面と向かって聞くし……」


 ブツブツと有海が弁明する。

このまま彼女をしゃべらせ続ければまたネタになりそうなことを口走りそうで面白いが、可哀そうだからこれで終わりにしてあげよう。


「そっか。もう昔のことだから許すけど、勝手に人のケータイの中を見るのはNGだからな?」


「はい……」


 しゅんとなった有海を見て、逆に俺が罪悪感を感じてしまった。

どうした物か……。


◇◇


 そんなやり取りをしつつ、俺達は仙台へと帰宅した。

桜井さんの選挙を妨害するためにも、今が勝負どころだ。

後の準備はテレビ局に任せるしかないが……。


 来週の土曜日は、ついに生放送本番だ。

 敵襲を模擬するためにも、俺の配下の6号君50台を東京へ連れていく予定だ。

 その内容に関しても、今日テレビ局の担当者と打ち合わせを行った。

6号君には非殺傷の武器を持たせ、東京に輸送する。

そして、当日東京のテレビ局で、俺が敵襲を行うように指示を出すつもりだ。


 流れについても大まかに打ち合わせを行った。

後はリハーサルでそれ通りに6号君に動いてもらえばよいだろう。


 必ず革新党へ向かう民意を分散させてやる。

俺は心の中で決意を再度固めながら、帰宅した。

海人「『つまらないから来なくてよい』って言われたから行かなかったけど、僕も東京いきたかったなぁ……」

タクミ「最近ワタシの出番がない…………」

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