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2045年問題   作者: 村田こうへい
第三章 襲撃編
34/81

第二十一話:「拉致」

9月13日 誤字脱字を修正しました。

「プルルルル……」

俺の腕時計型の携帯電話から発信音が鳴り響く。


俺と海人は現在、高速道路のサービスエリアで休憩をしていた。その隙に桜井さんへ電話をかけ、6号君が暗躍していることについて彼女へ注意喚起を行おうと考えたのだ。


桜井さんと電話が繋がると、彼女の少し心配そうな顔が空間に表示される。

そして、彼女は俺に対してこう話しかけてきた。

「……もしもし? 小林君どうしたの?」

映し出されている動画の背景は民家の一室のようだ。どうやら彼女は自宅にいるらしい。


「いや、注意喚起をしようと思いまして」

俺は続ける。

「今敵に攻撃を受けた俺達のロボットを回収しに向かおうとしていたんですけど、敵側の6号君だと思われるロボット達が先にそのロボットを回収してしまって。どうやら敵も積極的に動いているようです。ロボット達が襲ってくるかもしれませんので、桜井さんも気を付けてくださいね」

しかし、要件を伝え終わっても桜井さんの顔は晴れなかった。


「そうなんだ……。忠告ありがとうね。でもその忠告はもう遅いよ……」


全てをあきらめてしまったような顔で桜井さんが俺に語り掛ける。

「遅い……? どういうことですか?」

俺は桜井さんが話していることについて合点がいかなかったため、そう聞き返してしまった。

「こういうことよ……」

彼女がそう言うと、抱えている電話機を別の視点へと振った。それに合わせて、俺の携帯電話が映し出す画面も振られる。


「………は?」


俺は映し出された画面に驚いてしまった。

なぜなら、その画面の中には武器を持った6号君達が映っていたからだ。


暫くたち、画面の視点が元に戻り桜井さんを映し出す。

「私の部屋は6号君に襲われたわ。騒がなければ殺されないって言われたわよ。警察に連絡をしたら殺すって言われたから、まだ連絡はしていないわ」

「おい、誰と電話をしているんだ」

桜井さんの会話へと割り込むように強い口調の声が聞こえる。多分彼女の部屋にいる6号君の声だろう。

「友達と話していたの。最後ぐらい親しい人と電話をしてもいいでしょ?」

6号君を諭すようにそう彼女がしゃべると、6号君からこう返事が来た。

「……警察じゃないんだな。じゃあ問題ない。だがそろそろここを出るぞ」

なぜか6号君から通話の許可が出た。まだ知能が十分に発達していないのだろうか……。


 6号君から出立の指示を受け、映し出される桜井さんの顔が何かを決意するような顔に変わった。そして彼女は俺に語りかける。

「じゃあ、適切な処置をお願いね? 待ってるから」

そう言うと、桜井さんは俺との通話を切った。


「まじか……」

俺は腕時計型の携帯電話を見つめながら、そう呟いてしまった。

ふと隣を見ると、隣にいる海人も不安な顔をしている。

「こうしちゃいられないな……」

俺は思考を元に戻すと、河合エレクトロニクスにいる有海の個人番号へと電話をかけた。


若干の発信音のあと、電話が繋がる。

「昭人? 仕事時間に電話してくるなんてどうしたのよ?」

空間に表示された有海の顔は、若干不機嫌な表情をしていた。よほど仕事を邪魔されるのが嫌だったのだろう。


「有海」

俺は冷静な口調で有海へ話しかける。

「桜井さんが6号君達に拉致された。多分、敵側の6号君だと思う」

「え……?」

有海から驚きの声が上がる。

「だから、有海は俺が迎えに行くまで会社から出ないようにしてくれ。もしかしたら有海も襲われるかもしれない。あと、桜井さんの住所を教えてくれないか? これから警察に通報するから、その際に情報がいるんだ」

俺の真剣な顔から状況を理解したのか、有海も真剣な顔となる。

「分かったわ、桜井さんの個人情報は会社の共有ドライブを漁ればわかるから、今すぐ調べるわ」

有海はそういうと彼女の目の前に存在するパソコンのキーボードを叩き、情報を探し始めた。

「……これね。今から喋るからメモして頂戴」

情報を見つけた有海は、若干安心した表情で俺にそう伝える。

「了解」

俺はそう返事をすると、鞄からノートとペンを取り出す。

「おっけー。いつでもどうぞ」

「了解。じゃあ言うわね。宮城県石巻市●●」

その発言を聞き、俺はノートに文字の羅列をメモする。

「ありがとう。警察に伝えるよ」

メモが終わった後に有海へそう伝えると、俺はすぐに電話を切る。

 本当は有海ともう少し詳細に情報交換をしたかったが、今は桜井さんの安否が大事だ。

何か言いたそうな有海の表情に後ろ髪を引かれたが、今はしょうがないだろう。


 その後俺は警察に電話をし、友人がロボットに拉致された旨と、桜井さんの住所を警察へ伝えた。

これで警察が調査に動いてくれるだろう。


「……さて」

車に戻った俺は、同じく車へ乗り込んだ海人へ話しかける。

「ミヤビや桜井さんのためにも、敵の情報を手に入れないとな。俺達も桜井さん家へ向かうか」

「……了解」

状況に気圧されている海人から弱々しい返事が来た。

だがまあ、海人のことだからすぐに元気に戻ってくれるだろう。


俺はカーナビを起動し、先ほど聞いた桜井さんの住所を設定する。

そして、俺は桜井さん家に向けて手早く車を発進させた。

9月14日の更新はお休みにします。次は9月16日18時の更新です!

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