1−4|選ばれし者
私は馬を引いて、王都軍と争っていた盗賊に近寄る。
「ねえ」
「なんだ、女が俺たちに何の用だ?」
「王都の人たちの荷物の中に本がなかった?」
「本……あるにはあったが」
盗賊はなぜか口ごもっている。
「本があったのね」
私は王都軍の馬車に向かい、中を調べると、
一際光っている本を見つける。
「あった」
私は本を手に取ろうとすると
「やめておいた方がいいと思う」
盗賊は私の腕を掴む。
「どうして?」
「お前たち」
盗賊を二人呼びつける。
「何をする気?」
「見せてみろ」
盗賊の2人が手のひらを見せると焼き焦げたようになっている。
「不思議と熱い、痛いという感覚がなかった」
それは暑かったのを感じなかったのではなく、感じ取れなかったのではないかと。
「ちょっと」
私は盗賊二人の手にナイフの刃先を少し触れさせ、血が滴り落ちる。
「お前!!」
「何か感じる?」
「いいや、何も」
これは、もう手の感覚、神経が壊れているのかもしれない。
「女、悪いことは言わねえ」
「黙ってて」
やっと見つけた復讐のための本、魔法という異常な力を手に入れられる絶好の機会。
私は本を手に取る。
☆ ☆ ☆
「鳳彼方、お前を始末しに来た」
コールは彼方に向けて言い放つ。
「お前らは……」
「鳳彼方、あなたならわかるでしょ?」
コール達に殺意を向けている彼方。
「あいつの手先」
「私たちの“パパ”に向かってあいつって!!」
手を前にかざし、呪文を唱えようとするフォリをコールが制す。
「落ち着け」
「……」
手を下げるフォリ。
「わかればいい」
ああと思い出したかのように話し始めるコール。
「お前はどうでもいいから、出て行っていいぞ」
「……俺は関係ないっていう口ぶりだな」
「お前はこの世界の人間、つまり部外者というわけだ」
「俺はな! 親を殺されてんだよ!! お前等に!
何が部外者だ、ふざけんなっ!」
透の怒号が響き渡る。
「あまり、なめるなよ」
手にペンダントを握りながら、石碑に近づこうとする透。
鼻で笑うフォリ。
「石碑に何をしようと? 私の魔法が壁となってるのに」
透が手を触れると魔法の壁が壊れる。
「な、なんで」
「神矢、触ったら……」
☆ ☆ ☆
「ここは……」
真っ白な空間、透以外誰もいない。
「汝は私に何を求める」
透の頭の中に話しかけられている感じがする。
「だ、だれだ」
「汝は私に何を求める」
「何を……」
「汝は……」
「少し、考えさせてくれ」
「……」
「ーー今の状況を打開できる力が欲しい……俺は無力だ。魔法なんか使えないし、あること自体知ったのがついさっきでも」
「それが望みなら受け入れよう……そして、それを悔やみ続ければいい」
☆ ☆ ☆
「……テレポート」
透と彼方、そして石碑がコール達の前から消える。
フォリは驚いた表情を隠せない。
「ふっ」
「コール様?」
「面白い」
コールはその場を去っていく。
後ろをフォリが追いかけていく。
「あいつも対象にあげることにする」




