学校に行こう
俺は今日からメグに勉強を教えてもらうことになった。まだ五歳とはいえど、前世の記憶がある俺はほとんど問題がないだろう。せいぜい歴史ぐらいしか新しく覚えるものはないだろう。
「学校に入るには、面接と、テストがあります」
「はい」
「面接では、神眼持ちの方が質問をし、その間にその人の能力などを見て学校に入れてもいいか調べるようです。これは努力しても隠せるものではないのですることはありません」
「では、問題はテストでしょうか」
「そうです。しかしテストといっても難しいものではありません」
「では、どのような問題が出るのですか」
「文字の読み書き……これはもうアル様はできますね。ですからあとは計算と歴史を覚えたらいいだけです」
実際は、俺は計算もできるから歴史だけだな。
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勉強は簡単だった。計算はあまりやりすぎてメグにすごく驚かれた。
歴史は普通におもしろかった。地球の歴史もおもしろかったが、こっちのは、魔王とか勇者とかゲームの設定みたいでおもしろかった。……この世界を作った神様って案外ゲーム好きなのだろうか。
その夜俺はカーターに呼ばれた。
「一週間後に入学試験がある」
「一週間後ですか?」
「だから今日から勉強の時間を少なくしてお前の必要なものを買いに行く」
「買い物に一週間も必要でしょうか?」
俺の質問にはキャンディーが答えてくれた。
「アルには言ってなかったけど、学校はこの村から馬を走らせて一日かかる距離にあるの。だから入学したらアルは学校の寮に住み込まなくてはいけないの。だから向こうで必要な物を今から買っておくのよ」
「それはもうみんなに会えないという事ですか」
せっかく仲良くなってきたのに別れるのはいやだな。
「しばらくは会えないわ。でも向こうに行ったら魔法も教えてくれるそうよ。帰ってきたときには立派に育って帰ってきてね」
さすがにここで泣きつくほど中身は幼くない、外見は幼いがな。
「はい。分かりました」
後日買い物では服などの生活必需品を買った。
これで足りるのかと聞いたら、食事は学校内なら生徒は無料。そとの買い物も学校が親に請求してくれるそうだ。
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俺は今、見知らぬ商人のおっさんたちと知らない人たちと幌馬車の後ろに乗っている。この馬車以外にもいくつか馬車がある。ちなみになぜ俺が一人で乗っているのかというと馬車は値段が高いらしく、学費でお金がない今馬車に乗れるのは一人だけだった。
馬車は一人につき金貨一枚いるらしい。
ちなみにここの金は、
白金貨一枚は金貨10枚
金貨一枚は白銀貨100枚
白銀貨一枚は銀貨100枚
銀貨一枚は白銅貨100枚
白銅貨一枚は銅貨1000枚
普通の仕事の収入が年間白銀貨50枚だから馬車は相当な値段になる。
どうしてこんなに高いのかというと馬車は森の中を通っていくのだがその間魔物が出るそうだ。
ごくまれに強力な魔物が出るこの道は通るとき、強い冒険者を乗せるのが普通だそうだ。
よって馬車代+冒険者の代金+飯代で金貨一枚にもなるそうだ。
ちなみに学校は白金貨5枚いるそうだ。だから学校にいけない子も多い
……どうやらうちはかなり儲かっているみたいだ。
などと思っていたら。一人の商人らしき男が話しかけてきた。
「こんにちは、俺はメイソンだ、確かお前は王国までだよな。一日ぐらいの短い時間だがよろしくな」
「こちらこそよろしくお願いします。僕はアルフレッドです。アルと呼んでください」
「見たら分かると思うが、俺は商人をしている。アルは幼いのに一人で何をしに行くんだ?」
「学校の試験を受けに行きます。そして学校に通うためです」
「その年齢でもう学校か?…すまん、まだ幼く見えたからな」
「五歳で学校に行くのは普通ではないのですか」
「お前もしかして貴族なのか」
「いえ、違います普通の農家の子供です」
「そうか、てっきり貴族の学校に行くのかとおもったぜ。普通の学校に行くにしては若いな」
「普通は何歳ぐらいで行くのですか」
「普通か?普通は10歳くらいかな。貴族は立ち振る舞いを学ぶために五歳くらいで少し違う学校に行く。貴族はそこから普通の学校に進学するッ! 何だ?」
馬車が急に止まった。
「何かあったのでしょうか?」
「猪の群れが出たぞー!!」
前方の幌馬車から声が聞こえた。と同時に近くにいた人たちが下りて行った中に残ったのは俺とメイソンだけだ。
「よかったな今日は肉だぞ。狩りを見に行くか?」
狩りだと?ぜひ見てみたい。
「はい、ぜひ」
案外狩りはすぐに終わった。突進しかしてこない猪にカウンターを決めるだけだった。
猪はおいしかった。食事中はこの場でただ一人の知り合いのメイソンと話していた。
「馬車は予定通り明日の朝、王国につくそうだ」
「そうですか。王国についたらお別れですね。」
「まあ、商人なんて仕事をしていれば出会いも多いが別れも多い。まあ一生会えないわけではないからしんみりするのはやめて盛り上がろうぜ」
「そうですね。盛り上がりますか」
その夜はもはや宴だった。酒に酔ったメイソンに何度も酒を飲まされそうになった。前世でも飲まなかったんだから今回も飲むもんか。ちなみにあとメイソンに聞いたのだが、森で宴をすると動物は逃げていくが、魔物は逆によって来るそうだ。
夜、俺は何かの振動で目が覚めた。馬車の御者も振動に気が付いたのか声を上げた。
「おーい、何か来てるみたいだ相手してくっ」
ぐしゃっという音とともに何か降ってきた。人のシルエットをしていて馬車の御者のような恰好をした物だ。ただ人であるのなら頭がない。馬車は一瞬の静寂の後すぐに騒がしくなった。馬車の中は悲鳴を上げる物、走って逃げようとするもの、武器を持って戦いに行くもの、
金目の物を集めている人、何が起きているのか理解できない人もいた。俺もその一人だった。何が起きているのかわからない状況で俺に声をかけてくれたのはメイソンだった。
「アル、何をしている。逃げるぞ今回の奴はなんかやばい気がする」
俺も今回は少しやばい気がする。確実にあの御者は死んでた。首から上がなくて生きてるのならそいつが化け物だけどな。
「わかりました」
馬車を降りた俺たちが見たのは、恐ろしい光景だった。
先ほど武器を持って出て行った人の半数ほどが地面に血だらけで横たわっていた。頭がない人、体がちぎれている人。体が360度曲がっている人もいた。そんな死体の奥には大きな人のようなシルエットが見えた。こちらを見ている単眼が血のように赤く輝いて見える。おそらく軽く二十メートルくらいあるだろう。手には赤い液体が滴り落ちる大きな包丁のようなものを持っているのが何とか見えた。俺たちに気が付いた冒険者の男が叫んだ。
「何をしている。逃げろこんな大物相手では、俺たちは時間稼ぎにしかならない。おそらく俺たちはここで死ぬだろうから逃げてくれっ」
後ろを見ているその一瞬でその男の体はちぎれていた。後ろの巨人は相当動きが早いようだ。さっきまで男と巨人の間には二十メートルぐらいの間隔があったのに一瞬で詰められていた。
「おい、逃げるぞアル、あいつはサイクロプスだ。あれでも一応下級神だ。錬成魔法も使える。このままだと俺ら全員皆殺しだ。幸いこの近くには、あいつを恐れて生物がいない。全力で走れ」
「はい」
俺はメイソンの言葉に従い走った。木々の奥に見えた城壁に背を見せて逃げた。
「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁ」
後ろから誰かの悲鳴が聞こえた。振り返ると、遠くにある幌馬車がつぶされていた。中の人ごと、
「見るんじゃないアル、走れ」
無言で逃げるしばらく走っただろうか。本来ならもっと逃げて距離を稼ぎたいが五歳の子供のは無理がある。
「メイソンさんもう無理です。走れません」
「仕方がないそこらへんに隠れとくぞ」
「じゃあ僕は、こっちに」
「俺はこっちに隠れる、死ぬなよアル」
「はい」
そこからしばらくは隠れていた。その間も悲鳴は聞こえていた。三十分ぐらいたっただろうか。朝日が出て明るくなったくらいだ。悲鳴が止んだ。だがサイクロプスの物と思われる足音は鳴り響いていた。
数十秒後また悲鳴が聞こえた。そしてまた足音が鳴り出す。そしてまた悲鳴。その繰り返しが何度か続いた。どうやら隠れている奴や生きている奴を殺しまわっているようだ。足音がこちらに近づいてきた。ここも安全ではないのかもしれない。そして頭上を大きな音とともに何かが過ぎて行った。数メートルとなりでメイソンの声らしき悲鳴が聞こえた。俺はとっさに茂みから飛び出た。メイソンを助ける為ではない。逃げるためだ。だがそれがあだとなった。サイクロプスに居場所がばれたのだ。全力で走った。しかしサイクロプスは異様な速さで武器を振るってきた。
「がはっ」
肺の空気が一気に抜けていく。
そのまま俺は十メートルほど飛ばされた。人を切りすぎて切れ味が落ちたのか俺の体は切れてはいなかった。「痛い、痛い、逃げなきゃ、逃げなきゃ、殺される、殺される、」それだけが俺の頭の中にあった。立ち上がろうとするが立ち上がれないさっきの攻撃で骨が折れているようだ。奴はとどめを刺すために俺に向かって歩き出す。奴にとって十メートルなんてとても短い距離だすぐに距離がなくなる。奴は血だらけの包丁のような物を振りかぶった。
……そして首が落ちた。血が噴水のように吹き上がる。その場に赤色の水たまりを作る
その後サイクロプスは倒れた。
サイクロプスの奥にはたくさんの兵士がいた。そしてその中からサイクロプスを切ったと思われる少し筋肉質な、べっとりと血の付いた大きな剣を持った男が話しかけてきた。
「あれ、君もしかしてアルフレッド君ですか」
誰だ?俺はこんな奴知らないぞ。指名手配とかされてたっけ?まだ体が痛い少し首を動かせるが逃げることも無理だ。敵ならば終わりだろう。取り合えず俺は寝たきりの状態で答えることにした。
「はい、そうです」
「やはりそうですか。まだ幼いと聞いていましたが本当だったのですね。ともあれ生きていてよかったです。申し遅れましたが僕は、そこの王国の学校つまり君が今日試験を受ける学校の教師をしているスチュアート・デイヴィッドといいます。一応剣術を教えています。スチュアート先生でもデイヴィッド先生でも好きに呼んでください。まあその前に治療を受けてくださいね」
彼がそういうと一人の女性が近寄って来た。そのまま何か唱えたと思ったら。傷がなくなり痛みも消えて行った。久しぶりの魔法だ。
助けに来た兵士と生存者と死体とともに俺たちは町に入った。
俺は気になっていたことをスチュアート先生に聞いてみた。
「スチュアート先生、生存者にメイソンという商人はいましたか」
スチュアート先生は、手元の紙を見て言った。
「よかったですね。生きていますよ。ただし傷が深かったそうなのでしばらくは無理ができないですけどね」
「よかった」
思わず声に出た。
町に入って大きな広間につくと兵士のリーダーのような人が叫んだ。
「ここで解散をする。外はほかにも強い魔物がいるかもしれないからここから出ていく事はあまりお勧めしない、国の中なら命の保証はあるが、外に出たら命の保証はないからな、では解散」
まわりにいた人たちはどこかに去って行った。俺はどうしたらいいか分からずきょろきょろしていると、スチュアート先生に声をかけられた。
「そういえばもともと僕は君を迎えに来たのでした。門の前まで来たときにサイクロプスが出たと聞いて急いで外に出たので忘れてました。まあ結果的にはよかったですけどね」
そういやなんで教師が国の外で剣振っているのかと思ったら俺を迎えに来ていたのか。
「さて学校に行きましょうか。と言ってももうここ学校の敷地内なんですよ、ここアディントン王国の領土の四分の一はアディントン学校の土地なんですよ。先ほど死にかけていましたが、テストはまた今度ということはありませんので、受けるか受けないか決めてもらえますか。ちなみにお金は返しません。厳しいですが、これは学校の取り決めなのでしたがってもらいます」
受けるしかないじゃないか。
「受けます」
「それでは、さっそく試験会場に移ってもらえますか。午前中に筆記で午後から面接です」
と言いながら奥の大きな建物を指差した。
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午前中の筆記は簡単だった。歴史は覚えていたところばっかりだったから苦戦もしなかった。
文字の読み書きは問題文を読んでそれを下の記入欄に移すというものだった。
計算は日常で使う程度の物はかりだった。
どれも小学生でもとけるようなものばかりだった。まあおそらく合格ラインを超えているだろう。
そして今から面接だ。そして俺は今扉の前にいる。この扉を開けたらそこから面接だ。
とても数時間前に殺されかけていたなんて思えない。俺は深呼吸をしてから部屋にノックした。
「どうぞ」
中から短い返事が返ってきた。声からして相手は女性のようだ。それほど若いわけではないだろう。
俺は扉を開けてお辞儀をしてから言った。
「失礼します。フローレンス・アルフレッドです」
「あらあら、お若いのですね。あんまり改まらず気軽に答えてくださいね、そちらのほうが見やすいですから。私はこの学校の学校長をしています、テーラー・エリザベスと言います。お好きなようにおよびください」
マジか、いきなり校長登場かよ。まあ相手は神眼持ちらしいから何をしても無駄だよな。誰でも関係ないか。
「はい」
「今朝は大変でしたね。死にかけたとか」
「はい、スチュアート先生があと数十秒遅ければ、僕は今ここにいませんでしたね」
「それは大変でしたね、ん?あなたは今までに悪魔か何かと契約をしたことがありますか?」
神様にあったことならあるが契約を結んだことはないな。
「いえ、ないはずです」
「そうですか。……ではこれはなんなのでしょうか」
何か小声で言っているがなんなのだろうか。
「あの、何か?」
「ああ、いえ何でもありません。今日はもういいですよ。ありがとうございました」
えっ?早すぎないか?これって落ちた?何でだ?悪いことはしてないはずだぞ。
「あっはい、ありがとうございました」
「外にスチュアート先生がいると思いますから、寮まで案内してもらってください」
「わかりました」
部屋を出るとほんとにスチュアート先生がいた。この人いつからいたんだろう?俺が入るときはいなかったけど。
「どうでした?手ごたえはありましたか?」
「筆記のほうはまだあるのですが。面接で悪魔か何かと契約したかと聞かれたので、してないですと答えたらもういいですよと言われました。」
「あの人は少し変わっているからあきらめるのは早いですよ」
スチュアート先生とても優しいな。
「ありがとうございます」
そのあとスチュアート先生にこの学校を案内してもらってから寮に行った。この学校さすがは王国の四分の一もある。まだ半分もまわれていないらしい。しかし一応教室など必要になるであろう部屋は教えてくれた。また分からない事があったら何でも聞いてくださいね。と言ってくれた。スチュアート先生強いし優しいな、スチュアート先生みたいな人がいるから教師になろうと思う人がいるのだろう。
寮についてからとりあえず、家族に無事だということを手紙に書いて、ポストに入れておいた。この世界にも郵便はあるようだ。その日はそのまま寝た。おそらく相当疲れていたのだろうこの世界に来てからの中で一番ぐっすり寝た。
次の朝スチュアート先生が訪ねてきた。
「おめでとうございます。フローレンス・アルフレッド君、君は今日からここ、
アディントン学校の生徒です」
マジか。ほんとに合格できた。
ありがとうございました。
次回の投稿は少し遅くなるかもしれません。
これからもよろしくお願いします。




