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王国合同演習


翌朝、いつもより少し早く目を覚まし、私は気合を入れ直して訓練場へと向かった。

早朝の冷えた空気が肺に心地よく染み入る。訓練場に足を踏み入れると、すでに数人の選抜メンバーが集まっており、その中には指導係であるウォルターの姿もあった。

彼は今回の王国合同演習において、新米の指導だけでなく、第二騎士団を率いる主力部隊の筆頭として選出されていたのだ。普段から隙のない彼の背中は、今日は一層引き締まった重厚なオーラをまとっている。

私に気づいたウォルターは、いつものように無言で頷くと、手短に今日のスケジュールを告げた。

「今日からは特別メニューに移行する。合同演習本番を見据え、各騎士団との合同連携を想定した実践的な動きを確認するぞ。」

「はい!」

私もオリバーと共に声を揃えて返礼する。

周囲を見渡すと、他の選抜メンバーたちも一様に緊張と高揚の入り混じった顔をしていた。圧倒的な実力を持つウォルターが同じ部隊の先頭に立ってくれるという安心感は、新米の私たちにとって何より心強い。

「まずは基礎の確認からだ。遅れるな」

ウォルターの号令とともに、特別訓練の火蓋が切って落とされた。

容赦なく叩き込まれる実戦形式の動きに息が詰まりそうになりながらも、私は彼の背中を視界の端にとらえ続け、必死に食らいついていく。実家を出て得たこの場所で、私はもっと強くなる。王国合同演習という大きな舞台へ向けて、私たちの歩みは確実に加速していた。


王国合同演習の当日、王都郊外にある広大な演習場は、各騎士団から集まった精鋭たちと見物人たちの熱気で異様なほどの緊張感に包まれていた。

青空の下、ずらりと整列した各騎士団の制服が色鮮やかに風に揺れている。私たちが所属する第二騎士団も、団長を先頭に引き締まった足並みで入場を完了していた。周囲からは、王都の第一騎士団や、重装甲を誇る第三騎士団などの強豪たちが鋭い視線を向けており、ただ立っているだけで肌がピリピリと粟立つようなプレッシャーを感じる。


「おいリズ、緊張してるか?」

隣に立つオリバーが小声で話しかけてきた。彼の顔にはいつもの余裕の笑みが浮かんでいるものの、その纏うオーラにはわずかな硬さが混じっている。

「……緊張はしてるけど、足はすくんでないわ。」

小さく返すと、オリバーは「さすがだな。お前は肝が据わってるぜ。」とフッと笑った。

その前方に目をやると、主力部隊の先頭に立つウォルターの背中があった。振り返ることはないが、彼から発せられる揺るぎない青いオーラは、私たち部隊全体をしっかりと支えている。

「これより、王国合同演習を開始する!」

高らかな開会の号令とともに、演習場の空気が一気に張り詰めた。

第一回戦の組み合わせや模擬戦のルールが次々と告げられ、各部隊が持ち場へと動き出す。一ヶ月間、ウォルターの下で泥まみれになりながら磨き上げてきた技と、オリバーと培ってきたチームワーク。私たちがここで積み上げてきたすべてを試す時が、ついにやってきた。


最初に行われたのは、各騎士団の小隊ごとの模擬戦闘と連携を競う予選プログラムだった。

私とオリバーは、ウォルターが率いる主力部隊の後衛および遊撃として配置されていた。実戦さながらの緊張感が漂う中、角笛の合図とともに周囲が一斉に動き出す。

「来るぞ!」

オリバーの叫びと同時に、他騎士団の先陣を切る者たちが猛然と突進してきた。ただの訓練とは違う、生身のぶつかり合いと殺気混じりの魔力が演習場を駆け抜ける。一瞬の油断が命取りになるような乱戦の中、私は呼吸を整えながら冷静に敵の軌道を見極めた。

私の両手には、この一ヶ月で鍛え上げた確かな力がある。


突進してくる相手の剣撃を紙一重でかわし、流れるような動作で体勢を崩して一撃を叩き込む。私が敵を押し返したのを確認したオリバーが、絶妙なタイミングでフォローに入り、鮮やかに相手を無力化した。

「ナイスだ、リズ!」

「油断しないで、次が来るわ。」

短いやり取りの裏で、前方を引っ張るウォルターの背中からは、微動だにしない圧倒的な安定感と、確かな信頼の色が放たれていた。言葉はなくとも、私たちの呼吸は完璧に噛み合っている。

次々と押し寄せる他騎士団の精鋭たちを退け、私たちは一歩も引くことなく予選の混戦を切り抜けていった。観覧席からのどよめきが遠くで聞こえる中、心臓の鼓動が高鳴るのを感じながら、私は次の戦闘へ向けて再び剣を構え直した。


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