冒険者、始めました
2話に分けた話を圧縮。新版にして初めて巻きでいけたんじゃないですかね
はい。いよいよ冒険者稼業開始する私です。リンちゃんです。
おはよう世界。私の朝は早い。前世は家を出るギリギリまで寝ていたい類の人間でしたけど、今生は農村育ちということもあり朝の5時には起きていたのです。ま、今はそれより1時間遅い6時起きですが。
朝、目を覚ましたら当然のように魔法を【大魔法図書館】で呼び出して顔を洗い、一応寝癖とかがないかを確認する。こんなことにスキルを使うなって?なんも考えずにルーティーンワークに出来るのでつい……
この時間だと朝は出来ているのかな?ひとまず1階へ降りてみますか。冒険者ギルドは確か……8時からオープンでしたかね。それまでは暇ですし、ニコラちゃんとお話するのもいいかな。それか朝ごはんまだのようなら外を散歩してみるというのもアリかもしれません。
1階へ降りるとニコラちゃんと、もう一人、女性が掃除だったりをしていました。
「おはようございます、ニコラちゃん」
「あっ!おはよリンちゃん!そうだ。昨日は紹介してないよね?この人は私のお母さん!帳簿つけたり、食材仕入れたりしてることが多いの!」
「あなたがリンさんね?娘から聞いたさね。娘と友達になってくれたんですってね。私はトリエラ。この宿の女主人さね。今は主に裏方の方が多いさね。」
「初めまして、トリエラさん。リンと言います。私も、ニコラちゃんとお友達になれて嬉しいです」
トリエラさんは私をじっと見つめたかと思うと急に、
「ねぇリンちゃん?ちょっと私のことお義母さんと呼んでみてくれないかしら?」
と言ってきた。まぁ、断る理由は特にないので従ってみる。
「はぁ。……お母さん?」
「……リンちゃん。どうかしら?うちの娘と結婚しない?」
「ええ⁉」「ママ⁉」
どういうこと。え、本当にどういうこと。マジでなんの脈略もなくぶっこみますねぇ⁉
「あはは!冗談さね!ちょいといたずら心が湧いてきただけさね」
「もう!ママったら!急にそんなこと言われてもリンちゃんが困っちゃうでしょ⁉」
仲のいい親子ですねぇ。朝から楽しい気分です。これなら一日楽しいかも?
そんなこんなで朝ごはんを食べて時間を潰し冒険者ギルドがオープンする8時、私も他の冒険者と同じようにギルドで依頼を見に行く。と言っても私が今日受けるのは常設依頼の薬草採取とゴブリン退治なんですけど。
常設依頼の場合は依頼書を掲示板から剥がして受付に持っていく必要はないらしい。そりゃそうか。常設依頼ですもんね。というわけで依頼受注完了。場所は初心者御用達と言われている街の西の森。この街四方を山か森に囲まれているんですよね。もちろん街道は整備されているので人の往来も盛んなようですが。
ギルドでフェルンさん(フェルンさんの窓口にお呼ばれしたから)依頼受注することを伝えて私は西門から森へ向かった。
ゴブリンはほっとくと勝手に増えるので枯渇の心配はいりませんけど、薬草…もといポーションの材料のヒール草は狩尽くされていないと良いんですけどね。
ヒール草は森の入り口付近は直近で狩られたようであまり見かけませんでしたが少し進んだ先にたくさn自生していたので根っこを残して必要分(10束)だけ取り、私は次のターゲットであるゴブリンの群れを探すことにする。こちらはゴブリンの耳を5個納品することで依頼達成になるのだ。
しかしこの森はゴブリンが多いですね。少し探して歩くだけでうじゃうじゃと群れと遭遇するんですよね。数えてないので分かりませんけども……多分既に15,6匹は倒してるんじゃないですかね。普通ゴブリンの群れは大体スリーマンセル(3匹1組)が多いそうですが。ま、良いでしょう!この森のゴブリン殲滅するくらいの勢いでもうちょい狩っていきますか!
そんな調子でしばらく森を進んでいると私の【探知】スキルに多くの反応が引っかかった。魔力探知をしてみるとゴブリンの反応が多数いるのです。これは……巣、できてますね?
…………ちょっと様子を見てましょうか。殲滅できればしちゃう方が良いでしょうし、それが無理でも偵察は必須です。ギルドに報告するためにね。
そして【探知】を頼りに進むと……そこには確かにゴブリンの集落が形成されていた。恐らくはここにあった廃墟を利用したのでしょう。見える範囲だけでもゴブリンが100匹は居ますね。しかも反応的により強力な個体も存在してますよと。……ん?集落の別の方向でゴブリンじゃない反応が……まさか人⁉
よし。一気に片付けよう。多分ゴブリンの集落だしキングもクイーンもいるでしょうが……そんなの関係なくすべからく我が魔法の餌食となっていただきましょう
――――――
リンが去った後の冒険者ギルドにて。一人の少年がドアが壊れるのもかくやという勢いでドアを開け放った。何事かとそこに一斉に視線が集う。
「た、大変だ!!西の森に……!ゴブリンの……集落があった……んです…!」
「なんだと!とりあえずお前は水を飲め、そして落ち着いて話せ」
「は、はい……俺達、仲間と一緒に常設依頼受けて、西の森に行ったんス。そしたら異様にゴブリンに遭遇して……強力なゴブリンもいて……!素早く動ける俺がギルドに知らせに急いでもどってきたんです!お願いです!仲間を助けてください!」
「集落があったのは確かか?」
「はい……集落を発見して引き返そうとして見つかってしまって……!」
「分かった。お前は休んでろ。よく頑張ったな」
話を聞いた冒険者ことアルドは受付に確認する。
「これはゴブリンスタンピードってことで良いよな?」
「話を聞く限り間違いないかと。」
「それで、こいつの仲間の他に西の森に行った初心者は!」
受付嬢であり、リンの依頼受注を確認したフェルンが横から声をあげる。
「一人、いるわ。リンちゃん……いえ、リンさんが」
「昨日の嬢ちゃんか!話聞いたな⁉動ける奴は手ェ貸してくれ!新人が手遅れになる前に救出する!」
「「「おう!」」」
幾ばくかのパーティは大急ぎで準備を整え西の森へ向けて飛び出していった。せっかくやってきた新人達を失いたくないようだ。しかし、そんな彼らが西の森に到着した頃には既に事態は解決しているのだ。一人の少女の手によって。南無。
――――――
殲滅を決意した私はすぐさま準備に取り掛かる。おそらく、あまり悠長にしている時間はないでしょう。襲われている人たちを助けることを考えるならば。
「【大魔法図書館】演算開始!」
【大魔法図書館】の魔導書を展開しておいて、私は集落の中央に偉そうに鎮座しているゴブリン3匹を【鑑定】してみる。
《名称:ゴブリンキング》
《状態:発情》
ゴブリンの王様。性欲が凄まじく絶倫。雌であれば種族関係なく孕ませることが可能で生まれてくる子供はすべてゴブリンになる。知能は低い
《名称:ゴブリンクイーン》
《状態:発情》
選ばれしものでキングに隠れた厄災。繁殖力が普通のゴブリンの10倍。こいつがいるだけで簡単に際限なくゴブリンは増えていく。また、上位個体が生まれやすくなる。
《名称:ゴブリンエンペラー》
《状態:覚醒》
ゴブリンで最も恐れられる災害。この個体のいる群れは統率の取れた上で死を恐れぬ軍隊と化す。ただのゴブリンでもその脅威度は跳ね上がる。
うわぁ……冒険序盤で遭遇していい相手とちゃいますやん。しかしどうにかしなければエクレシアの街に被害が出るだけなのが分かり切っているので気張るしかなーい!
「オプション『地形破壊なし』『対象限定:魔物のみ』」
【大魔法図書館】は記憶されている元の魔法を改変して呼び出すこともできるのです。ただし、オプション付けると使用する魔力量は2~3倍に上がるのが玉に瑕。まぁ今は消費魔力量なんざ気にする暇はないです。厄介なのいるし一撃で消し飛ばすに限る。
「再現:光属性『スター・エクスプロージョン』!」
魔法を発動すると途端に魔法の効果範囲は暗くなり、一瞬にして夜の領域が生まれる。そして放出された私の魔力は星の形を模り地上に降り注ぎ、接地すると同時に多大な爆発を引き起こす。元はこの魔法は見た目の綺麗さがあってその上で整地なんかに使える魔法が欲しかったから作ったのですけどね。あとカッコよさを求めまして……
星が降り注ぎ爆発するなんて厨二心を擽られません?それはさておき、【探知】スキルで確認する限り着々と反応は減ってきていますね。
突如空からの奇襲に統率のされているはずのゴブリンも慌てて連携もなにもない大パニック状態に陥っている。悠然と構えていた王族ゴブリンも一瞬判断が遅れた結果爆発は直撃し既に絶命している。
爆発が収まった私は素材が残っていることに安堵し、王族ゴブリンズの魔石と耳を回収し、それから襲われていたであろう人たちの元へ向かいました。探知には2人引っかかるので生きているとは思うのですけどね。




