案外世間は狭いものですね
この辺はどうしても旧版の焼き増しにならざるを得ない。家を入手するまではね。
今回までは金額の横に硬貨の枚数を記入しておこう
はい。いきなりそこそこ金持ちになった私です。リンちゃんです。こりゃあくせく働かずとも生きていけそうですねぇ。
ギルドを出た私は教えてもらった宿を目指して歩いていたわけですけども。……4人かな。
尾行されていることを感じた私は一旦路地の方へ曲がり着いてきている連中を誘い込むことにした。さっきのやり取り見られてたでしょうしね。ま、私、見た目はか弱い美少女ですからね。襲いやすいように見えますよね☆
「へへっ…おい、ガキ。オメェ随分イイもん持ってんなぁ。俺らにちっと恵んじゃくれねぇか?」
「大人しく差し出してくれりゃ、悪いようにはしねぇからヨ」
私思うのですけど。このシチュラノベでもありがちじゃないですか。なぜこの手の輩は自分たちが路地に誘い込まれたと考えないのでしょうか?……あー、自分らが尾行してることを気づかれてないと思ってるからか。
「え~?い、一体なんのご用ですか~?」
男達の方へ振り向きざまに魔法を発動させる。今回は相手の頭部を水球で覆うだけの簡単な魔法なんでわざわざ【大魔法図書館】を使う必要すらありませんね。まずは声を掛けてきた二人。
「「がぼぼっ⁉」」
「こ、こいつ…!魔法使いだ!やっちまおう!」「あ、ああ!」
水の糸を彼らの足元に出し、転ばせる。そしてさっきと同じように水球で顔を覆う。全員が気絶したのを確認してからふん縛ってギルドにぶん投げてきた。
今度こそ私は『銀の猫亭』に辿り着いた。宿の外観は木製ながら落ち着いたシックな色合いをしていて丁寧に手入れされているのも見て取れる。
宿の扉を開けて受付に。私と同じ年頃の女の子が受付してくれた。この世界の識字率分かりませんけども、彼女を見る限り庶民でも結構教育行き届いているんですかね?
私?私の場合は【異世界言語】スキルのおかげで読める書ける理解できる状態です。転生チート最高
「いらっしゃいませ!お泊りですか?1泊850ゴル(銅貨8枚、鉄貨5枚)になります!素泊まりの場合は400ゴル(銅貨4枚)です!あ、新人の冒険者さんだったら割引もできます!」
茶髪のサイドテール快活系女子ですか。めっちゃグッときましたねぇ。
さて、何泊しようか……スローライフ志望ならいつか家は欲しいですが、すぐに家が手に入るとも思えませんし……とりあえず6日(1週間)分で良いか!
「食事付きで6日お願いしたいです。これ、冒険者証です」
「えーっと…はい!確かにFランクの新人さんですね!そしたら……元の値段が850ゴルで……6日分だから……」
カウンターの下から算盤みたいなものを取り出して計算を始めた。
はえ~、算盤みたいなものはあるんですねぇこの世界。
「5100ゴルですね」
「わ。ほんとだ。すごーい!計算早いね!そしたら……そこから連泊の分と新人割で考えて……4000ゴル(大銅貨4枚)になります!もしも代金が足りなかったら払える分だけ今払ってもらって残りは1日分づつ払ってもらうこともできますよ!」
「大丈夫、全額払えます」
「ひーふーみー……はい!大銅貨4枚確かにちょーだいしました!お食事は朝と夜の2回、時間は決まっているので遅れないでください!あとは……あ!お声かけくだされば体をふくためのお湯をお部屋に持っていくので気軽に声をかけてください!お部屋は2階に上がって右側の一番奥に部屋になります。こちらがカギです!」
「ありがとうございます。6日間お世話になります」
鍵を受け取った私は少しうきうきで2階へ上がり、言われた通りの右側の一番奥の部屋に入った。
おお。思ったより広い。物でぎちぎちなこともなく、多少は自由が利く広さです。ベッドのシーツは整っているし机に椅子、一応クローゼットもついてますね。明かりは……ドアの方と机の上にありますと。これは大当たりのお宿ですねぇ。
ま!残念なことに【無限大収納】ありますので何か荷物を置くこともあまりないでしょうけども。とりあえず部屋の確認も終わったし街の散策へ繰り出しますか。露店とか見てみたいですし。クエストは~……明日で良いでしょ。
あ、街の散策ついでに教会にも寄っておきますか。数年前にうちの村にやってきていた先生もといシスター様との約束ありますし。誠実に生きることと暇な時でいいから教会でのお祈りを忘れずにという約束事がね。日本人の記憶のせいか未だに信仰心とか芽生えやしないですけどね!
しかし私の歩いた範囲だと教会は見なかったな。地図とかもらいに行きますか。冒険者ギルドなら……街の地図くらいあるでしょ。
***
「フェルンさん、何度も訪ねてすみません。この街の地図とかありませんか?」
「地図?あるけど…どこか行きたいの?」
「はい。教会に」
「なるほどね。はい、これが街の地図よ。ここが冒険者ギルドね。教会は東区にあるわ。リンちゃんが泊まっている宿は『銀の猫亭』かしら?」
「そうです」
「じゃあその一個手前の角を曲がると教会に着くわよ」
「親切にありがとうございます!フェルンさんもお仕事頑張ってください」
1日に何度も話しかけて色々な用事でお時間奪ったのに嫌な顔せず応対してくれるフェルンさんはプロの受付嬢ですね。ちょっと憧れます。
***
言われた通りに進むと石造りの教会が見えてきた。教会の外では一人のシスターが掃き掃除をしていた。
お祈りのため教会に近づくと…なんだろうなぁ。掃除しているシスターに既視感を感じる。見覚えがあるのです。ので思わず声を掛けてしまった
「あの……」
「はい?お祈りでしょうか……ってまぁ!リンではないですか!久しいですね。アレからもお元気でしたか?」
「はい!イブ先生もお元気そうで何よりです!先生今はこの街に務めていたんですね?」
やっぱり。彼女は数年前に村にやってきていた先生ことシスターイブその人だったのです。まさかこんな所で再会できるとは夢にも思いませんでしたよ。彼女は私にこの世界の常識ってやつを叩き込んでくれましたからね。しかし彼女は異動になってしまいましたから。お礼言えなかったことを後悔してたんですよねぇ。まさか叶うとは。
「ええ。そうなのです。……確かあなたはまだ11歳のはずでは?ご実家でまだ養われているはずでしょう?私がここに居るのを知っての行動でもないようですし」
「まぁ……もう自立してくれと言われましてね……冒険者になったんですよ」
「ああ……確かに、私から見てもリンは既にしっかりしていましたし魔法も巧みに使っていましたからね」
納得されてしまった。しかしシスターの目尻に涙が浮かんでいるのを見てこの人は私との再会を喜んでくれたんだとも思った。
「ともかく元気そうで安心しましたよ。良いですか?無茶はダメですよ?辛いことがあったらいつでもこの教会を訪れなさい。その時は私も力になりますからね」
「はい!」
「そういえば……ここにはお祈りに来たのですね?ではどうぞ。作法は覚えていて?」
「はい」
昔シスターに教わったやり方を思い出しながら祈りの姿勢と取り祈ってみた。祈りの内容は……まぁ秘密です☆
「ふぅ。……また『先生』に会いに来ても?」
「うふふ。ええ。良いですよあなたの『先生』はいつでも待っていますから。今度お茶でもしながらゆっくりと話しましょうか」
「はい!楽しみにしてます!」
多分今日一番いい笑顔だったと思います。
――――――
(フェルンside)
(お仕事頑張ってください、か。フフ、良い子だわ。お姉さんやる気出てきたわ…!)
今日の昼頃冒険者登録に来た少女リンちゃん。初めは依頼を出しに来た貴族の子女かと思ったものだわ。そしたら迷いなく登録に来たというから驚いた。そしてこのギルドの新人の洗礼とも言うべきアレをなんなくどころかむしろ圧倒してみせた。かと思えば買い取りにだした魔物も質が良く初心者とは思えない額を手に入れたし。
あとは……まぁ、バカなことを考えたチンピラ連中を返り討ちにしたりも、ね。アレでリンちゃんが連れてきた奴らは素行は悪いけど実力のある冒険者でもあった。それを難なく撃退したのだからこれから彼女に喧嘩を売ろうなんて考える者も減ることだろう。
始めは冒険者なんて向かないと思ったけれど、実際会話してみるとその言動は落ち着いていて年齢通りには思えなかったわ。もしかして彼女、エルフだったりするんじゃないかしら?なーんて!あの子が何者でも良いだろう。可愛い少女と仲良くなれた。それだけで十分だと思うわ。
一泊の泊の字がゲシュタルト崩壊した。一瞬これで正しいんだっけ?ってなった。
日付関係は旧版まんま採用。
・1日は24時間。
・一週間は6日。1月30日。年は12ヶ月で360日。
・1週間は、火、水、木、風、土、星の日。星の日が休日。




