たまには難しめの依頼でも受けましょうか?
はい。ゲームのアイテム図鑑とかは出来うる限りは埋めたくなる派の私です。
冒険者ギルドにやってきましたよと。よく考えれば私、これまであんまり長期的な依頼とか受けたことないなぁと思いまして。あ、グルノーミン行ったアレはまた別ですよ?あれは街から街への移動でしたからね。せっかくだし偶には長期的な依頼でも受けてみようかと難しめの採取依頼とかないかなーと探しに来たのです。
「なんか難しいというか、珍しい素材採取依頼とかないかな?」
「中々そのような依頼はないと思いますよ。そのような依頼は競争率も高いでしょうし」
「まぁ、だよね~」
リーデと共に依頼の掲示板から何か興味の惹かれる依頼を探していく(ミチルちゃんはまだ寝ているしマリーちゃんは畑の世話に精を出しているので不在)。一応朝一で来ているので依頼争奪戦の時間帯ではあるのですが、それはDランク以下の冒険者の話。このエクレシアの街は比較的初心者向けの街ということでCランク以上の冒険者はあんまり数が多くないので依頼の取り合いということもない。実に平和でいいですわ~。
のんびり依頼を探していると、一つの依頼が目に留まった。
「なになに…?『微睡月花の採取依頼』……?心地よい睡眠を追求するためにエクルスト山脈に咲くと言う幻の花が欲しい、か。面白そうな依頼じゃない?」
「微睡月花ですか……聞いたことがありますね。なんでも魔力が豊富な土地という前提の下、月が出ている間にのみ咲くのだとか。時にはこのような依頼もよいかもしれませんねご主人様」
「よっし、じゃあ今回はこの依頼を受けてみよっか!」「はい、ご主人様」
しっかしこの依頼主の人にもちょっと興味が出てきましたよ私は。だって心地よい睡眠の追求のためですって!普通そんな文言依頼書にいれないと思うんですよねぇ。ただ微睡月花を取ってきてほしいって書けばいいだけですから。逆に好感持てますよ個人的には。
私達は受付で受注処理をしてもらった。今日はフェルンさんは非番のようで見当たらなかった。残念。
「ちなみに微睡月花ってどこに生えているとか分かっていたりしますかね?」
「そうですねぇ……この一帯となると……エクルスト山脈、もしくはその先の魔族領であるヴィーゲヴァルトなら……可能性はあると思います。ただ、その希少性から具体的にどこに生えているのかきちんと解明されているわけではないんです。なのでもしかしたら空振りで終わる可能性も……」
労力に見合わない可能性もある、と。まぁしかしです。私はお金に困っているわけではないですし忙しいわけでもない。私の冒険者としてのスタンスは他の冒険者の人たちとは違っていわば趣味の延長というか副業のようなもの。……なんら問題ないですね!
「その時はその時ですので問題ないですね。リーデはなにか懸念点ある?」
「そうですね……見つかるかどうかという点にご主人様が納得されたのであれば私からは何も」
「分かりました!そういえば、リンさんとリーデさんだけで行くんですか?」
「いえ、一度家に戻って皆にも共有するのでパーティメンバー全員で行くつもりですよ」
「なるほど、安心しました!エクルスト山脈にはこの前町の近くまで来たという竜も住んでいると聞きますし……お気をつけて頑張ってくださいね!」
「はい、ありがとうございます」
無事に依頼も受けることが出来ましたし、家に戻りますか。ミチルちゃんもマリーちゃんも嫌とは言わないと思うし。テティアちゃんも着いてきたがりそうだけど……そこはピーネにぴったりくっついていてもらえばいいかな。もちろん私達も意識は配っておくけども。
***
【安寧の鍵】を使って我が家に戻ってきた。ミチルちゃんもマリーちゃんもルミナさんにテティアちゃん、そしてピーネと全員リビングで思い思いに過ごしていた。
「ただいまー。採取依頼受けてきたからこれから行こうと思うんだけど、皆にも着いてきてほしいんだけどいいかな?」
「うん。私は大丈夫だよ!」「あたしももちろん行く~♪」「私ももちろん行くわよ?」
「りんおねーちゃん、リーデおねーちゃん、おしごと?テティも行きたい!…だめ?」
「テティアちゃんはピーネから絶対に離れないこと。それと皆の言うことはちゃんと聞くんだよ?それができるなら一緒に行こうか」
「テティ、いい子だからおねーちゃんたちのいうことちゃんときけるよ!ピーネちゃんもはなさない!」
「むっ、それは心強いんだぞ☆ぜーったい、我を離しちゃダメなんだぞテティア!」
依頼で危険もあるのに幼い子を連れ歩くのはどうかとも思うんですけどね……一人は寂しいでしょうし、何よりお外に出れないとストレスも溜まるものでしょう。なので最大限の注意を払ったうえで連れていく。具体的には私とリーデがそれぞれ強固な結界をテティアちゃんに張る。ピーネは……まぁ不死鳥だし自衛もできるから特に結界は掛けていない。
「リーデさん、依頼は何を採取するんです?」
「微睡月花という希少な花ですよ。ギルドの話ではエクルスト山脈か、ヴィーゲヴァルトに生えている可能性があるということでしたが……ミチル様のスキルで群生地を調べることはできませんか?」
「まっかせてください!えーっと、【叡智の集積所】!ま、ど、ろ、み、げ、っ、か……と。確実とは言えませんけど、スキルによるとエクルスト山脈の中腹からヴィーゲヴァルトってところの麓あたりなら生えている可能性は高いみたいですよ!空振りって可能性はあんまり高くないと思います」
「それなら安心でしょうか。ご主人様が納得していると言っても無駄足になるのは出来れば避けたいですからね」
「あたしがいるから迷子にはならないだろうけどね!迷子になってもどうにでも出来るし~」
うん?なにやらルミナさんの表情が暗いような?何かあったんですかね?
「ルミナさん?どうしたんです?」
「え⁉ああ、なんでもないわよ?」
「ホントにだいじょぶです?行き先を聞いてから急に顔に影が差したものですから。」
「本当に大したことじゃないのよ。ただ……ヴィーゲヴァルト、魔族領に行くかもってことは実家に近づくから。なんだかんだここでの暮らしが楽しいからって手紙は出しているけど未だに帰って無いじゃない?ちょっと気まずさというか罪悪感みたいなものを感じただけよ」
そういえばルミナさんが来てから最低でも1か月は経ちましたもんね。でも一応今は公認の社会勉強とはいえ元は家出と。帰りづらいものもあるんですかね、やっぱり。……それならヴィーゲヴァルトには近づかないようにしましょうかね。
「だったらヴィーゲヴァ……」
「本当に気にしないでってば!リンが何言おうとしたのかはなんとなく分かるけど、そんなに気を遣ってもらう必要はないのよ!むしろいい機会だわ。こういう機会でもないと私、色々理由をつけて家に帰ろうとしない気がするし。ただ……その、できれば……一緒に着いてきてくれないかしら?屋敷の皆にお世話になってるリンたちの事を紹介したいってのもあるし」
「ん、分かりました。じゃあ依頼のついでにルミナさんの里帰りもしましょうか!あ、でも急にお邪魔するのは迷惑じゃないですかね?」
「そこは大丈夫なはずよ。一応いつ客人が来てもいいように整えられているしね」
なるほど。軽い気持ちで受けた依頼でまさかのルミナさんの里帰りもすることになるとは思いませんでした。というか、ルミナさんって魔族領から来たんですねぇ。ま、私魔族領の存在とか今初めて知りましたけどね!




