てっきりロリコンの方かと……
はい。発生したテンプレイベントが実はテンプレイベントじゃなかった疑惑が出てきた私です。リンちゃんです。
詳しい話を聞くため、推定ロリコンの変態不審者3人衆のテーブルに座る。もちろん何かおかしな行動されたら嫌なので食事とかに手を付けたりしませんが。
「……で?試すだとか一体全体何の話だったんでしょうか?」
「あー、説明する前に、俺らの自己紹介してもいいか?」
「え?ああ、はい。どうぞ」
「俺はアルド。このBランク冒険者パーティの『緋色の牙』を率いるリーダーだ。んで、こっちのまだ顔色が悪いシーフっぽい恰好の男はグエス。見てわかる通り、うちの斥候役だ。斥候以外にも器用にこなせるが体質が特殊で、魔力の気配に異常なほど敏感なんだ。その代わり魔力が濃い場所に居ると魔力酔いになりやすい難儀な奴だ。」
「あー、よろしくな。」
シーフってか……忍者みたいな風貌ですけども。まぁここ日本じゃないのでニンジャなんて言葉知られてないのでしょう。だからシーフみたいな恰好ってことなんでしょうかね。それにしても特殊体質ですか……そういう人もいるんですね?大変そうだ。
というかコレって部外者への情報開示では?まぁ当人も気にしてないなら良いか。……良いんですか?
「次にこの如何にも裏切りそうな顔してる男が」
「酷くないかな?」
「うるせぇ。ともかくこいつが……あー、その……なんだ。ロリコンってやつだ。コイツにはあんま近づかない方が良い。ともかくだ!こいつはパーティの支援役のラッチだ。」
「失礼だねアルド。僕はロリコンじゃないよ。小さなレディーたちを見守りたいだけの紳士さ。どうぞよろしく、お姫様」
((そういうとこだろ……))
この世界でも糸目は裏切るって風潮が蔓延してるんですね…?もうなんかそういうものなんだろうなぁ(小並感)。で、やっぱりロリコンなんですねこの人?あ、ちょっと近づかないでもらえます?貞操の危機を感じます。
「他にもあと二人。魔法使いとエルフの精霊使いがいるんだが……そいつらは今日はこの場に居ないから割愛するぜ。
さて。俺達が嬢ちゃんにチンピラ絡みした訳を話さないとな。」
「お願いします」
「このエクレシアの街は冒険者の新人登録率が結構高いんだ。低級とはいえダンジョンも存在しているしな。腕試しにはもってこいってことでこの街から冒険者になるやつもそれなりにいる。母数が増えりゃそんだけ慢心する新人も出てくるってもんだ。冒険者を舐め腐っている奴だとか……金でランクを買おうとする貴族のボンボンだとかがな。そいつらが受注する依頼の難易度選択をミスって死ぬのはぶっちゃけ自業自得だ。同情の余地はねぇ。だが、そいつらの依頼主や町の人間に対する振舞で冒険者の信用が落ちたら全員が迷惑を被る。俺らも商人と同じく信用商売だからな。そこを理解してない奴らを振るいに掛ける通過儀礼みたいなものなんだ。」
通過儀礼、ね。まぁその手の輩は現実を突きつければ冒険者になろうなんてしないでしょうからね。
「それだけじゃねぇんだけどよ。新人達の実力だったり……覚悟を問うためのものでもある。」
「覚悟、ですか?」
実力はまぁ分かるんですけど。覚悟?……あー、命懸ける覚悟かな
「そうだ。俺達としては新人が増えることは歓迎だ。優秀な人材はどんだけ居ても困らねぇ。だが、早々に死んでほしくもねぇのが本音だ。そのためにさっきの流れを暇なベテランがやっている。立ち竦むようなら無茶しねぇように伝える。威圧に屈しないなら自身の実力を慢心するなと釘をさしておく。それでも改善しないバカもいるっちゃいるが……冒険者なんて所詮自己責任だからな。俺らもそんな奴らに時間割くほど暇じゃねぇ。これはギルド側も黙認しているんだ。実際必要なことではあるからな」
「なるほど。そこまで考えが巡らされていたんですね~?納得です。いや~、私はてっきり皆さんが平凡な小娘に下心持って近づいてきた変態不審者集団かと誤解してました。すみません。あ、お一人は実際そうなんでしたっけ」
「おう、気にすんな。何も説明せずにいきなり仕掛けたのは俺らだから……って誰がロリコンだ!?ラッチと一緒にするんじゃねぇ⁉心外だぞ俺ァ……」
「類は友を呼ぶって言葉知ってます?友達とかは大概同類しか集まらないらしいですよ?」
「「な⁉お……ロ……ど……は?」」
あ、アルドさんとグエスさんがショックで白目向いちゃった。な⁉俺がロリコンだと?コイツと同類の?
みたいなこと言いたかったのかな。
「とりあえずラッチさんでしたっけ。私の半径5メートル以内に近づかないでくださいね~」
「完全に嫌われたなラッチ。ドンマイw」
「うるさいよグエス」
さて話は終わったかな。あ、宿取らないと。野宿は……別に構わないけども。
「そうだ、嬢ちゃん……おっとまだ名前ちゃんと聞いてなかったか。」
「ああ、そうでしたね。私はリンです。呼びやすいように呼んでくださいね」
「それじゃあリン、迷惑かけたお詫びってことで好きなもの食べて良いぞ。奢ってやるぜ。これ、メニューな。」
「ありがとうございます。じゃあお言葉に甘えて…」
どうしようかなー、どれも美味しそうですし……というか一品とは言われてないですね?
「じゃあチキチキバードのソテーください。あとはこれと、それからコレと……あとコレも。」
「な、なぁリン?」
「なんですか?」
アルドさんが何か言いたげな表情で声を掛けてきた。いや何を言いたいのかうっすら察しは付きますけどあえてそれは無視させていただきます。
「い、いや。なんでもねぇ……っとそうだ。お前、宿は取ってるのか?」
「まだです。おすすめとかあります?」
「それなら『銀の猫亭』って宿がおすすめだ。料金は比較的安価だし食事付き。部屋もそれなりに整っているぜ。初心者御用達の宿でもあるな。」
「確か、Fランク冒険者だと割引してくれるサービスもあったはずだ」
なんと。それはありがたいですねぇ。今は金欠ですし。
「場所はギルドを出て右に行け。そしたら街の中心の広場に着く。あとはそこから右の方の道を行けば見えてくるはずだぜ。ちょいと待ってな……ほれ、一応簡単な地図も付けとく。」
「ありがとうございますアルドさん」
「気にすんな!お前ならきっとすぐに高みへ昇れるだろ。応援してるぜルーキー」
「はい!頑張ります」
昼食をガッツリ奢ってもらってそのまま私は教えてもらった宿、『銀の猫亭』へ歩を進めた。




