あー、オルガムさんの自業自得っすね。合掌
はい。もうちょっと寝ていたい寝起きちゃんな私です。
私が目を覚ましたこともあり、皆で医務室を出た……のは良いんですけど、リーデが私にぴったりくっついて離れなくなっちゃった!なんてこったい。いやまぁ、分かりますよ?多分恐らくきっとめちゃめちゃ心配を掛けたからこうなってるんでしょうね?
「それにしても……リンちゃんに特に異常がなくて良かったよぉ……」
「うん、心配してくれてありがとねミチルちゃん。……で、リーデ?離して?歩きづらいよ?」
「嫌です。これ以上ご主人様に何かあってはいけませんから」
嫌 で す 。即答じゃないですか。まぁ百歩譲って私をギューッと抱きしめて離さないのは良いんだけど、足がずるずる引きずられてるのよ。せっかくの服が台無しになっちゃうよ?というかだいぶおかしな絵面ですね?
「……じゃあせめて引きずられる形にするのやめよ?」
「ではご主人様を私が責任をもって運びますので。」
「……はぁ、じゃあそれで」
微塵もリーデが折れる気配がないので私が譲歩しようじゃないですか。大人しく人形のようにリーデに抱かれておきますか。多分リーデの身長は推定180近いし、大丈夫でしょきっと。
「なんか、すごい……シュールだね」
「言わないで。分かってるから」
医務室を出た私達はグラコスフェニックスの卵の様子を見に行くことにしたのです。そのついでに道中で同乗している冒険者の人たちにも挨拶をしようかと考えていますけどね。
歩いていたら第一村人ならぬ第一冒険者パーティーはっけ~ん。
「どうも~」
「ん?嬢ちゃん目が覚め…た……の、か⁉ど、どーした?」
「いや~、心配掛けたせいか離してくれないんですよ~。お気になさらず~」
「お、おう?そうか……しっかしすげぇな嬢ちゃん!あのまh」「いやマジですっげぇ威力の魔法だったな!俺、感動しちまったよ!」
「おい、俺が喋ってる途中だろうが!被せてきてんじゃねぇぞタコ!」「お?やんのか?ハッ!良いぜ!今日こそケリつけてやろうじゃねぇか!今日こそ俺が勝ち越しすっからなァ!バカがよォ!」
「よーし、こっちこい!」「あー、良いぜ⁉」
話しかけた人が私に何か言っている最中にメンバーの人がセリフを被せてきた。そしてなんか喧嘩始まっちゃった(困惑)
私達が呆気に取られていると残るもう一人のお姉さんが話しかけてきた。
「あらあら~、病み上がりなのに騒がしくしてごめんなさいね~。あの馬鹿どものことは放っておいていいわよ。けんかっ早いのはいつものことだしね。ハァ……やぁ~ね~、男ってのはす~ぐ力で訴えるんだから。品が足りてないわ。おっと、愚痴ってる場合じゃないわね。グルノーミンに戻った後も仲良くして頂戴ね~。それじゃ、私はあの馬鹿どもを止めてくるわ。船乗りの人たちに迷惑掛けられないもの」
一言挨拶をしてその場を離れました。当然、人に目撃されるたびにギョッとした目で見られますけどね。もう慣れ始めてきましたよ私は。とことん見世物になったろうかゴルァ⁉……いややっぱ、見世物は嫌ですわ。
「さっきのお姉さん綺麗だったね。そう思わない?リンちゃん」
「さっきの人、多分男の人だよ?」
「え⁉嘘~⁉」
「確かに先ほどの方は男性でしょう。喉仏がありましたし」
「まぁ、ぱっと見は完全に女の人だったからね~。アレは自分磨き怠ってないオネエさんだよ」
私の美人センサーにも引っかからなかったしね。え?美人センサーって何かって?綺麗なお姉さんを見分けるセンサーに決まってるじゃないですか。精神はともかく、肉体の性別で判断しているのでね。ま、人の格好にとやかく言いませんよ。それもまた個性ですからね!良きかな個人の個性が尊重される世界。
続いて船上をフラフラしているとオルガムさん御一行を発見した。あ、サブマスさんも。そういえば私、あの人の名前知らん気がする。
「オルガムさーん、バンダさーん。ど~も~。目が覚めたので来ましたよ~」
「おや~、リンさん~。もう、体長はよろしいのですかな~?」
「ええ。万全……ではないですけど。平気です。そういえば、お名前、聞いてなかった気がします。今更ですけど、お名前を伺ってもよろしいですか?」
「おやおや~。まだ名乗っていませんでしたか~。それは失礼しました~。私はチェンガと申します~。冒険者ギルドグルノーミン支部のサブギルドマスターを務めています~。お見知り置きを」
「よろしくお願いします」
……チェンガさんが気付いててわざと放置しているのは分かりますけど、そんな顔色一つ変えないで平然と対応することあります?私、今もまだお人形状態なんですけど~……
「よぉ、リン。元気……そうだな?」
「……」ニッコリ
「あー、私の状態は気にしないでください。離してくれないんです。心配掛けたので」
「そ、そうか……ま!元気なら良かったぜ!」
「……」コクリコクリ!
本当に喋らないですねバンダさん……良いですけどね?筆談とか……なさらないので?今度は獣人さんが、おそらくコルニカさんだと思われるのですけど。違ってたら恥ずかしいですよね。あ、しっぽふわふわ……
「ん、自己紹介、まだだった。私はコルニカ。黒猫族の獣人。よろしく」
「コルニカさんですね。私はリンです。改めて、よろしくお願いします」
「ん」
「コルニカ様、先ほどはご主人様を医務室へ運ぶのを手伝っていただきありがとうございました」
「ん、気にする必要、ない。むしろ、何もできなかった分…手伝うのは当然」
どうやら私を医務室へ運んでくれたのはリーデとコルニカさんの2人のようですね。
「なんと。運んでくださったんですか?それはご迷惑おかけしました。そしてありがとうございます。……重くはなかったですかね?」
「ん、気にしないで。羽のように軽かった。むしろもっと食べるべき。……運んでる時にしっぽを触られたときは驚いたけど」
「エ゙ッ⁉⁉⁉」
なんてこったい!(本日二回目)
私は意識を失っていたとはいえ人様のしっぽを勝手に触ったと⁉やっちまったァ……!くっ…どんな罵倒も受け入れようじゃないか。
「すみません、寝ていたとはいえ勝手にしっぽを触るのはダメでしたよね…?」
「大丈夫。しっぽの触り方、とても優しかった。嫌じゃなかった。急で驚いただけ。むしろ事前に言ってくれればいくらでも触ってもいい。……耳はダメだけど」
「なッ⁉」
コルニカさんに許可取れればコルニカさんのしっぽをモフっても良いんですかァ~⁉わっほーい。流石に今からモフろうなんて気はないですよ?そんな状況ちゃいますやん?……で、オルガムさんは何をそんなに驚いていらっしゃるのです?
「どうかしたんですか?オルガムさん」
「ああ、いや……しっぽを触るのを簡単に許してるところも、初対面の人間とそれなりに長い会話をしている姿を滅多に見ないもんだからよ……年下だからか?俺らみたいな同年代相手だと滅多に見ないぞ。」
「……」コクコク!
年下。まぁ、そうでしょうな。私、11歳ですし。で、同年代。つまり……オルガムさんがアラサーくらいに見えるのでコルニカさんもそれくらい、と?いや、確かに話に出てきた時は私と同じくらいの身長って話でしたね。
「コルニカさんとオルガムさん同年代なんですか?コルニカさんはもっと若いのかと……」
「もしかして俺、老けてるのか……?……リンと同じくらいのこの身長でコルニカは俺と同い年だからな!」
直後、コルニカさんがオルガムさんの背後に一瞬で回り込み、そして…………股間を蹴り上げ、オルガムさんは悶絶しながら崩れ落ちた。まぁ、妥当ですわな。
「イッ――ッ⁉」
「ん、乙女の年齢ばらそうとした。当然の報い」
「……(うんうん)」
「最低ですね~オルガムくんは~」
「こういう男性なんて言うか知ってます?ノンデリって言うんですよ」
「う~ん……これは流石に……オルガムさんが悪いと私も思います……」
「女心を学ぶべきかと」
その場に居合わせた人間全員に見捨てられたオルガムさん。ひとえにあなたがノンデリなせいですが。合掌。チーン
リンちゃんの身長は大体143cm前後です。なのでコルニカさんも耳を抜かすとそんくらいです。耳込みだとリンちゃんよりちょい高いです。




