その海の魔物、食べれますかね?(日本人魂)
バンダさんの名前打ち間違えてて草も生えない。修正しましたのん
はい。卵や牛乳は確保したこともあり、刺身だとか寿司だとかが無性に食べたい私です。リンちゃんです。
卵や乳製品を買うことももちろん目的ですけど、どうせなら港町の新鮮魚介を食べたいと思っていたのですが、残念なコトに沖の方に魔物が出ているせいで漁に出られないのですって。なんてことをしてくれるんだ魔物がよォ!ということで冒険者ギルドに向かうことになりました。
冒険者ギルド……エクレシアと比べるとちょっと閑散としてますわ。ともかく。依頼掲示板を覗いてみますか。沖の魔物に関する依頼が出てるかも。……おっ、ありましたね。『緊急クエスト:沖に出現した魔物の調査』参加規定最低Dランク以上。一定の人数が集まり次第開始、っと。一応今からでも参加できるか受付のお姉さんに確認してみましょう。
「あのすみません。掲示板に貼ってある緊急クエスト、あれってまだ参加者募っていますかね?」
「受けてくださるんですか⁉あと一組ほど枠が空いていて……もうひとまず締めきろうかと……って、あらら?初めて見る顔ぶれですね?それに、いくら調査といえども海上での作戦になります。Dランク以上でないとないと参加を認めるわけには……」
「こちら、私の冒険者証です。」
「確かに、Dランクですね……分かりました!参加規定を満たしているのなら文句はありません。では港の方へ赴いてもらえますか?」
「分かりました。……ところでその魔物って、食べられますかね?」
「……はい?」
「いえ、ですから、その沖に出現した魔物、食べられるのかなと」
「魔物の種類は……その、判明していないのでなんとも言えませんが……え?」
おーっと。ちょっと受付のお姉さんから正気を疑う目で見られていますね?いや、気持ちはまぁ分かりますよ。普通、身の危険とかそういうのを意識するもんですもんね?でも。私は今!海産物が!食べたい欲求を抑えられないのです。しょうがないね。まぁいいです。場所もわかりましたし、早速行きましょうかね?
「ヨシ、じゃあ……誰がテティアちゃんと一緒に【安寧の地】で戻るか、決めよっか?」
「えー!テティ、じゃま……?いらない子…?」
「ううん、違うよ。お姉ちゃんはテティアちゃんのこと大切な家族だと思ってるよ。だからテティアちゃんに怪我してほしくないんだ。後で美味しい物作ってあげるから、お姉ちゃんたちが帰ってくるの、待っててくれる?」
「……分かった!テティ、良い子で待ってるね!……早く帰ってきてね?じゃないとテティ、悪い子なる」
あらまぁ。それは早く帰らなければいけませんね。テティアちゃんがグレたら私は嫌です。
「それじゃ今日は私が引っ込もうかしらね。私、船に乗るのはあまり興味がないのよ。飛べるし。だからテティアと一緒に戻ってるわね~」
「はーい、了解です。リーデは?」
「私は当然ご主人様に同行しますよ?嫌と言われても、です」
「ミチルちゃんは?」
「わ、私も行くよ。もしかしたら役に立てることがあるかもしれないしね!」
じゃあ沖の魔物の調査に赴くのは私とリーデとミチルちゃんの3人で決定と。早速現場に直行!
***
港に行くと何組かの冒険茶が集まっているのが見えた。あそこですかね。
「こんにちは~、沖の魔物の調査依頼の場所はここで合ってます?」
「えぇ、合ってま~すよ~?参加していただけるの~ですね~?冒険者証を~見せて~いただけます~?」
「どうぞ」
「ふむ~?確かに、Dランク~ですね~。おや~……もしやあなたはエクレシアの街で話題の~リンさんでは~?」
「そうですが、知っているんです?」
「えぇ~、こちらにも情報は入ってきています~からね~。ゴブリンスタンピードを単独で食い止め、最速でDランクへ駆け上がった少女がいる、とね~」
そんなに広めることなんですね、あれって。大したことなかったような気がするんですけどねぇ。アルドさん達【緋色の牙】の皆さんでも食い止めること出来そうですけど。まぁ、そんなことはどうでもいいです。
「分かりました~、それほどの方なら~反発も少ないでしょ~う~。皆さ~ん?こちらのリンさん達御一行も調査に加わって~くれるようですよ~?異論はありますか~?」
「「戦えるなら異議なし‼」」
良かった。変に絡まれて出発が遅れるとかなりそうだったら流石に辞退しようかと考えてはいたので。
そんな感じでやりとりをして無事に船に乗っけてもらうことに成功しました。船に乗っているのはこの街を拠点にしている冒険者の方々で、ランクの内訳としてはDランクパーティが私達含め、3組。Cランクパーティが1組のようです。まぁ、海の男らしいとでも言うべきか、エクレシアの冒険者より陽気で活発な印象を受けますねぇ。そしてもう一人。私が初めに声を掛けた、間延びするような喋り方をしている人、彼はこの冒険者ギルドグルノーミン支部のサブマスらしいです。……正直、糸目だし喋り方もあえて間延びさせているようで、裏で糸を引く黒幕みたいな人だな~(←失礼)とか思いました。
「出航だ!」
お、船が出ましたね。今から沖に着くまでは暇ですしそれまでの間は冒険者らしく同乗者の人たちと交流を図っときましょうや。ということで私は今回の依頼の要の戦力ともいえるCランクの人たちに声を掛けた。ちなみにミチルちゃんは船を見て回ると。リーデはリーデで美味しい海産物の話とかを聞きに行った。
「ほ~ん。じゃあお嬢ちゃん達は卵とか牛乳求めてこっちに来たんだな!確かに、エクレシアだとあんまし畜産は盛んじゃないからな~。育てようにも、餌は仕入れなきゃいけないだろうしよ。こっちはほぼ自生してっからな、畜産はしやすい環境だろうぜ!」
「そうなんですか?それって何か理由があったり?」
「ああ。鶏や牛とかは塩草っていう塩味を含んだ草じゃないと育たないのさ。で、その塩草は海辺にしか生えないのさ」
なるほど。エクレシアでは一切畜産されているのを見ないのはそういう理由ですか。ふーん、塩草かぁ。それじゃあ鶏とかを売ってもらったりして【安寧の地】に連れ帰るのとかも難しそうですねぇ……
「おっと、自己紹介してなかったな!俺はオルガムってんだ!よろしく頼むぜ?」
「私は―「おっと、皆まで言うな。リンだろ?ゴブリンスタンピードを単独で鎮めたんだろ?冒険者の間じゃ結構有名人だぜ?」」
「なんか、思ったよりその話広がってるんですね?」
「当たり前だろうよ!ゴブリンスタンピードを単独で、つまりパーティ組む前に1人で片したんだろ?そりゃどんな凄腕でもできないだろう偉業だぜ?それを冒険者登録して数日も経ってない新人がやってのけたんだ。その話で沸かない冒険者はいねぇだろうさ!もちろん、良くも悪くも、だがな」
そんな気はします。今の所変な因縁をつけてくる輩はいないので煩わしいこともないですが。
「だが、俺には分かる。お前さん、マジで強いってのがな!なぁ、バンダ?」
「……」コクッ
バンダと呼ばれた男性はおそらくオルガムさんの仲間なんでしょう。恰好から見ると……マント羽織って青いバンダナを頭に巻いている所から斥候職、でしょうか?……それなら無口なのも頷けますねぇ。
「いや頷くだけじゃなくて喋れよ!ま、こいつは見ての通り無口なんだ。人の話を聞いてないわけでもないから気は悪くしないでくれな!ほんで、こいつはうちのパーティの回復役さ。見た目と役職が違い過ぎて驚くだろ?コイツ自身はなァ、斥候職就きたかったらしいが、残念なことに斥候関連の技術はへたっぴなのさ。だからせめて恰好だけでも、ってことで今の格好してるんだ。バンダも挨拶しとけって」
「……」ペコリ
「あ、これはどうも。短い間ですがよろしくお願いします」
「……」コクリ
あ、絶対に声を出す気はないんですね?や、私は別に気にしませんが……言っちゃあなんですが、良くこの人コレで冒険者やってんな。まぁ、声に出さずともきちんと反応を返してくれますし、何より感情は顔に出てますからねぇ。コミュニケーションとしては成立するんでしょうきっと。
「もう一人、本職の斥候もいるんだが……気まぐれでな。今はどっかで日向ぼっことかしてるかもな。猫の獣人で名前をコルニカってんだ。お嬢ちゃんと同じくらいの身長だから分かりやすいと思うぜ。見かけたらぜひ話してみてくれな!」
「はい、その時はぜひ」
そんな感じでオルガムさんと一旦別れ、別の人たちにも挨拶をしに行った。皆さん気のいい優しい人たちばっかなのでいざという時も連携とかとりやすいかもしれませんね。
――リンちゃんは知る由もないことだが、別に普段の彼らはそんなに優しくはない。というか愛想が特別良いわけではない。だが、むさくるしい野郎ばかりの中に突如として美人な3人の女性が現れたのだ。男共は歓喜し、印象良くしようと優しくしているのである。――




