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あるー日ー森の中ー美少女をー拾ったー♪

はい。今日はちゃんと冒険者をやっている私です。


冒険者ギルドでフォレストウルフの群れの討伐依頼をね、受けまして。私とリーデはエクレシアの街の東側に広がる山脈、《エクルスト山脈》の麓の森にやってまいりました。この山、噂では竜王が住処にしているのだとかなんだとか冒険者の間では語られていたりします。本当かどうかは誰も知らないみたいですがね。


まぁ、そんな眉唾物の噂話はどうでもいいのですよ。かれこれ目的地の森に入ってから2,30分。ここまでまったくもってフォレストウルフの群れと!微塵も遭遇しないんですよ!フォレストウルフとかそこらへんにわんさかいるはずでしょ!?


「リーデ、全然探知にも引っかからないんだけど、どう思う?」

「微精霊達にも聞いてみました。どうやら、フォレストウルフの中に特別大きなボスが誕生したようです。現在はそのリーダーを中心に動いているのだとか。」

「だからってここまで何も遭遇しないとかあり得る?」

「縄張り争いに敗れたのかもしれません」


……それなら納得できますかぁ。そうしてしばらく森を彷徨っている内に、私の探知に人間の反応と魔物の反応が引っかかった。魔物がその人間を囲んでいる感じですかね。リーデと共にすぐさまその現場に直行する。と、隠れ潜んでいる狼の群れを発見した。そして、人間の反応の方を見てみると、ひとりの女性に対してデカいフォレストウルフが数頭を引き連れて囲んでいる場面であったのです。


「リーデ、雑魚は任せていい?」

「お任せください」


二手に分かれて私はすぐに【大魔法図書館(グリモワール)】を発動。もうボスウルフが女性に飛び掛からんとする直前だもんで間髪入れずに魔法を放った。


「再現『スノードーム』」


ひとまず倒すよりも女性の保護を優先して、氷の壁を生み出し、そのままボスウルフの前に立ちはだかった。壁と言ってもね、周りの雑魚が攻撃できないように拒んでいるだけでボスとは真正面から対峙出来る作りなのですよ。


「涙を流す美少女にやって良いのは話を聞いて泣き止ませることだけですよってね。ま、それを獣に説き伏せるのはナンセンスでしょうがね。さ、遊んであげますよワンちゃん。」

「グルルル…‼」


……フッ。やらかした気がする~!無駄にカッコつけようとクッソ恥ずかしいこと言った気がする~‼でもまぁ?ヘイトを私に向けるのは成功したっぽいですし、±0ってことで。ヨシ!


私に煽られたと理解しているのか怒りを露わにして爪と牙での攻撃を私に仕掛けてくる。そのすべてを私は躱すかいなしてこのボスウルフの速さを観察する。……あんまり躱すのに苦労しないですね。じゃあさくっと倒しますか。


「再現『咲き誇る氷薔薇(クリスタル・ブルーム)』」


魔法の再現によってグリモワールから氷の茨が敵目掛けて放たれ、その茨を狼は躱す間もなく絡めとった。そのままでは簡単にやぶられてしまうところをこの魔法は絡みついた茨が急激に対象の体を凍てつかせ氷の薔薇を咲かせるのである。実に映え重視の綺麗な魔法だなーと我ながら思います。なんでこんな魔法を作ったかって?そりゃあ、使う時にテンション上がるからですよ。


「ご主人様。掃討、完了しました」

「んー、お疲れ様リーデ。こっちも片したよー。多分依頼の魔物だよね」

「そうですね。これで今日の依頼は完遂ですよ」


雑魚掃討をして戻ってきたリーデと少し話し、私は女性の方を振り返る。


「さて、お姉さんだいじょぶです?お怪我とかありません?」


その女性は黒髪に黒目、そしてどっかの高校の制服。つまり彼女は異世界転移者だ!なるほど。異世界定番の森スタートしたところをこいつらに運悪く見つかってしまったと。……心なしかお姉さんの顔が赤いような…?


お姉さんは状況に付いていけていないのか、少しぽかんとしてそれからハッとしたように……私の質問に答えた。


「えと……腰が抜けて立てなくて……」

「そですかー。んじゃあ街まで運びますね。リーデ、悪いんだけど魔物の処理とか収納、お願いしていい?」

「はい、お任せください。早急に済ませます」


腰が抜けているみたいですし、おんぶというわけにもいきませんよね。仕方ない。お姫様抱っこ失礼しまーす。


「ひゃっ……⁉」

「とりあえず、私の家が近いのでそっち運びますねー」

「ア、エト……お願いします…?」


リーデもフォレストウルフの死体回収とか終わるのを待ってそれから私達は家へ向かって歩くことにした。【安寧の鍵】は使わない。流石に知らん人間の前で気軽に使えない。


歩きながら私の姿を見たリーデが一言、


「ご主人様は……いつか女性に後ろから刺されないか心配になります」


と言った。本当に急に何?なんで私が女の人に刺されないといけないのか、コレが分からない。


「え、急に何。なんでそんな話になるの。全然心当たり無いんだけど……」

「ご主人様は女性に対しては非常にお優しいですから。女性に気を持たせるのではないかとふと思いまして。私の見ている範囲ではニコラ様とフェルン様は……」


なんでリーデがそんな心配をしているのかは分かんないけど一つだけ言いたいことが出来たので言っておきますか。


「リーデ。今の発言は、いくら私のことを敬愛してくれているからって、世の中の女性に対して失礼だよ。世の女性は私になにかされただけで簡単に絆されるほどチョロいって言ってるのと同義だからね。ニコラちゃんもフェルンさんだっていい人だけど、ちゃんと芯はある人達だよ。私如きに惚れてるとか本当に彼女らにも失礼だからね?人前でそういうこと言っちゃだめよ」


この世界、というかこの国は恋愛に関しては非常に寛容らしいのです。同性愛者も数が多いわけではないですが存在しているらしいですよ?なんであり得ない話ではありますけど、仮定の話で百合方向に話を持っていくのはおかしくはない、のです。


「は、はい。申し訳ございません。出過ぎた真似を……」

「あぁ、そこは気にしないでよー。リーデが私のことを想って言ってくれたのは分かってるつもりだしそこまで想ってくれるのは正直に嬉しいからさ。あ、もちろんだけど。リーデも自分のこと安売りとかしちゃだめだからね。」

「はい!」


それにしてもリーデはおかしなことを言いますね~。確かに私、自分では自画自賛美少女だと思ってますけども。それはあくまで異世界補正によるもので、この世界で見ると私の顔なんて中の下か中の中くらいでしょうに。そして確かに私は中身が男なのもあり恋愛対象は女性ですけれどもね?私のマイノリティ寄りの嗜好に誰かを巻き込む気もないんですよ。


そういえばJKのお姉さんの反応がさっきからない。一体どうしたんでしょう…?見るとどうやらお姫様抱っこでパニクっているようで独り言をぶつぶつ呟いていた。……そっとしておきましょう。

リンちゃんの自認は美少女である。ただし、当社比(リンちゃんの中の人の感覚による比較)で美少女というだけで平凡だと思っている。しかし現実は異世界基準で見てもめちゃ美少女である。

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