あー……まぁ、解決したんなら……良かったです?
旧版でもばかすかキャラを増やして結局扱いきれなくなった癖に懲りずにキャラを増やしていくスタイル。
この作者、何も学んでいないのである。
ところで皆様。前話までが一応回想の体を取っていたのは覚えておいででしょうか。まぁ回想形式で語ってはいなかったんですけど
はい。相も変わらず拾い者した私です。リンちゃんです。
私の家の前で倒れてた少女二人は無事に目を覚まし、魔力欠乏だった吸血鬼のルミナさんも栄養失調ぎみだった獣人のテティアちゃんも、どちらも種族特性故かめちゃめちゃ元気だったということもあり、服を買ったり、街を案内したり、家……というか【安寧の地】の機能周りの説明したり……そんなこんなで彼女らを拾って2日経ち……朝の散歩でもしようかと一人、家を出た所……なんか見知らぬおじさんが憤怒の形相で立っていたのです。
***
はい。回想終わり。で、どうしようかな。今の私、魔法で生み出された大きな腕に掴まれ、家の壁に押し付けられているのです。痛いし魔法をイメージしている暇はない。ただ、かろうじて両手首は動かせるので【大魔法図書館】の発動はできる。けど…
「ご主人様ッ!そこのお前、今すぐ我が主を開放しなさい!」
「ふん、仲間がおったか!邪魔立ては許さぬ!この下等生物を屠り次第、貴様も同じ目に遭わせてやろう!」
「下等生物……?」
元より握りつぶそうと力を込められていたのがリーデの登場でなのか、ヒートアップしたようでさらに力が込められる。しかもこの男の見え透いた挑発に……いや、挑発なのか?ただの本心なのでは?にリーデが乗っかってしまった。
「ぐっ……」
まずい。本格的に、死ぬ。話してる内容からしてルミナさんの父親でしょうが……こうなりゃ仕方ない!反撃を……
「パパ!何をしているの!」
「なっ…!ルー!怖かっただろう。今、この愚かな下等生物を始末するからな。一緒に家に……」
「……で」
「…ルー?」
「ふざけないでって言ったの‼」
ルミナさんの剣幕に驚いたのか、一瞬拘束が緩んだ。その隙に私は急いで【大魔法図書館】を展開して魔法を再現し脱出した。
「ご主人様!平気ですか⁉」
「はぁ……ふぅ。なんとかね。死ぬかと思ったけど」
「ご主人様、あの者、消しましょうか」
「やめなさい。私のためを思ってくれるのは嬉しいけど、ね」
目にハイライトないよリーデさん。なに、ヤンデレメイドなの?それとも狂犬なの?ともかく落ち着こうねー、はい。深呼吸してー。吸って―吐いて―……
さて私は怒り心頭のリーデを宥めすかして事の成り行きを完全に見守ることにした。元から口を挟む権利ないけどね。私達には。だってルミナさんと家族の問題だし。
「な、なにを怒っているのだ?我は、お前を迎えに……」
「そんなこと頼んでない!それに……そこのリンとリーデは私の命の恩人なのよ‼」
「そ、そう言うように脅されているのだな?そうなのだろう?」
瞬間、空気が完全に凍り付いたのを私は感じ取った。今のは付き合いの短い私でも分かりますよ。完全に地雷、踏み抜きましたね……
「……そう。パパは愛娘である私の言葉すら聞かないのね。所詮あんたにとって大事なのは自分の言うことを聞いてくれる従順な人形なんでしょ?じゃ、私もいらないってことね」
「ち、違う!我は本当にお前のことを想ってだな……」
「パパの中では私はそんなに守ってあげなくちゃいけないほど弱いのね。そうじゃなかったら、私が脅されているだとか怖かっただろうだとか!そんな戯言出てくるわけないものね。自分が守ってあげなくちゃすぐに死ぬって?ハッ!それ、結局ただの自己満足でしょ?娘を守る父親って姿に浸ってるんでしょ」
おそらくルミナさんの中で彼女のお父さんに対する株価が下落どころの騒ぎじゃないレベルで大暴落していらっしゃいますよねコレ……止めた方がいい?これ以上いくと関係が修復不可能になりませんか…?
「パパは昔からそうよね。私が少し庭に出たいと言ったら外は危ない。怪我をしたらどうするといって庭に出ることを禁止して。部屋に押し込んで。友人が欲しいと言えば血族でも他人なぞ信用に値しない。お前が傷つくとか言って、使用人以外との接触もできなくして。とにかくパパは私が外界に興味を持とうものならそれを封殺して!屋敷に閉じ込めて!愛しい娘とか言ってる割に私のお願いを叶えてくれたこと、ほとんどなかったわね」
うわぁ……それどんなイケメンでもやっちゃいけないカスの所業ですよ(ドン引き)子供なんて外で遊んで怪我して友達とバカやってね。それで人との関わりとかを学んでいくものでしょうに。
「そ、そんなことは……我はお前の幸せを……」
「私を想って?自分の用意したレールに乗って人形のように生きろと?ふざけんな!いい⁉私は自分の意思で!あの屋敷を飛び出した!私の目で!誰かの話や本を通してじゃない、私自身の目で世界を見たいからって!」
「我は妻と……お前の母との約束を……」
「じゃあ聞くけど。一度でも私の意志を、確かめたことあった?一度でも、私のお願いを否定せずに叶えた!?ママは私に、あんたの人形として生きてほしいって!一度でもそう望んだ⁉」
最後の一言が、彼に刺さったらしい。目を見開き、そして固まってしまった。
「……そうだ。妻は……我に……娘を幸せにしてやってくれと、そう、言われた……私たちの娘を、私の分まで愛してあげてと……言われた。そうか、我は……愛娘を、物扱い、していたのだな……ハハッ……我は……自分があらゆる危険から娘を遠ざけることが愛することにも、幸せにすることにもつながると、そう信じ切っていたのだな。我はなんと愚かか」
「……ごめん。言い過ぎたわ。パパがパパなりに私を大事にしようとしていたのは分かってる。それでも限度があった」
「ああ……そう、だな……我はちゃんとお前と、守るべき庇護の対象としてではなく、一人の生きる存在としてのルミナ・ブラッドレイと向き合う必要があったのだな……」
ルミナさんのお父さんは私とリーデの方に体を向き直して、頭を下げた。
「リン、そしてリーデと言ったか。……まずは話を聞こうともせず襲い掛かり、申し訳なかった。そして、我の世界で一番大事な娘の命を……救っていただき、感謝する」
「大したことはしていません。こちらこそ、私の契約精霊が失礼な言動をしました」
頭を上げた彼の顔は、さっきまでの鬼の形相が嘘のように憑き物が落ちた顔をしていた。そして改めてルミナさんの方に向き直った。
「……我はお前を籠の中の鳥にしようとしていたのだな。すまなかった。」
「ううん。分かってくれたならいいわ。じゃあ、しばらく私はリンの家に厄介になるから、帰るのはしばらく先の事になると思うわ」
「な、なんだと…⁉や、屋敷に戻ってきてはくれぬのか…⁉」
「ええ。これはパパに対する罰でもあるもの。私がいない屋敷で反省して。……大丈夫よ、ちゃんと屋敷には帰るわ。ただ、すぐには戻らないだけで」
しばらく戻らない宣言を受けたルミナ父は真っ白に燃え尽きて石像のように動かなくなってしまいました。
「ふぅ。騒がせたわねリン。パパ、遠慮なしに握りつぶしに来たでしょう?どこか、怪我とかはしていないかしら?あ、パパは放置しておいていいわよ。アレも罰のうちよ」
「ん……大丈夫ですよ。内臓にダメージ入るほどではまだなかったので」
「ご主人様、一応治療院へ向かいましょう」
リーデは心配してくれているけど本当に大丈夫だと思う。結界にダメージ受けましたけど。すると家のドアが開いて、テティアちゃんも出てきた。
「んゆ……ごはん……」
「あ、そうだね。じゃあご飯待ってる間私とお話しよっかテティアちゃん」
「……うん!」
「では私が朝食の準備に取り掛かりますね。」
「ねぇリーデ、私も手伝っていい?料理ってやってみたかったの」
「構いませんよ」
皆でわいわいしながら朝食を食べに家に戻った。ルミナパパは朝食後も燃え尽きていた。
なんか思った以上にルミナさんのお父さんが毒親になった気がする。いや、毒親でいいのか分からんけど




