こ、これはッ!まさかK・O・M・E・!M・I・S・O・!
うーん、フェルンさんとのデート(お出かけ)回どのあたりで挟もうか……あ、挟み込むのは確定事項ですよ。
はい。一日で家を完成まで持っていく見通しを得た私です。
アンドレアさんの店で家具の発注も出来ましたので今日はもうおしまいかな~。あ、忘れないうちに冒険者ギルドでリーデの登録しないといけません。
「この後街回ろうかと思ったけど、先にリーデの冒険者登録を済ませちゃおうか」
「分かりました」
商業通りを抜けて冒険者ギルドへ。流石に昼も過ぎてるので朝よりかはだいぶ人が減ってますね。今日は……フェルンさんはいないみたいですね。残念。じゃあ今日は別のお姉さんの所で対応してもらおう。
「ようこそ冒険者ギルドエクレシア支部へ!本日は……あら、リンさんですね?本日はどうされましたか?」
「隣にいる彼女の冒険者登録をしてほしいんです」
「なるほど。かしこまりました。少々お待ちください……それではそちらの……メイドの方?こちらの紙に指名と希望する職業をお書きください。登録料は……」
「300ゴルですよね。こちらで」
「はい、確かに。代筆は必要ですか?」
「いいえ。大丈夫ですわ」
リーデは手渡されたペンで名前と職を書いた。……って待てぃ!職業:ご主人様のメイド ってなに⁉なんで受付の人もなんも言わずにスルーしてるんですか⁉え、私がおかしいのか?
「ではこちらのカードに血を垂らしてください」
「かしこまりました」
私の疑問は他の誰も触れることなく登録の手続きが進行し、何事もないかのように終わった。職業ってなんでも良かったってことぉ?ちょっと納得いかないんですけど!……まぁいいや。無事に登録できたし。
「よし、じゃあリーデ、一緒に街を回ろう!」
「お供しますご主人様」
お澄まし顔をしているが目はキラキラ輝いているし声のトーンもちょっと上がったのが分かる。うんうん好きなだけ街を回ろうね…
エクレシアの街は例によって例のごとく外壁に囲まれた円形都市で、私がこの街に脚を踏み入れたのは冒険者の区画ともいえる南区。東区には庶民の住居だったり、教会だったりがある区画。そして生産系ギルドがあり、一番活気のある区画が商業区でもある西区になっている。……北区に関しては行ったことないので普通に知りません。
ってなわけで私たちは西区を歩いて巡り、露店の品物を見て回ることにしました。いくつかの店を回ると街の一角でオランド商会という文字で目に入った。
「オランド商会……」
「オランド商会ですか。確か、やり手の商人が立ち上げた商会と聞き及んだ覚えがあります。先代が立ち上げた小さな商会を、現会頭の手腕で全国的に支店を持つほどの規模と影響力を有するのだとか。……と言っても私が知ってるのは本当に今のような噂程度ですが。前の男はオランド商会を見下していたようで利用していませんでしたので」
「ふーん、そうなんだ」
そういえば……昨日商業ギルドで会った老紳士が経営してるって言ってた商会名オランド商会だったよね。全国展開してる商会のどこが”しがない”商会の長なんでしょうかね…?
「せっかくだし、寄ってみようか」
「はい!」
オランド商会の店舗に立ち寄ると中は広く、掃除も行き届いているのか非常に清潔感のある内装に所狭しと人がいる。
「いらっしゃいませ、お客様。何かお探しでしょうか?お客様のお求めの物がオランド商会ならば取り扱いがおありやもしれませんよ」
「んー、お店が目に入ったので入ってみただけなんですけど……あ、そうだ。珍しい食べ物とか取り扱いあったりしませんか?」
「珍しい食物……でございますか。……ああ!それならお客様は幸運でございますね!実は本日……滅多に他国と繋がりを持たない極東の国の食物がいくつか入荷されておりまして……そちらにご案内いたしましょうか」
珍しい食べ物。……極東の国の食べ物……ここをヨーロッパ基準としたナーロッパであることを考えれば。極東とは日本……的な国に違いない。それはつまりどういうことか?ワンチャン米とか醤油とかが……あるかもしれないってコト!
「ぜひ!お願いします!」
「かしこまりました。ではこちらへ……」
店員さんの案内に従って案内された先へ行くと……そこはまさしく日本人のための区画だろと言わんばかりの品ぞろえだった。
しかも?店員さん曰く、馴染みがなさ過ぎて誰も買っていかないと。私の異世界人生勝ったな。米が食えて味噌汁も飲めるとくればさらばホームシック!……いつかはその極東の国へ行かなければいけませんね!
「ご主人様、嬉しそうですが……何か良い物でも?」
「うん」
「穀物の方は……麦に似ていますね?こちらもパンにするのでしょうか」
「いいや!パンも出来なくもないけど、これは炊いて食べるのさ!」
米はどうやら精米はされていない状態の様ですね。ま、この辺は……魔法でどうとでもなりますからね!
で、次。私は2つのツボに目を付けた。蓋を取ってみると、一つは黒い液体。もう一つはペースト状の茶色いもの。まぁ、もうこの2つの正体はお察しでしょう!しかし確認は必要です!
私は近くにいた店員さんに味見は出来ないか聞いてみた。すると店員さんは快く味見用の取り皿を持ってくれたのでお礼を言いながら受け取り、2つのツボからそれぞれ取って味見してみた。
やはり醤油と味噌じゃないか!素晴らしい!最高!これで和食を異世界でも食べられるゥ!
「ご主人様、私も一口、よろしいですか?」
「もちろん。ただこれは調味料だから一口ね~」
「ありがとうございます。では……まぁ!どちらも独特な味わいですが、美味ですね…!これらを料理に使えばそれだけで作れる幅が広がりますよ!」
「気付いちゃったかリーデ。やるね」
極東の物は日本のものと類似していることが分かったのでもう迷う必要もありません!買いです!というわけで、醤油、味噌を2つずつ。米も2俵ほど買ってしまいました。もちろん、大豆も忘れずに買いましたとも!
まさかまさかの出会いにホクホクウッキウキです♪
「ご主人様、そちらの穀物と豆はどうなさるので?」
「食べるんだよ!できれば苗とかあると尚良かったんだけどねぇ。豆はまぁ育てる用も確保ね」
「食べるし育てるんですか?」
「そうだよ!」
瞬間、私の脳内に最近なにかと聞く機会の多いシステムアナウンスさん(仮)の声が聞こえた。
『条件を達成したため、スキル【安寧の地】のランクが上昇しました。新規機能が追加されました。確認しますか?』
当然、YES!新規機能とか一番気になる部分でしょう?
『スキル【安寧の地】の派生スキル【安寧の田園】が解禁されました。【安寧の田園】とは【安寧の地】と繋がる別の亜空間内に田畑を形成した領域のことを指します。【安寧の田園】においては部位を問わず入手したことのある植物あるいは主の記憶の中に存在する植物をコンソールから選択し栽培が可能になります』
ガチ?これだけですごくね?つまり……米も大豆も育てられると?
『その認識で問題ありません。説明を続けます。【安寧の田園】内では植物の成長速度が大幅に上昇し、作物によっては植えてから数時間で収穫可能なものも存在しています。また、【安寧の地】効果範囲内では常に適温に保たれ、育つ動植物は怪我、病とは無縁に。安定した収穫量と品質が保証されます』
「ご主人様?どうかなさいましたか?」
「うん?ああ……なんか【安寧の地】がランクアップ?したんだって」
「え?もうランクアップされたのですか⁉まだ本格的に住んでも居ないというのに……?と、所で何か変わりはありましたか…?」
「うん。【安寧の田園】つまり畑が出来たんだってさ。そこの作物は成長促進に品質、量を保証されるって」
あ、リーデが固まっちゃった……もしもーし?生きてるー?
「ハッ⁉申し訳ございませんご主人様、【安寧の地】がそんな簡単にランクアップしたという話は聞いたことがなかったもので……」
「そうなの?」
「はい。普通は何年も何年も家に住むことで少しずつ家が快適になっていくものなのです。ご主人様のこれは……少し、常軌を逸していますね。しかし何か悪影響があることもないので増えた機能は存分にご活用ください」
「普通に何も気にせず使って大丈夫なのね?」
「はい」
えー、拝啓。お母様、お兄様、お姉さま……あと、双子の兄(弟)よ。私は元気です。村を出て4日目で家を持ち、さらには一畑の持ち主と化しました。
思わず家族への手紙を書きそうになるくらいには衝撃の事実でした。
10話とあと4話をちょろっと修正してきました。10話は11話に指摘がついたんで手直ししやすい10話の方を直しまして……4話は1話の時点でゴルの存在出してんのに硬貨の枚数で表記していたことに気付きましてね。……作者バカなんじゃねぇの?




