お怒り
人間は様々な感情を持っています。いえ、人間だけに感情があると思うのは思い上がりでしょう。おそらくは多くの生き物に感情がある筈です。
「喜び」「楽しさ」を「正」の感情だとするなら、「怒り」「恐怖」は「生」の感情だと思うのです。「負」ではなく、「生」き残る為の感情。だから、記憶に残りやすい。野生に生きるなら、怒りや恐怖を覚える状況は命の危機に直結している筈です。同じ状況を繰り返さない為に、強く記憶に残す必要があるのですね。
ところで、目の前に、私のジャージをべろべろと舐め倒している子が居るんですよ。我が家の主であられる『カワユイ(仮名)』。何故か『カワユイ』はこのジャージに執心していまして……私が着ているのを強奪しようとするのです。
ですが、まかり間違って『カワユイ』がジャージを噛み切ってしまい、それを呑み込んでしまったら一大事です。愛あればこそ、そう簡単に渡すわけにはいきません(本音)。そもそもこのところ急激に気温が下がって来て、ジャージが無いと私が寒い(大本音)。
だからね、お断りしたんです。
「止めたってつかあさい」
って。
やんわりと、ちょっと土下座気味にお願いしたのです。
そしたら『カワユイ』さん、考え込むように間をとってから、態々私の目を覗き込んでめっちゃゆっくりと、「シャー!」って……。
なんか、納得いかなくないですか⁉ だって別に、食べる訳でも着る訳でもないジャージが無くても、あなた困らないでしょ⁉ 私はこのジャージが無いと寒くて困るんよ! っていうか、そもそもが私のなんよ!
なんでお前さんが怒るんじゃ!!
生に直結しない怒りもある、そんな話でございます。




