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88.相談 ②

「サモンくん、君に何があったんだ?」


トオルは浮かない顔で答える。


「ん?どうしてそう思われたんですか?」


「君は私の授業を一度もサボったことがないのに、今日の授業に顔を出さなかったではないか」


「それは、物作りに夢中になって、つい授業のことを忘れてしまったんです。勝手に授業をサボってしまい、申し訳ありません」


「謝る必要はない。授業に出るかどうかは君次第だ。欠席したことより、君は何かの目的のために武具アイテムを作ることに集中するの方が気になる、まさか、尋常ではないトラブルに巻き込まれたのではないか?」


オリビアのまっすぐな目線にトオルは驚き、彼の目が丸くなる。


「先生はどこまで知っているんですか?」


「君が相談を申したので、君最近のことを少し調べてみた。君は戦闘基礎の授業には出なかったが、10組所属のウチホ・イオリさんとよく戦闘シミュレーションをして実戦経験を積んでいた。そしてその機に君が作った試作の武具アイテムも試していたのだろう?」


トオルは手で顎を支え、少し考え込んでから口を開いた。


「そうか、シミュレーション室の使用記録を調べたんですか……」


「君の作る物は自らの戦闘スキルを高めるだけでなく、戦力も上げる。また、昨日の午後と今日の授業時間を物作りに費やしたのは、まるで何かと戦うための準備をしているかのようだ」


 トオルは否定しなかった。彼は言いかけたが、春斗との賭け勝負や貪食者を追っていることがオリビアに知られていることを恐れた。


「君はその目的を言うつもりはないようだな?まさか、それは左門くんが心配していることと関係があるのではないだろうな」


 オリビアの推測に一発で図星を突かれたトオルは、正直に話せないが、ここまで嘘をつけばオリビアにすぐに察知されるだろうと思った。彼は別の視点から自分の状況を話した。


「先生、心苗の間の口頭喧嘩により起こる恐喝が生徒会や保安部で事件として立件されないのではないか?」


 多くの個性や観念が集まるこの学園では、心苗の間に気に食わないことがあれば、軽くは愚痴喧嘩、重大なトラブルには手揉めることが日常茶飯事である。トラブルが起こると、学院の生徒会が巡回パトロール中のメンバーがすぐに止める。後日にトラブルが深刻化するのを防ぐために、関係者はパトロールメンバーに記録され、後に注意されるかは各生徒会の判断次第だ。しかし、各生徒会は人事資源を主に重大な事件に投入するので、手を上げていない口だけの喧嘩は普通は立案されない。個人の一時的な言論表現や御伽噺(おどき)話が誤解される場合があるので、本人が申請しない限り、口頭喧嘩の揉め事は対応されない。


 それを知っているオリヴィアはトオルの立場を考え、穏やかな口調で言う。


「確かに手を出してまで立案されるのは難しいが、君がそんなに不安なら、保護注意を申請できる」


「いえ、ただの些細な口論喧嘩ですので、この事を炎上したくありません」


 実際に春斗が賭け勝負を売り、彼がトオルを襲ってくるだけでなく、父親の悪い噂を広めることもしていない今、トオルは誰かに通報するのは無駄に仕事を増やすだけだと思った。貪食者3人を特定し、賭け勝負を判明させる前に、トオルはこの勝負に勝ちたいと思っていた。


「ふむ、もし君が個人名誉侵害の悩みがあれば、地球界のやり方でその人を訴えられるぞ」


「はい、でもぼくはその手を打つ必要はないと思います。実際にまだ被害を受けていないし、もし訴訟を起こしたら、さらに時間がかかるだろう。僕はそんな人に無駄な時間を費やしたくないです」


「賢明な考えだな。ま、君が何と戦いたいかは知らないが、君は1人で戦うつもりではないのだな?」


「ぼくはそんな器用な人間ではない。ぼくのやり方でケジメをつけたいですが、知り合い友人と共に戦います」


オリヴィアはトオルの意志を尊重し、理性的な笑みを浮かべて軽く頷いた。


「サモンくん、君の器用さは私が評価しない。しかし、君の恵まれたものを活かせ方を見ると、君は自分が思うより遥かに有能な人間だ」


オリヴィアの言葉がストレートに胸に響き、トオルの頬は薄く赤くなった。


「そうなんですか、初めてそう言われました」


「自信を持ちなさい。そして、君たちの戦いに幸運を祈る」


「はい、尽力して参ります」


 事の詳細を言わずとも尊重され、自分の全てを信じて支え、全力で応援してくれるのはトオルにとって良い心地だ。トオルは春斗はるととの賭け勝負で絶対に負けないと確信していた。

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