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リバースプロキシ  作者: 如月いさみ


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巌流島の恋人たち

譲はそれには

「残念ながら分かりません」

と答えた。

「春彦さまも知っておられるとおりに特別な家系の醜聞というのは得てして隠匿されるもので当事者同士以外は箝口令が敷かれます」


確かに島津春樹や秋月直樹のことも伊藤朔のことが無ければ全く分からなかったし、自分や直彦が狙撃されたこともニュースにも何にもならなかった。


未だに島津春樹の死の内容については詳しくは分かっていない。

暗殺されたということだけなのだ。


9月から調べて色々あって、もう半年も過ぎようとしているのにそう言う状態である。

そういうモノなのかもしれない。


当事者の口はかなり堅いのだ。


春彦は「だよな」と呟き

「でも、何とかしないといけないんだよな」

と告げた。


身体がこの状態なのだ。

飛んでいって本人と話をすることもできない。


伽羅は春彦を見て

「春彦」

と呟いた。


春彦は暫く沈黙を守り、やがて

「武藤さん、二人は幼馴染みたいな感じだったんだよね?」

と聞いた。


譲は手帳を見て

「はい、学校の方での話を聞きましたが」

と告げた。


春彦は顔を上げて

「それを詳しく教えて」

と告げた。


譲は頷くと

「小学校から中学に高校とお二人は同じクラスで持ち上がっております」

それぞれの学校の先生のお話ではかなり仲が良かったようですね

と告げた。

「但し、高校2年の夏休みの時に荒戸和也が学校を変わって、それ以降は別々の高校と大学と進んでいます」


春彦はメモパッドを手に相関図を書いた。

「小学校から高校2年まで同じクラスで夏休みに他の学校へ転校か」

高校2年の夏休み前後に何かあったんだろうな

「とすると、当時の先生やクラスメイトから詳しく聞いた方がわかるか」

ただ、それまでに動かれると困るし


春彦は伽羅を見ると

「伽羅は人物画…描かないか?」

とにっこり笑った。


伽羅は笑顔で

「美人画ならOK」

と答えた。


春彦は譲を見ると

「調べて欲しいのは二人の高校2年の時に何があったのかを当時の先生やクラスメイトや学校の人から聞いて欲しい」

それと久那須理さんにモデルになってもらうようにお願いしてください

と告げた。


譲は目を見開くと

「…」

と沈黙を守った。


春彦はそれに

「あ、久那家関係なく伽羅の絵のモデルを探していてそれとなく声をかけて交渉してください」

と言い

「俺がいけたら、それとなく交渉するんだけど今はどうしても動けないし」

と唸った。


譲は冷や汗を吹きながら

「いえ、かしこまりました」

お任せください

「但し、島津家へ招く以上はさりげなく引っ掛けるなどできませんので、絵のモデルではなくご招待するという形でそこはご了承ください」

と答えた。


春彦は頷いて

「わかった」

だったら、二人をお招きしてください

と答えた。


そして、山口県で待機している部下にそのことを伝えたのである。

九州の島津家というのは特別で特殊な家系なので依頼を袖にすることはほぼない。


あの津村家ですら断らずに来たのだ。


彼女が殺されてしまうという事態が何時起きるのか分からない以上は急がなければならない。


春彦は伽羅を見ると

「あのさ、伽羅」

と言い

「彼女が来る日は学校休んでもらっても良いかな?」

と聞いた。


伽羅は頷くと

「勿論」

と答えた。


自分の夢の為に動いてもらっているのだから、それを断る選択筋はなかった。


二人がこちらへ来るまでに事件解決のヒントが見つかることを祈るだけであった。

その高校2年の夏の転校。

二人を分かつ何かがあったのだろうと春彦は思っていたのである。


同時に今回の引き金にもなっているのではないかと考えたのである。


春彦は二人を招くことを更紗と春馬に告げると

「すみませんが宜しくお願いします」

と頭を下げた。


更紗も春馬は家に招くということ自体に反対はしなかった。

身体がまだ動かないのに何処かへすっ飛んでいかれるよりは余程マシだったからである。


ただ、何故?という疑問符は残ったのである。


翌々日、久那須理と荒戸和也は譲の部下と共に島津家へと訪れた。

空は晴れ渡り雲がポカポカと浮かぶ穏やかな日であった。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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