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リバースプロキシ  作者: 如月いさみ


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35/124

運命の転換点

春彦は允華には先の話を全て伝えた。

いや、これまでの話を全て伝えたのだ。

それは兄である直彦や津村隆など兄の直彦にまつわる人々に全て正確に伝わると確信していたからである。


神守勇は春彦の体調が順調に良くなっていることに安堵すると

「春彦さん、私、明日帰るね」

本当は3月末まで居たかったんだけどお父さんもお母さんも心配しちゃって

「また来るわ」

と微笑んだ。


彼女も高校生である。

しかも、モデルの仕事もあるのだ。


それを全てキャンセルして一週間近く九州で春彦の側にいてくれたのである。

それでも彼女が東京へ帰るとなると寂しさが募る。


もっと側にいて彼女の笑顔を見ていたいのだ。


春彦は「そうか」と小さな声で呟き

「寂しくなるな」

とぼやいた。


勇は春彦の手に自分の手を重ねると

「でも、私の心はいつも春彦さんの側にあるからね」

と祈るように目を閉じた。


允華はその姿に且つての義姉を思い出したのだ。

直彦が彼女を春彦の恋人として受け入れ、なぜ夏月家へと入れているのかわかった気がしたのである。

「なんていうか…兄弟そろって同じような人を愛するんだな」


春彦は染み入るような彼女の温かさに

「今は直ぐに身体が良くなったからって東京へ帰るとは言えないけど…絶対に帰るから」

と手を握りしめた。

「本当に今回は心配かけてごめんな」


勇は頷いて

「うん、凄く心配したし…春彦さんがもしも…いなくなってたら…私、春彦さんを奪った人を恨んでた」

と告げた。

「だから、私をそんな風に人を恨むような人間にしたくなかったら」

春彦さんが春彦さんのことを大切にしてね


伽羅はそれを聞いて

「夢の中での勇ちゃんは…確かにそうだったな」

と心で呟いた。


春彦も彼女の言葉に大きく頷いて

「ああ、今回のことで分った」

俺は俺を守りながら探偵をする方法を身につける

「そのために允華さんが忙しい中を来てくれたんだから」

と答えた。


そう、直彦が現場へ行かずに推理をする允華に春彦の指導を頼んだのだ。

これから先の事を考えて探偵業をするならそれが必要だと思ったからである。


允華は笑みを浮かべ

「大丈夫、春彦君ならできる」

先生もそれが分っているから俺を派遣したんだ

と告げた。


春彦は允華を見て

「宜しくお願いします」

と答えた。


允華は神守勇を福岡空港に送り届け、戻るとこれまでマギ・トートストーリーの推理タイムで取り扱われた事件を中心に情報収集の方法とそれを元に推理することを春彦に再現させた。


推理というロジックは身につけているのだ。

それをその場にいなくても如何に発揮するか。

そこである。


春彦は実際にあったそれを手掛かりに基礎を学び、九州でも探偵を続ける方法を手に入れたのである。

允華は春彦の退院の前日に東京へと戻り、一足先に退院した直彦の元で再びアルバイトを始めたのである。


外では桜が蕾をつけ、新しい学期が始まろうとしていたのである。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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