父と子
夜の帳が街を覆い、天上では月が静かに仄かな明かりを投げかけていた。
東京の中心に近い場所に夏月直彦が入院する白露家配下の病院がある。
白露会東京上野総合病院である。
直彦が入院してから面会や外来などの受付が厳格になり警備に追加されてボディーガードもそれとなく配備されていた。
もちろん、直彦の病室の前でも警備員が待機していたのである。
が、扉が開くと一人の男性が姿を見せた。
直彦にソックリな人物である。
直彦は窓から射し込む月光の僅かな明かりを受けて浮かび上がる彼を見ると
「…秋月、直樹…」
と呟いた。
彼はフワリと笑むと
「ああ、当たりだ」
直彦
と足を踏み入れた。
「栞ちゃんから話を聞いているんだろ?」
直彦は静かに頷いた。
まるでドッペルゲンガーを見ているような気分である。
秋月直樹はベッドの椅子に座ると窓の向こうに浮かぶ月を見つめ
「俺は、子供をつくるのが怖かった」
秋月の運命を背負わせることが怖かった
と目を細めて告げた。
「だが、栞ちゃんを愛しく思い…愛した証のお前が生まれた時どれほど感動したか」
赤ちゃんって温かくて愛らしくて泣きたくなるくらいに可愛いんだ
そう言って直彦を見ると微笑んだ。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




