運命の転換点
その日の午後に学校を終えた朔と悠真と凜と樹と大翔が姿を見せたが、春彦は眠っており面会できたのは三日後であった。
全員が病室に入ると目を覚ましている春彦を見て泣きながら喜んだ。
そして、大翔は頭を下げると
「すまない、俺は…合わせる顔が本当はないんだ」
と告げた。
「俺の、父と祖父が…」
春彦は首を振ると
「羽田野君は、俺を助けようとしてくれたんじゃないか」
何故謝るんだ?
と言い
「ありがとう」
それから
「みんな、ごめんな」
と告げた。
「俺ほんとうに何もわかってなかった」
ごめん
それに悠真が
「それは俺らも同じだ」
今回狙われたのが夏月だっただけで
「あの状態なら全員同じことになってた」
と告げた。
凜も頷いて
「ああ、学校側も屋上は施錠して生徒が出れないようにしたし」
と告げた。
朔も笑顔で
「全員で気を付けよう」
と答えた。
樹も「その通りだな」と相槌を打ったのである。
そして、悠真が「そう言えば」と唇を開いた。
「お前が手術中に怪奇現象があったんだ」
おおお…とブルブルと震えた。
伽羅も凜も朔も誰もがコクコクと頷いた。
春彦は不思議そうに
「何?俺が現れたとか?」
と聞いた。
悠真はびしっと
「そんなことあるかーい」
と突っ込んだ。
伽羅は震えながら
「でもそれと同じ感じじゃないかな?」
と呟いた。
大翔は苦く笑って
「けど、あそこで夏月さんが止めてくれなかったら…俺は…」
と視線を伏せた。
春彦は「ん?」と首を傾げた。
「直兄が現れたのか?」
伽羅が大きく頷いた。
「そう直彦さんが現れて、羽田野君に『羽田野はもう終わる。君には輝ける未来があるのだから手を汚してはダメだ』って言ったんだ」
春彦のお母さんも春馬さんも全員が驚いてた
そう、春彦が手術を受けているとき直彦が姿を見せて、力を手に入れようと妄執に駆られて今回のことを引き起こした父親と祖父を手に掛けようと決意を固めた大翔を止めたのである。
『彼らは間違えたんだ』
『春珂は島津家の未来を春馬に託し、日本の運命を春彦に託したんだ』
そう言ったのだ。
春彦は少し考えて
「その人…恐らく直兄じゃないと思う」
と告げた。
全員が春彦を見た。
春彦は5人を見て
「秋月家の当主…秋月直樹さんだと思う」
と告げた。
「直兄の父親だし瓜二つだから…眼の違いさえ気づかなかったら直兄と思うかもしれない」
悠真は驚いて
「けど、けど、その人27年前に死んだんじゃないのか?」
あの、あそこのアレ
とドン引きした。
凜も頷いて
「その通りだ。一色の叔父さんだって言っていたし」
と見つめた。
朔も大きく頷いて
「そうだよ、そう…この前…遺体だって見つかったし」
と告げた。
春彦は彼らを見て
「俺、撃たれて気を失っている間に思い出したんだ」
父さんに何処かへ連れて行かれてそこで父さんが誰かと話しているのを
と言い
「その時、その人が言ってた…秋月家当主秋月直樹って言ってたんだ」
俺が聞いてたってことは17年前だから本当だったら秋月家当主秋月直彦だろ?
「だけど秋月直樹って言ってたんだ」
と告げた。
それに大翔が
「…つまり、17年前の時点で秋月家当主秋月直樹は生きていたってことなのか?」
と聞いた。
春彦は頷いた。
「それに直兄を直樹さんと間違えて神宮寺君の叔父さんが言ってたこと覚えてる?」
凛は考えながら
「…そう言えば、直樹、帰ってきたんだなって言ってたな」
それに
「お前は死ねないって言ってたのにって言ってたけど…まさか」
ホラー映画じゃあるまいし
と顔をしかめた。
春彦は真剣な顔で
「それは、本当なんだと思う」
と言い
「理由は分からない…だけど恐らく特殊な家系でも島津家と秋月家との大きな差がそこにあるんだと思う」
と告げた。
全員が息を飲みこみ春彦を見た。
悠真は「あのさ、それ…凄く大変なはなし…」と言いかけた。
その横で伽羅が
「良かったぁ~~~お化けじゃなかったんだぁ」
とほぉおおと息を吐き出した。
…。
…。
悠真は顔を歪めると
「松野宮ぁ」
というとビシッと手の甲で叩き
「めっちゃ重要な話の時にその乗りやめろ」
と突っ込んだ。
全員が思わず笑った。
春彦も思わず笑うと胸を抑えて
「い、いた…伽羅、笑かさないでくれ」
と告げた。
伽羅は慌てて
「ごめん!」
と謝った。
全員、他言しないことを心に誓って病院を後にした。
彼らと入れ替わって神守勇と白露允華が訪れた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




