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第九話:旅路の襲撃! 襲い来る漆黒の巨狼を『出力3%』で一瞬の両断

2日目も【朝07:40 / 夜20:40】の1日2回更新でお届けします!

王都を出発した一行に、さっそく異世界の洗礼(魔物の襲撃)が襲いかかります。

1.情報収集と、代表の真実


王都を出発してから、旅は極めて順調に進んでいた。

翔は移動中、先頭馬車の御者台でグスタフから、あるいは休憩時間に最後尾馬車のベテラン冒険者たちから、 この世界の仕組みについて貪欲に情報を聞き回っていた。


「グスタフさん、ずっと疑問に思っていたことがあるんです。どうしてこの国では、 ダンジョン攻略の代表候補として『冒険者』が選ばれるんですか? 失礼ながら、グスタフさんや伯爵家の騎士レオンさんたちの方が、あのカイルたちよりも確実に実力が上に見えます」


翔の率直な問いかけに、グスタフは手綱を握り直しながら、少し自嘲気味に微笑んだ。


「それはな、翔殿。いくつかの大人の事情──いわば『政治』が絡んでいるのだ。 まず第一に、派閥のバランスだ。我が国において騎士は特定の貴族家や王家に所属している。 もし代表戦に騎士を出場させて無様に負けたりすれば、 その騎士を派遣した貴族や王族のメンツが文字通り丸潰れになる。 だが、特定の家柄を持たない冒険者であれば、負けても誰も責任を取る必要がない」


「なるほど、負けたときのクッションですか……。実に日本とも通じる政治的なお話ですね」


「それだけではない。最も大きな理由は『祝福のギフト・シード』の獲得率だ。 我々のように貴族に仕え、日々の平穏を維持するための訓練を重ねる騎士に比べ、 常に命のやりとりをしながらダンジョンに直接潜り続ける冒険者の方が、 圧倒的に『祝福の種』を得やすい。ダンジョンの魔力を肉体に浴び続けることで、 ステータスの上昇率も彼らの方が高くなるのだ。だから、国は『冒険者の中から優秀な若者を集めて代表にする』 という方針を取っている」


「基本そういうことですか……。非常に納得がいきました。ありがとうございます」


翔は深く頷いた。謎の闘技大会や、その背後にある利権構造がおぼろげながら見えてきた。

翔はただ情報を集めるだけでなく、自身の謎のスキル【つながる手】の使い道についても、 耳元の駿と様々な試行錯誤を繰り返していた。だが、最初の二日間は、 どのような使い方を試みても目立った反応はなく、「???」のままであった。



2.襲撃、そして一瞬の守護


三つ目の町を出発し、四つ目の町へと向かう鬱蒼とした街道。

翔は御者台の上で、周囲の木々の不自然な揺れと、そこに漂う獣の異臭に気づいていた。

(何かがつけてきている。それも、一匹や二匹じゃないな)


「グスタフさん」


翔は低く声をかけた。


「ああ、私も気づいている。おそらく『シャドウウルフ』の群れだ。 これだけの気配、三十匹は下るまい。冒険者たちも武器に手をかけている。 ……だが、馬車の中の若者たちは気付いておらぬな」


実際、先頭馬車の中の生徒四人は、聖石で肉体を強化したとはいえ、これまでに実戦経験など皆無だ。 外の尋常ならざる殺気に全く気づかず、「次の宿のお菓子、楽しみだね」などと無邪気に談笑していた。


「──ッ、来るぞ! 総員、戦闘準備!」


最後尾の馬車から冒険者の警告が飛んだ。

次の瞬間、街道の両側の藪から、体長二メートルを超える漆黒の巨狼たちが一斉に飛び出してきた。


「きゃあああ!?」


「うわっ、なんだこれ!」


馬車の中で生徒たちが悲鳴を上げ、パニックに陥る。

スキルや能力を得たところで、襲撃を予期していなければ、身体は恐怖で硬直して動けない。 それが実戦経験のない素人の現実だった。


「みんな、馬車から出るな! じっとしてろ!」


翔は叫ぶと同時に、魔導馬車の御者台から驚異的な跳躍力で、一気に馬車の平らな「屋根」の上へと飛び乗った。


「カイルたちを倒した、その聖剣を──!」


翔が叫ぶ。その瞬間、翔の前に再び黄金の『神殺しの聖剣』が出現した。

前方の藪から、馬車を押し潰さんばかりの勢いで十五匹のウルフが殺到してくる。

翔は聖剣を正面に構え、その巨大な黄金の刃を水平に一閃させた。


「──『神殺しの聖剣』、出力3%!」


凄まじい黄金の魔力波が、水平の三日月状の「斬撃」となって虚空を駆け抜けた。

ごおっ!!!

鋭い風切り音とともに放たれた光の斬撃は、前方にいた十五匹のウルフたちを、 抵抗する隙すら与えず一瞬で両断し、その背後にある木々をも十数本まとめてなぎ倒した。

「な……なんだ、あの威力は……!」後方から迫っていた残りのウルフは、最後尾の冒険者たちと、 真ん中の馬車の御者台から飛び降りたレオンたちの見事な連携によって無事に討伐された。

戦闘が終わり、周囲に静寂が戻る。

生徒たちは、自分たちが全く動けなかったショックと、翔の圧倒的な戦闘力を目の当たりにして、 言葉を失っていた。

その日の昼の休憩中、生徒たちは恥じ入るようにして、騎士グスタフや冒険者たちに「戦い方の基礎」を教わり始めていた。


「いくらステータスが上がっても、身体の動かし方は体得できない。感覚を研ぎ澄まさなきゃ、いざという時に動けないんだぞ」


翔が優しく諭すと、水上たちは真剣な面持ちで、騎士たちのステップや武器の構え方を模倣し始めた。

出力3%でこれです。100%になったらどうなってしまうのか……。

次の話(第10話)は、今夜20:40に更新されます! ついに『つながる手』の真の能力が覚醒します!

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