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投資家の弟、異世界の兄に課金して無双させる~スマホとスキルの経済チートで世界を買い取る~  作者: かぶんす


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第八十三話:仕組まれた覇道:両家の公式お婿様計画

ドゴォン!!!


「ギャンッ!?」

車と衝突したかのような凄まじい運動エネルギーによる質量ノックバック。三メートルを超える巨獣たちが、まるでおもちゃのぬいぐるいのように虚空へと吹き飛ばされ、そのまま地面を何回転も転がって戦闘不能に陥っていく。


さらに進むと、街道の要所に置かれた臨時の警戒関所が見えてきた。

そこには、北部の不穏な動き(実際にはコーリア商会の息がかかった他派閥の策略)を察知して、状況を全く理解していない王都側の騎士たちがバリケードを築いて立ちはだかっていた。


「おい! 前方に怪しい蒼い光! 止まれ、身元を明か──」

「すみません! 止まると本当に危ないので、避けてください!」


翔は警告の声を張り上げながら、一切減速しなかった。

衝突する直前、キックボードから驚異的な跳躍力で飛び上がると同時に、愛車を『空間拡張マジックバッグ』へ一瞬で収納。そのまま、バリケードとなっている荷馬車や石壁の頂点を、三角飛びの要領でトントンと軽快に蹴り渡り、対地へと着地した瞬間に再びキックボードを取り出してスロットルを全開にした。


「な、何なんだ今の一陣の風は……!? バリケードを飛び越えて消えたぞ!」

呆気にとられて開いた口が塞がらない騎士たちを置き去りにし、翔は一瞬にして彼らの視界から消え去った。


(──駿、聞こえるか! 今、関所を強行突破した。間もなく王都に入るぞ!)


翔は、耳元のインカム(つながる手)を通じて、大阪にいる双子の弟、駿へと脳内念話を繋いだ。


『──おーい、兄貴。相変わらずクレイジーな走り方しとるな。……で、どうや? 例の「三人娘への回答」、ちゃんと腹くくれたんか?』


駿の、少しからかうような、しかし頼もしい声が脳内に響く。

翔は、風圧に耐えながら、心の中でぎゅっと拳を握り締めた。


(ああ、駿。出発の間際、アデライード様たちから、公衆の面前で命がけの全力のハグ(抱擁)をもらったんだ。……お前の言う通り、これ以上、彼女たちの本気の想いから、大人の都合や教師の立場を言い訳にして逃げ回るわけにはいかない。

俺は腹をくくったよ。

彼女たちの気持ちを男として完璧に受け止め、この世界で三人全員を妻として迎える。そのための『資格(圧倒的な成果)』を、この天空の神殿の最上階踏破、そして闘技大会の優勝という形で、神と国王の前に完璧に証明してみせる。……そのロードマップを、今、頭の中で組み立てながら走っているところだ!)


『──フッ、ええやん、兄貴。お前がそこまで覚悟を決めたなら、俺が裏の資本力とテクノロジーで、お前のその「覇道」を完璧にバックアップしたるわ。王都の公爵邸に着いたら、まずはガキども(生徒たち)の状況を確認しぃや』


「ああ、分かっている。頼むぞ、駿!」


一陣の蒼い雷撃となった熱血教師は、未来への不退転の決意を胸に抱き、王都へと向けてさらに加速していくのだった。


2.天空の浮島ルート開拓と、ボスの挙動確認


一方、翔が王都へと強行軍でとんぼ返りをしている、まさにその頃。

遙か天空を穿つ白亜の巨塔『天空の神殿』の第二十一階層――美しい雲海と浮島が広がる迷宮。


ウィィィィン……。


静まり返った天空の孤島の上を、数台の『日本の最新ドローン』がプロペラ音を響かせて飛行し、地上では極太のブロックタイヤを履いた『ラジコンカー』が、大理石の床の上を軽快に走り回っていた。


「よし! 第二十一階層の、安全な『先達の正解ルート』、これで完璧にマッピング完了だよ!」

柊鏡花が、手元の液晶モニターを指さしながら、興奮気味に声をあげた。


カイルたち新生合同チームの八人は、この数日間、翔から支給された日本のラジコンやドローンをフル活用し、落下トラップや一方通行の転移魔法陣を完璧に回避して、最短の安全ルートを構築していたのだ。


だが、彼らの前に立ちはだかるのは、第二十階層のボスをも遥かに凌ぐとされる、第三十階層の未知の『神殿守護者ボス』。


「……シェリー。このまま最上階のボス部屋へ突入すべきか? だが、ボスの情報が一切ない状態で挑むのは、いくら俺たちのステータスが上がっているとはいえ、リスクが高すぎる」

カイルが、真剣な眼差しを指揮官であるシェリーへと向けた。


シェリーは腕を組み、しばらく考えた。

そして、隣に立っていた陽斗や不破たち地球の生徒4人と視線を交わし、不敵な笑みを浮かべた。


「いいえ。……ここで、翔先生から教わった『科学的偵察(デコイ戦術)』を適用しますわ。

今回の遠征で、ドローンやラジコンカーは、マッピングという本来の役割を完璧に終えました。

──ならば、この精密な日本の機械たちを、ボス部屋への『使い捨てのデコイ』として突入させ、ボスの挙動や攻撃パターンの一部を、安全な位置からカメラ映像で確認するのです!」


「なるほど! ラジコンをけしかけて、ボスのリアクションをカメラで盗み見るわけか! 鏡花、それ、めちゃくちゃ賢いじゃん!」

水上陽斗が手を叩いて賛同した。


さっそく、彼らは第二十階層のボス部屋の重厚な石扉の隙間から、小型のラジコンカー、そして上空の隙間から一台のドローンを極秘裏に侵入させた。

送信されてくるリアルタイムの液晶モニターの画面。


そこには、大気中の魔力を歪めるほどの圧倒的なプレッシャーを放つ、未知の巨大なボス──『天空の守護像アイアン・コロッサス』の姿が映し出されていた。


「動いた……! 敵の感知範囲ヘイト・レンジは、入り口から約十メートル!

攻撃方法は、右腕の巨大な石剣による、物理的な広範囲薙ぎ払い!

さらに、背中の結晶から、極大の光属性魔法ブレスを放出してくるわ!」


カメラが壊される直前の、僅か十数秒の映像。

だが、その映像から得られた情報は、彼らにとって何よりも貴重な「攻略の教科書」であった。


「よし、ボスの攻撃パターンと、初撃の感知範囲は完全にハックしたぞ。

これ以上の深追いは無用だ。シェリーの指示通り、一度王都の公爵邸へと帰還し、翔先生の到着を待って、完璧な対策会議を始めよう!」


カイルの力強い号令のもと、八人の戦士たちは確固たる自信を胸に抱き、転移魔法陣を通って、安全に王都の公爵邸へと帰還するのだった。


3.仕組まれた覇道:両家の公式お婿様計画


同じ頃、翔が王都へと旅立った後の、北部のブルグンド公爵城。

その最上階にある、厳重な防音結界が施された公爵の執務室。


「──お父様。翔様が、出発の直前、私たちに『本気の誓い』を立ててくださいましたわ」


アデライードが、頬をサクラ色に染めながらも、凛とした態度でブルグンド公爵に向き直った。

隣には、同じく頬を朱に染めたベアトリーチェ、そしてお盆を胸元できゅっと握りしめている侍女のアイリスの姿がある。


「翔様は、神殿を完璧に攻略し、闘技大会で我が国を1位に導いて、お父様方に婚姻を認めさせる『成果』を示すと……。そして、水上さんたちを元の世界へ帰す責任を果たしたその時には、私たち三人全員を、必ず生涯の妻として迎えると、男らしく誓ってくださったのです!」


ベアトリーチェが、嬉しそうに両手を合わせて伯爵の通信魔導書のホログラムを見つめた。

「お父様、エルサスの伯爵家として、この通信を繋いで、三人での『公式な密談』をさせていただけないかしら?」


「うむ。カノーヴァの伯爵も、すでに魔導通信をスタンバイさせておる。繋ぐが良い」

公爵が魔導書を起動すると、ホログラムの向こうから、上品に紅茶を飲むカノーヴァ伯爵の姿が浮かび上がった。これで、公爵、夫人、伯爵、アデライード、ベアトリーチェ、アイリスの5人(および一族)による、極秘の「婚姻会議」が開始された。

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