表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
投資家の弟、異世界の兄に課金して無双させる~スマホとスキルの経済チートで世界を買い取る~  作者: かぶんす


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/105

第七十三話:馬車の中の尋問

カノーヴァ伯爵の嫡男、アルベルトが、突如として砂埃を巻き上げてエントランスに滑り込んできた翔の姿を見て、顎が外れんばかりに驚愕した。


「アルベルト様、時間がありません! このバッグの中に、日本の最高級の塩と、大麦・小麦が数千トン詰まっています! 半分を今すぐここに降ろしますので、領民たちの前に山のように積み上げて、飢えの心配がないことを大々的にアピールしてください!」


翔はマジックバッグの口を開け、倉庫の前に、純白の日本の塩の山、そして純クリーンな小麦粉の段ボールや袋を次々と、雪崩のように放出していった。


「す、すごい量だ……! これほど高品質な穀物と塩があれば、経済封鎖など一瞬で無意味になる! 翔殿、感謝いたします!」


「では、次はブルグンドです、先を急ぎます!」


翔は再びキックボードに飛び乗り、残りの物資を積んで、さらに北のブルグンド領へと向けて走り出した。


道中、リペラ共和国の『コーリア商会』が、北部の流通を完全に遮断するために、街道の細い隘路に大型の荷馬車やバリケードを並べ、私兵たちを配備して「経済封鎖の陣」を敷いている場所へと差し掛かった。


「おい! 前方に怪しい蒼い光! 止まれ! ここは通行禁止──」


「どいてください! 止まると危ないですよ!」


翔は彼らの制止の声を完全に無視し、神剣のレプリカの腹を使い、バリケードとなっていた荷馬車の車輪を軽く小突いた。

ドゴォン!! という凄まじい質量ノックバック。

コーリア商会の荷馬車は、まるでおもちゃの箱のように数メートル吹き飛び、私兵たちは「ひ、ひぃぃっ! 蒼い突風が馬車を吹き飛ばしていったぞ!」と、腰を抜かして這いつくばるしかなかった。


夕暮れ前、空が黄金色から藍色へと変わり始める頃。

白く輝くブルグンド公爵城の巨大な正門前へと、一陣の蒼い雷撃が滑り込んだ。


キィィィィッッ!!! という、美しいタイヤの制動音。


「──翔殿!? まさか、本当に一日で、王都からここまで戻ってきたというのか!?」

玄関前で待機していた公爵の嫡男キースが、あまりの超常的なスピードに、我が目を疑うように絶句して立ち尽くした。


「キース様、ただいま戻りました。マジックバッグにある手持ちの日本の食料、および最高品質の塩を、今すぐすべてここの倉庫へ降ろします。これで北部全体の領民の胃袋が、何日分賄えるか、すぐに計算と配給の手配をお願いします!」


翔は、バッグの中に残っていた数千トンの日本の物資を、公爵城の巨大な地下倉庫へと、山のように一気に放出した。

その純白の塩と穀物の山を見つめ、キースは「……これだけの量があれば、冬を越すどころか、コーリア商会を完全に干からびさせることができるぞ……!」と、不敵な、そして深い感謝に満ちた勝利の笑みを浮かべるのだった。


3. 馬車の中の尋問:父親たちの深い頭痛


一方、翔を見送った後、王都の公爵邸を後にした大船団。

白金と漆で贅沢に装飾された、国王直属の最高級マジック・キャリッジ(魔導馬車)の車内。


揺れのほとんどない快適な空間のシートには、ブルグンド公爵、カノーヴァ伯爵の父親二人が、腕を組んで深く安楽椅子に腰掛けていた。

そして、その対面には、アデライード、ベアトリーチェ、そしてお盆を膝の上に乗せた侍女のアイリスの三人娘が、気まずそうに、しかしどこか誇らしげに背筋を伸ばして座っていた。


車内を支配するのは、馬蹄の音だけが静かに響く、なんとも言えない重苦しく、そして緊迫した沈黙だった。


「……さて」


公爵が、その獅子のような鋭い眼光を、まずは自分の娘であるアデライードへと向けた。


「アデライード。ベアトリーチェ。……お前たち、出発の際、あれほど大勢の王宮近衛兵や冒険者たちが見守る前で、翔殿にあのような『抱擁ハグ』を交わすとは、一体何のつもりだ。公爵家、および伯爵家の令嬢としての矜持はどこへ行ったのだ」


アデライードは、頬をほんのり赤らめながらも、ツリ目をキッと輝かせて父親の目を真っ直ぐに見据えた。


「お父様。私は、前にもお説教の席で申し上げましたわ。

私は、一人の女性として、我が魂のすべてをかけて三好翔様との『婚姻(結婚)』を望んでいます。

あのような過酷な、命がけの単独疾走へ向かう彼を、ただお上品に見送るなど、私にはできませんでした!

私の気持ちは、本気です。どのようなスキャンダルを言われようが、私はお父様のお婿様として、彼をブルグンドへ迎える覚悟を決めています!」


「ベアトリーチェも同じですわ、お父様」

ベアトリーチェも、サクラ色のプルプルの唇を誇らしげに歪め、伯爵を真っ直ぐに見つめた。


「カイル様との婚約が解消された今、私の心の拠り所は、翔様のあの温もりの中にしかありません。

私は、カノーヴァのすべてを捨ててでも、翔様をお婿様(夫)としてお迎えしたいと考えております。

アデライードにも、絶対に譲りませんわ!」


二人の令嬢の、退路を完全に断った「宣戦布告(本気の告白)」。

公爵と伯爵は、娘たちのそのブレない愛の熱量に、ただただ胃が痛むように顔を顰めるしかなかった。


だが、公爵の鋭い視線は、そこで止まらなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ