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投資家の弟、異世界の兄に課金して無双させる~スマホとスキルの経済チートで世界を買い取る~  作者: かぶんす


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第六十八話:特別特訓の火花:『先行代表候補』の筋肉分解(カタボリック)との戦い

2. 特別特訓の火花:『先行代表候補』の筋肉分解カタボリックとの戦い


一方、異世界──王都にあるブルグンド公爵邸の広大で天井の高い「屋内修練場」。

翔たちが北部へと出発した後のこの場所では、残ることを志願した一昨年・去年の先行代表候補パーティー(ライネル、アルベルト、クロエ、ユリウス)の四人が、床の上に這いつくばって絶叫していた。


「ぐ、ぬぅぅぅ……! お、重い……! な、何だこの鉄の塊は……! 腕が、腕の骨が砕ける……!」


体格が良く、ジーモ並みの怪力を誇る大盾使いのアルベルトが、日本の最新プロ仕様ベンチプレスマシンのシャフトを握りしめ、顔を真っ赤にして痙攣していた。シャフトに掛けられているのは、大皿のプレートが何枚も重なった 120kg のウエイト。


「おい、アルベルト! 重心が高すぎるぞ! 大胸筋と、お前が得意な大盾を支える体幹の連動を意識しろ! フォームが乱れたらただの肉体破壊だ!」


ウエイトの補助に入っていた不破真司が、ベンチプレスの横から、かつてないほどに頼もしい「先輩トレーナー」の顔つきで、野太い声を張り上げた。

隣のパワーラックでは、去年の代表リーダーである冷徹な剣士ライネルが、ウエイトベストを着用し、150kg のバーベルを担いでスクワットを行いながら、生まれたての小鹿のように膝をガタガタと震わせていた。


「はぁ、はぁ……。水上……お前たちは、毎日これほどの地獄の負荷トレーニングを、涼しい顔で行っていたというのか……!?」


「当たり前だろ、ライネル!」

水上陽斗が、プロテインシェイカーを片手にニヤニヤしながら、トレッドミルの上で軽快にダッシュしていた。


「俺たち、最初の三日間は筋肉痛でベッドから起き上がれなかったからな! でも、先生から教わった『科学的超回復プロセス』と、トレーニング直後のこのプロテイン補給、これを怠らなければ、わずか数日で筋肉の強度はこれまでの三倍以上に跳ね上がるんだ! ほら、ライネル、スクワットあと十回! 下半身のバネがブレたら、キスキスのステップで敵の裏をかけないぞ!」


「くっ……! や、やってやる! 泥水をすすった俺たちに、耐えられない試練などない!」


ライネルは悲鳴を上げながらも、その鋭い眼光に再起の炎を燃やし、深くスクワットを沈み込ませた。

魔法使いのクロエは、ストレッチポールの上に仰向けになり、橘ほのかから「クロエちゃん、魔法を連発するときは、呼吸と肩甲骨の可動域がすごく大事なんだよ。ほら、ここを伸ばして──」と、日本の最新ケア技術による「アクティブリカバリー」の指導を優しく受けていた。

ユリウスもまた、日本の低周波治療器をふくらはぎに貼り付け、「うおっ!? な、何だこの電気の刺激は……! 筋肉の奥に溜まった疲れが、一瞬で溶けていく……!」と、現代科学のケアに驚愕の声をあげていた。


「よし、全員、トレーニング終了だ! カタボリック(筋肉分解)を防ぐゴールデンタイムだ、これを今すぐ飲み干せ!」


陽斗と真司が、日本の駿から送られてきたばかりの『最高級ホエイプロテイン(ココア味)』を冷たい水でシェイクし、四人に手渡した。


「うぐっ……! な、何だこの美味さは……! 濃厚なカカオの甘み、そして驚くほど喉越しが良い……! これが、日本の科学の秘薬……!」


アルベルトがボトルを一気に飲み干し、感極まった表情を見せた。ライネルも、喉を鳴らして飲み干すと、体内の細胞が、傷ついた筋肉が、超高速で再構築されていく圧倒的な「栄養の温もり」を実感し、心からの敬意を込めて陽斗たちを見つめた。


「……素晴らしいな。ただ力任せに体を痛めつけるのではない、この緻密に計算された『科学』と、翔先生の戦術。俺たち、必ず強くなってみせる」


「ああ、一緒に頑張ろうぜ、ライネル!」


新旧の代表候補たちの間に、過酷なトレーニング、そしてプロテインという「同じ釜の飯(秘薬)」を飲むことで、本物の深い友情と、戦友としての絆が、静かに、しかし確実に芽生えつつあったのだった。


その夜、王都公爵邸のサンルーム。

明日からの別れを前に、アデライード、ベアトリーチェ、アイリス、鏡花、ほのか、ミリーナ、シェリーの『女性陣七人』は、またしても豪華なフルーツタルトを囲んで、賑やかな「恋バナの同盟」を結んでいた。


「鏡花さん、ほのかさん。……寂しくなるけれど、私たちは公爵領に戻ったら、お父様と共に、あの高慢なコーリア商会を市場から完全に叩き落とすための、最高の『経済ハメ殺し』を演じてみせますわ!」

アデライードが、サクラ色のプルプルの唇を誇らしげに歪めて胸を張った。


「ええ。ベアトリーチェも、領地に戻ったら、翔様をお婿様(夫)としてお迎えするための、最高の花嫁修業に励んでおきますわ。……鏡花さん、日本側の『駿様を巡るあの二人(蓮と玲香)』の、タワマン同居生活でのバチバチとした戦況も、魔導無線でこっそり実況してくださいね?」

ベアトリーチェが、悪戯っぽく微笑みながら鏡花に耳打ちした。


「うん! 任せて、ベアトリーチェちゃん! 私たちも、王都の公爵邸から、先生と駿さんのために、他派閥の怪しい動きがないか完璧に目を光らせておくからね! お互いの恋とビジネスの勝利を信じて、頑張ろうね!」


少女たちは、お互いの健闘を祈り、固く手を握り合って、しばしの別れを温かく告げ合うのだった。


お読みいただき、本当にありがとうございました!


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