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投資家の弟、異世界の兄に課金して無双させる~スマホとスキルの経済チートで世界を買い取る~  作者: かぶんす


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第五十八話:翌朝のニュースと、次なる嵐

少し短めです

7.翌朝のニュースと、次なる嵐


翌朝。

テレビのニュース、およびインターネットの速報は、大阪港の倉庫街で発生した、ある「怪事件」の報道で持ちきりになっていた。


『──本日未明、大阪市港区の廃倉庫内において、身元不明の外国人男性十数名の遺体が発見されました。死因は、極めて高い高圧電流による、瞬間的なショック死と見られています。現場の防犯カメラや周辺の電子機器はすべて完全に破壊されており、警察は、何らかのテロ組織同士の、最新の電磁兵器を用いた抗争の可能性があると見て──』


新事務所の応接室。

テレビのニュースを消し、コーヒーを飲む駿の前に、不破玲香が焼き立てのマフィンを差し出した。


「駿さん、本当にありがとうございました! これ、駿さんが大好きな、甘さ控えめのチョコレートチップマフィンです! ぜひ、たっぷり食べて体力を回復してくださいね!」


「あ、ありがとう、玲香ちゃん……」


駿がマフィンを一口かじると、玲香は嬉しそうにパタパタと手を叩き、駿のすぐ隣にぴったりと身体を密着させて座り込んだ。

拉致の恐怖など完全にどこかへ吹き飛んだようで、玲香は「私のために、あんなに格好良く雷を降らせてくれるなんて……私、一生、駿さんから離れませんから!」と、熱い抱擁を交わさんばかりの勢いだ。


蓮はキーボードを叩く速度を無駄に高速化させながら、冷ややかな声を上げた。


「玲香さん。危機的状況をチート課金システムで解決した後に、その当事者に対して物理的な過剰アプローチを行い、脳のクールダウンを阻害する行為は、認知負荷を増大させるだけですが?」


「あら、蓮さん。私は駿さんの『メンタルケア』をしてるの! 命懸けで戦った駿さんには、私のこの温もりが必要なのよ!」


バチ、バチ、バチ……!

新事務所の真ん中で、事件前を遥かに凌駕する凄まじい「恋の鞘当て」の火花が、再び散り始めるのだった。


だが、彼らが安息に浸る時間は、長くは続かなかった。


『──駿。今度はこっちで問題発生』


翔の困ったようで、でも煮え切らない救援依頼だった。


『自分で解決するより、相談した方がうまくいきそうな気がしてな』


歯切れの悪い感じで伝えられたのが、異世界の『ミヨシ・トレーディング』と北部に対する経済圧力が他国からかかっている。


「確かにそれは俺の案件やな」


『鉛白粉の報復とポーションを使った美肌薬、それと化粧品。このあたりが、リペラ共和国の最大手、コーリア商会の耳に入って、リペラが、ミヨシ・トレーディングの商品に完全に目をつけたらしい。……昨日から、原材料の情報や事業買収を迫る、怪しいアポイントが王都の公爵邸に入っている。他にも北部への荷止めといった圧力が始まっているようだ』


駿は、冷徹な投資家の目に戻り、不敵にぎらりと口元を歪めた。


「なるほど……。鉛白粉で貴族から金貨巻き上げていたのを潰されたと知って、合法的な『経済戦争』で、俺たちの利権を丸ごと乗っ取りにきたわけやな。……ええやん、望むところや」


駿は少し考えこんだ。


「兄貴、その何とかいう国家が完成された商品を買って満足するわけあらへんわな。原材料や製法を経済封鎖解除の対価としてむしり取りたいわけや。……ちょっと、デコイを仕掛けようや」


『罠、だと? 駿、何を企んでいる?』


「美容液の真の原材料は、お前が『つながる手』で日本に送って、俺たちがナノカプセル化した魔法陣や。……でも、奴らにはこう教えてやるんや。

『あのポーションの原材料は、ブルグンド公爵領の深部でしか採れない、極めて希少な野草である』とな」


翔は念話の向こうで、駿のその「邪悪極まる経済トラップ」を理解し、豪快に笑い出した。


『ククク……なるほどな、駿! その誤情報を流せば、欲に目の眩んだ他国の大手商会や貴族どもは、こぞって北部の公爵領に対して、原材料の利権を奪おうと経済的な圧力をかけてくるわけか!』


「そうや。相手が北部に一斉に『経済戦争』を仕掛けてきたその瞬間、俺たちが市場の流通と資金を完全にコントロールして、奴らの一族ごと、市場から叩き出す。……北部を巻き込んだ、壮大な『経済ハメ殺し』の開始や!」


双子の兄弟は、世界を超えて、この上なく冷酷で不敵な笑みを交わした。

現代日本のテクノロジーと莫大な資本、そして彼らの「知性」を組み合わせた、異世界を揺るがす経済戦争の幕が、いま静かに切って落とされるのだった。


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