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投資家の弟、異世界の兄に課金して無双させる~スマホとスキルの経済チートで世界を買い取る~  作者: かぶんす


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第四十八話:国王は有象無象の暗躍に恐怖し、令嬢は笑う

5.国王の恐怖と、毒殺未遂の処罰


数時間後、王都、アルトリウス王城の深奥にある王の執務室。

国王アルトリウスは、ブルグンド公爵邸から正式な「おすそ分け」として届けられた、ヴァルデマール子爵の封蝋が押されたワインボトルを前に、青ざめた顔で頭を抱えていた。


「……アデライードが、これを私に?

『日持ちしないから、早く飲め』と、あの勝ち気な娘が、満面の笑みで言い残していっただと……?」


国王の胸の奥──魂の奥底から、あの『魂の契約書』の冷たい呪いの痛みが、ズキリと走ったような錯覚に襲われた。

「まさか……いや、あの三好翔というバケモノが、裏で糸を引いているに違いない。

彼らが私に、安易な贈り物をよこすはずがないのだ!」


国王はガタガタと震える手で、魔術師長を呼び立てた。

「魔術師長! 直ちに、このワインを、我が国に伝わる最上級の鑑定魔法、および薬学の検査にかけよ!

一滴の不純物、一滴の毒も見逃すな!」


「は、はいぃっ!」

老魔術師長が冷や汗を流しながら、ワインの成分を鑑定し、さらに翔から間接的に流されていた『温泉の素(硫黄成分)』を用いた化学反応テストを、王の御前で実施した。


透明なワインの雫に、硫黄成分を溶かした水を一滴、落とす。


──じわっ。

水を吸い込んだ瞬間、琥珀色だったはずの液体が、生き物のように、どす黒い、おぞましい『漆黒』へと、みるみるうちに変色していった。


「な、何ということだ……!

陛下、このワインの中には、かつて我が国の歴史でも数々の中毒死を引き起こした、あの恐るべき重金属の毒──大量の『鉛(酢酸鉛)』が含まれております!

これを陛下がそのままお飲みになっていれば、数ヶ月のうちに、原因不明の激しい腹痛や精神錯乱を起こし、確実に死に至っておりました!」


魔術師長の絶叫に、国王アルトリウスは椅子から転げ落ちんばかりに驚愕し、全身から滝のような冷や汗を流して激しく震え上がった。


「ば、ヴァルデマール子爵めえええええええッ!!」

国王は、怒りと恐怖のあまり、デスクを激しく叩き壊した。


国王は理解した。

アデライードたちは、これが毒ワインであることを見抜いた上で、あえて「ヴァルデマールが持ってきた」と名前を明かし、国王に献上したのだ。

それは、翔たちからの、冷酷極まるメッセージだった。

『陛下。あなたの足元(王都)に、私たち、そして【あなた自身】を暗殺しようとする、おいたの過ぎる他派閥の愚か者が蠢いていますよ。

私たちの契約(安全保障)を守るためにも、その首、どう処理するか、分かっていますね?』


もし、この毒殺の企みを放置すれば、翔たちの安全を脅かしたと見なされ、王の心臓は契約違反で破裂して死に至る。

そして何より、国王自身への、実質的な「テロ行為」と同じなのだ。


「喜んでいる場合ではない!

ヴァルデマール一族がブルグンドへ牙を剥いたということは、我が王権をも脅かす反逆行為だ!

直ちに近衛騎士団を動かせ!

ヴァルデマール子爵、およびその一族のすべての者を、『国王陛下、およびブルグンド公爵閣下への国家暗殺未遂』の極刑罪で、今すぐ一人残らず捕縛し、その爵位と領地を完全に剥奪して処刑せよ!!」


「は、ははぁっ!」


その日の夕方、王都は突如として動いた近衛兵たちの大捕り物により、大騒ぎとなった。

ヴァルデマール子爵の一族は、言い逃れの余地すら与えられず、一瞬にして歴史の闇へと葬り去られたのだった。


国王アルトリウスは、自室のベッドでガタガタと震えながら、自身の知らないところで動き出した、ブルグンド・カノーヴァ、そしてあの『異界の教師』が仕掛ける、冷徹で完璧な「大人の戦い方(政治と経済のカウンター)」の恐ろしさに、ただただ咽び泣くことしかできなかった。


6.安息の王都公爵邸と、駿からのからかい


その日の夜、嵐のような政治の時間が終わり、王都のブルグンド公爵邸の豪華な客室。

10日間の過酷なダンジョン攻略を終え、フカフカのソファに腰掛けてハーブティーを飲んでいた翔の元へ、アデライードとベアトリーチェの二人が歩み寄ってきた。


「翔様、お疲れ様。……ヴァルデマールの一族、陛下の手によって、本当に一瞬で片付けられましたわよ」

アデライードが、勝ち気にツリ目を輝かせて、翔のすぐ隣にぴったりと寄り添った。その柔らかい身体が、翔の大きな二の腕へとダイレクトに密着する。


「お父様(公爵)の手を汚すこともなく、陛下の手で処理させる。……翔様から教わった『知識』と『政治の戦い方』、完璧に活かせましたわ」

ベアトリーチェが、朝露を湛えたサクラのような微笑みで、翔の正面に回り込み、その大きな両手をそっと自分の胸元へと優しく引き寄せた。


「な、お二人とも……近いです、本当に近すぎます!」

翔が顔を真っ赤にして引きつった笑顔を浮かべる中、ポケットの中で、スマートフォンが小さくバイブレーションした。


画面を見ると、リアルタイムで同期されている翔のバイタルデータが表示されており、地球側の駿からのチャットが届いていた。


『──おーい、兄貴。今、お前のステータス画面経由で、心拍数が平均125%まで跳ね上がっとるのが見えたで。

状況はシステムカメラ経由のログで大体分かっとる。

アデライード様とベアトリーチェ様、二人の超絶美少女に左右から密着されて、完全に「両手に花」やんけ。

この熱血教師め、鼻の下デレデレに伸ばしとんちゃうぞ(笑)。

あ、お義父さん(公爵)の大剣に、くれぐれも気ぃつけや? 最後の一線だけは、死守するんやで?』


「……駿、お前、本当に余計なこと言うな……!」

翔は真っ赤になりながら、心の中で弟に向けて叫び、左右から熱っぽい視線を送ってくる二人の令嬢に向けて、精いっぱいの引きつった笑顔を浮かべるのだった。


難関『天空の神殿』の攻略は、彼らの完璧な連携と、王都を揺るがす不敵な商業・政治の支配をエネルギーにして、いよいよ加速していくのだった。


お読みいただき、本当にありがとうございました!


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