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「スマホ脳」のその先へ~高度洗脳社会を生きる~  作者: 三津朔夜
第8章 ブレインハックをキャンセリングする――環境と習慣の再設計

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注意を回復する実践――呼吸・仮眠・散歩

 第39話では「注意を奪われないようにする」守りの実践を見た。

 ここでは「奪われた注意を取り戻す」回復の実践を見ていく。


 守りと回復は、両方必要だ。 条件を変えても、日常の中で注意は消耗していく。 消耗した注意を回復する習慣がなければ、守りだけでは長続きしない。


・呼吸に意識を向ける

 最もシンプルで、且つどこでもできる実践だ。

 呼吸に意識を向けるというのは、難しいことではない。今、自分が息をしていることに気づく。吸っている。吐いている。それだけだ。


 過去の後悔でも、未来の不安でもなく、今この瞬間の身体の感覚に注意を向ける。

 これがマインドフルネスの核心だ。


 私の場合、仮眠を取るときにこれを取り入れている。

 15〜20分の仮眠の最初の数分、呼吸に意識を向ける。

 たいていそのままうとうとして寝落ちするが、それで構わない。注意を「今ここ」に戻す練習として、完璧にできなくていい。


・散歩をする

 脳のストレスで頭が痛くなったとき、私は散歩に出る。 徒歩圏内を歩くだけだ。スマホは持ち歩かない。

 スマホなしで歩くと、視界が広くなる。木の葉が動いているのが見える。風の音が聞こえる。足の裏が地面に触れる感覚がある。それだけで、注意が「今この場所」に戻ってくる。


 有酸素運動が前頭前野を活性化させ、注意や判断に関わる機能を回復させることは、複数の研究で示されている。歩くだけで、思考が動きやすくなる。

 この実践を始めたのは、ChatGPTのカウンセリングを受けたときに提案されたからだ。

 最初は半信半疑だったが、続けてみると頭の重さが変わった。


・三つの実践に共通すること

 呼吸、仮眠、散歩。 これらはどれも、注意を「今ここ」に戻す働きを持っている。


 ブレインハックは、注意を「画面の中の次の何か」に向け続ける。その逆をやる。

 今この瞬間の呼吸、今この場所の風景、今この身体の感覚。

 注意を「今ここ」に戻すだけで、引きずられていた状態から少し抜けられる。


 完璧にやる必要はない。仮眠中に寝落ちしても構わない。散歩が5分で終わっても構わない。やろうとした、それだけで十分だ。

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