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「スマホ脳」のその先へ~高度洗脳社会を生きる~  作者: 三津朔夜
第5章 反応させられる社会で、何を守るのか

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守るべきものが見えたとき、抵抗は始まる

 ここまで見てきたように、反応させられる社会で奪われているのは、時間だけではない。


 注意が散る。判断が急がされる。欲しいと思う方向そのものが揺らぐ。

 その中で、人は「自分で決めているつもり」のまま、少しずつ主導権を外へ預けやすくなる。


 とはいえ、すべてを断てばいいわけではない。

 スマホを完全に捨てる。広告を一切見ない。ゲームも買い物もやめる。

 そんなことは、現実には難しい。それに、そこまでしなければ守れないという話でもない。


 必要なのは、全部に勝つことではない。

 まず、何を守るべきかが見えることだ。

 時間を守る。注意を守る。判断を急がされない場所を守る。欲しいと思う気持ちの出どころを確かめる。


 そうしたものが自分の側に残っていれば、全部を断てなくても、流され方は変わる。

 抵抗という言葉を大げさに考えすぎないことが大事だ。

 社会全体を変えることだけが抵抗ではない。


 毎回すぐに反応しない。一度保留する。距離を置く。見ない時間を作る。急がされていると気づく。

 その一つひとつも、十分に抵抗である。 むしろ、反応することが自然になりきった社会では、 すぐに反応しないこと自体が、小さな抵抗になる。


 すぐ決めない。すぐ押さない。すぐには信じない。

 この「すぐ」を少し遅らせるだけで、取り戻せるものはかなりある。

 もちろん、それは簡単ではない。


 環境の側はかなり強い。だから、また流されることもある。また焦って決めてしまうこともある。


 一方で、大事なのは一度も流されないことではない。

 自分が何に反応しやすいのかを知ること。

 そこから始まる。守るべきものが見えたとき、抵抗はもう始まっている。


 気合いを入れた瞬間ではない。完璧に変われた瞬間でもない。

 「これはただの時間の問題ではない」と気づいたところから、すでに始まっている。


 次の章からは、その抵抗をもう少し具体的な形にしていきたい。

 反応させられる社会の中で、どうやって自分の時間と判断を守るのか。

 気合いや根性ではなく、環境の整え方と心の持ち方から考えていく。

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