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「スマホ脳」のその先へ~高度洗脳社会を生きる~  作者: 三津朔夜
序章

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はじめに

 勉強しなきゃいけないのに、またスマホを開いてしまった。


 SNSを見るたびに疲れる。 閉じればいいのに、なぜか閉じられない。

 やめたい、と思いながら、開いている。

 やめられない自分が嫌で、その嫌さからまたスマホに逃げる。友達の投稿を見て、なんとなく気分が落ちる。


 あの子はちゃんとしている。

 それに比べて、自分は何をやっているんだろうと思う。

 焦っている。 なのに、何もできない。 気づいたら時間だけが消えている。

 夜になると、また今日も何もできなかった、と思う。

 最後にはたいてい、こうなる。 自分の意志が弱いだけだ、と。


 でも、本当にそうなのだろうか。

 スマホを手放せない。 SNSを閉じられない。 比較して落ち込んでしまう。

 それは全部、自分の性格の問題なのか。

 少なくとも、それだけではない。


 今の社会は、人の注意や感情や時間を引き寄せるように、精密に、意図的に作られている。


 通知。

 短い動画。

 無限スクロール。

 レコメンド。


 どれも、もう少しだけ見たくなるようにできている。

 だから、これは単純な意志の問題ではない。 気合いで何とかできるかどうかの話でもない。

 設計の問題だ。


 本書では、この状態をあえて


「高度洗脳社会」


 と呼ぶ。 強い言葉を選んだのは、それくらいのことがもう起きていると思ったからだ。

 自分で選んでいるつもりで、少しずつ選ばされる。

 見たいわけでもないのに、見てしまう。

 やめたいのに、やめにくい。


 その感じを、私は軽い言葉で済ませたくなかった。

 本書では、その背後で動いている仕組みをブレインハックと呼ぶ。

 人の注意、欲望、承認欲求、習慣を引っかけるように作られた設計。

 通知やレコメンドや短い動画は、その入口として、もうあまりに身近だ。


 ここで見ていくのは、スマホやSNSだけではない。

 ゲーム、買い物、広告、AIまで、私たちの日常には注意と感情をつかまえる仕組みが埋め込まれている。


 後半では、気合いや根性ではなく、環境を整えることで自分を守る方法も考える。

 もし今あなたが、 毎日スマホに時間を奪われ、気力を削られ、焦るほど動けなくなるなら、 この本に書いてあることは他人事ではないはずだ。


 見えないまま振り回されるより、 何に振り回されているのかが分かったほうがいい。

『選ばされる社会』で、それでも自分で選ぶために。

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