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おかしなおかしな教師近藤が教師じゃなくなる?  作者: 柿井優嬉


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8/9

神のいたずら

 お金がなくなった近藤は、街をさまよい歩きました。

「ううっ」

 腹が減り、強く吹いている風を受けてふらつき、道端で倒れてしまいました。

「くそう」

 完全な、これ以上ないというくらいの、自業自得です。しかし、さすがにその姿は哀れでした。

「わっ」

 路上で横になった近藤の顔面を目掛けて、何かが飛んできました。

 彼が手で取って、見ると、それは競馬新聞でした。

「ちきしょ……」

 遠くへ放り投げようとしましたが、ふと何かに気づき、彼は体を起こしました。

 その新聞は数日後に開催されるもので、メインレースのところに、誰かが予想したのでしょう、赤のペンで二頭に大きく丸がしてありました。

「これは、もしや……」

 近藤は、彼をかわいそうに思った神様が、お金を与えようとしてくれているのでは? と直感が働いたのです。

 すると、どこにそんな力が残っていたのか、勢いよく立ち上がり、善は急げとばかりに、その印がついた馬券を買いにむかったのでした。


「ううう~。頼むぞ~」

 近藤は、わずかに残金があった己の銀行口座から、なけなしの一万円を下ろし、購入した馬券を両手で拝むように持ってつぶやきました。

 丸がついていたのは三番と八番。その二頭の一点買いで、当たれば百万円以上になります。

 いよいよ時間を迎えて、レースがスタートしました。

「行けっ!」

 近藤は叫びました。

「行けっ、行けっ!」

 しかし、しばらくすると口を閉ざして沈黙してしまいました。馬券の馬が駄目だからではありません。その反対で、なんと三番と八番の二馬が他を大きく引き離して、勝ちが確実な展開となり、自分が目にしているのは夢ではないのか? といった心境になったためでした。

 彼は茫然とした表情から、徐々に笑顔になっていきました。

 神様、ありがとうごぜえやす! ワイ、これからは心を入れ替えて、めっさ働いて、人の役に立ちますんで、見ておくんなまし!

 そう心の中でしゃべりました。

 ところがです。どうしたことか、三番の馬が急に暴れだし、騎手を振り落として、あらぬ方向へ走っていってしまったのです。

「……」

 近藤は呆気に取られ、思いきり開いた口がふさがりませんでした。

 そして、その状態で銅像のように固まってしまったのでした。


 神は、ふざけたことばかりしているこの男を救うはずはなく、もてあそんだのでした。


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