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初授業

「聖妃から解放されたら、王室や何処かに嫁ぐのではなくパパラチア領へ戻ることも出来るでしょう。それまでに最大限、パパラチア男爵家に有利な情報や地位を獲得するの。サファイア公爵家からの後押しがあれば、良い婿も迎えられるはずよ」

「そうですね。私も頑張って立ち回らないと。パパラチアの役に立ちたいです、あ、もちろん、私を推薦してくださるサファイア公爵家への礼も忘れません」


結婚すらしたくないのだと、そう言うのはやめておいた。

それよりはノルティーネの言ったように公爵家を利用してパパラチア領を良くしたいと考えたほうが、まだ現実的だ。

私の願いは、ノクスが生きること、幸せでいること。

そこに私の幸せは含まれていない。

パパラチア女男爵として生き、弟のリンデルドの子にパパラチアが生まれればその子に爵位を譲る心づもりだ。


「さぁ、もう少し休んで。明日にはきっと良くなってるわ、一緒に授業を受けましょうね」

「はい、ありがとうございます、ノルティーネ様」


きっと、大丈夫。

何もかもうまくいく、誰も不幸になんてしない。

誰かがノルティーネにそうして接してくれたのだろう、当たり前のようにノルティーネに頭を撫でられ、リデルはうとうとと船を漕ぐ。

ノクスの手の温もりに似て気持ちいいな、と思った時にはリデルは眠りに落ちていた。



*  *  *



次の日、リデルの熱はすっかり下がっていた。

朝の内に体調が回復したことを伝え、授業の準備をする。

侍女に髪を整えてもらい、服を着て教室へ向かう。

既にエアリエーゼとノルティーネがおり、リデルを出迎えてくれた。


「では、早速ではありますが、奉納の仕方からお教えしましょう。ノルティーネ嬢もリデル嬢も強い聖魔法の持ち主です。きっとすぐに力の使い方がわかるでしょう」


エアリエーゼは手に持っていた荷物の中から、大聖堂で使われる奉納のグラスを3つ取り出す。

一つずつ机に置いてそのうちの1つを手に取り、両手を翳す。


「お二人共、こちらにいらしてください。私の手の上に手をのせていただけますか」


指示に従いリデルとノルティーネはエアリエーゼの手に自分たちの手を重ねる。

エアリエーゼはこちらにアイコンタクトを取ったあと、グラスへ魔力を奉納し始めた。

ぼんやりとグラスは発光し、白い魔力がグラスの中にからんからんと、魔力の粒が溜まっていく。

翳した手はふんわりと温かく、魔力が流れていっているのがよくわかった。

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