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回帰前はぼんやりとしかわからなかったが、いまは魔力の流れがよくわかる。

自分の魔力を認識しコントロール出来るくらいに慣れるまで、つまり子供のうちは他人の魔力に対しても鈍感なのだ。

自分の魔力を知覚して扱えるようになるには、こうして人の魔力を感じたり実際に使用してみる他ない。

他人の魔力は知覚しにくく、そしてそれは別の魔属性だとさらに知覚しづらい。


「ほんのり温かく感じるのをお分かりになりますか、これが聖魔法の魔力です。この粒は、聖魔法の魔力の結晶、国へ納めるためにこうして固体にしているのです。こうして結晶化できるのはこの聖杯のお陰です。他の場所には聖杯がありませんから、この魔法はここだけのものです」


杯の中から掬うように一つ、エアリエーゼがその粒を取り出す。

平たくてつるっとしている。


「粒の形や大きさは、人によって異なるのですよ。私はこうして見てみるも楕円ですこし平たいでしょう?」

「美しいわ……、これが魔力の結晶」


ノルティーネは感嘆の息を吐く。

結晶はキラキラしていて、私たちの胸にある宝石によく似ている。

ただし、掴んで見ていると、すぐにさらさらと砂のように溶け出してしまう。

杯から出すと長く形を保っていられないのだ。


「さあ、やってみてください。お二人の魔力の欠片の形はどんな形でしょう。楽しみですね」


見よう見まねで、やってみる。

こればっかりは実践あるのみだ。

既に何度も練習しているリデルも、魔力の多さが変わったいま自由にコントロール出来るかはわからない。

つい、と杯を撫でる。

魔力が杯と反応しているのがわかる。

リデルはゆっくりと杯へ魔力を注ぐ、魔力が強くなった分コントロールは多少集中力が必要だったがなんてことはなかった。


「まあ、リデル様!とっても上手ね!」

「一度目で成功だなんて、コントロール力が高いのでしょう。素晴らしいです」

「ありがとうございます、ノルティーネ様も頑張ってください」

「ええ、もちろんよ」


どうやらノルティーネは苦戦しているようで、自分の中の魔力をどう出力すればいいかわからないようだ。

過去はリデルのほうが、結晶を作るのに苦戦しよくノルティーネの方をみていなかったから、こうしているのをみるのはとても貴重だ。

ノルティーネはなんでもすぐ出来ていた印象だったから。


「なかなかうまくいかないわね。ねえ、リデル様の結晶もみていいかしら?」

「ええ、もちろん。どうぞ」


ノルティーネは、どうやらこの結晶が気に入ったらしい。

奉納用でここでしかみられないものだ、ノルティーネが喜ぶのならとリデルは喜んでそれを差し出した。


「エアリエーゼ様のものと全然違うのね、おうとつがあってとても不思議な形だわ」

「え、……本当ですね。よくみていなかったけれど、エアリエーゼ様と違って歪ですね」


過去のリデルの結晶はころんと小さい丸い真珠のような形をしていた。

こんな風に四方八方に突起がある形では決してなかったのだ。

ーー魔力の質が変わった?どうして?

魔力量が何倍になろうがその本質は変わらないはずなのに。


「確かに珍しい形ではありますが、星の砂のようでとてもキレイですよ」


エアリエーゼが微笑んでリデルをフォローする。

ノルティーネもそれに同調して、とても可愛い形ねとリデルに微笑む。

リデルも、動揺を気取られないようにこりと微笑んだ。


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