表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/19

対峙

解放の儀式は、そんなに難しいものではない。

儀式ために作られた魔法陣の書いてある地面に、手をかざすだけでいい。

それまで存在しているだけであった垂れ流しの魔力が、属性をそこで得て初めて解放される。

属性や魔力で光り方や色が異なり、それによって自分の属性を確認できるというわけだ。


「サファイア公爵家、ノルティーネ様」

「はい」


儀式の順番は、位の高い貴族の娘からだ。

今年度で1番地位の高い令嬢は、サファイア公爵家のノルティーネだ、すぐに呼ばれて別室へと連れて行かれる。

儀式が終われば、属性ごとに別れるからこのあとリデルはノルティーネに会うことになるだろう。


「ーー、ーー、パパラチア男爵家リデル様」

「はい」


ようやくリデルの番だ。

残っている少女は疎らで、待つのに飽きたといった感じで座っている。

リデルはゆっくりと立ち上がり、柔和な表情で案内をしてる女性の声の前まで行く。

彼女の後をついて回る気分は、まるで、処刑台に上がるような気分だった。

あの悲劇への始まりは、すべてここからだ。

けれど、今度こそあんな結末にしたりはしない。


「緊張しなくても大丈夫ですよ。必ず、貴方のもつ魔力がわかります」

「……はい、ありがとうございます」


儀式への緊張だと思われたのか、案内をしてくれた女性はドアの前でそう言って微笑んでくれる。

連れて行かれた小部屋には、属性と魔力を確認する魔法陣、そしてそれを確認するためのエアリエーゼではない、他の聖女が1名。


「それでは、この魔法陣へしゃがんで手をつけてください。両手をついていただければ、楽な姿勢で構いませんよ。すぐ終わりますから」


その声に従い、ゆっくりと手を地面へ下ろす。

両手をついた瞬間から、魔法陣は眩く光り始め、世界が遠のいた気がした。

これは、何だろう。一度目の人生で、こんなことはなかったはずだ。

何が起きているかわからない、リデルは呆然と真っ白く何もない視界に圧倒されていた。


『汝、世界の真理を望むか』

「……え?!」

『汝、世界の真理を求めて、この地へ挑みし者か』


声が聞こえる。

女とも男ともわからない、けれど力強く畏怖すら感じるその声に、リデルはそれが人ならざるものだと理解した。

自然に跪くことしか出来ず、その声の主を探すことすら叶わない。

声が聞こえているだけで、姿はないのかもしれないが。

リデルは震えながらも、何とか声を放り出した。


「高位の存在の方とお見受け致しますが、ーー私は、世界の真理など、望みません」

『世界の真理に挑みし者よ、その血で神を愚弄する存在よ。』


望んでいないと発言しようと、無駄なのだということはわかっていた。

自分より高位の存在が、当たり前のように対話してくるとは思っていなかったから。

けれど、世界の真理などリデルにとってはどうでもいいことだ。

リデルが望むものは、ノクスの生と彼の幸福、それのみ。

そのために戻ってきた、それ以上の理由はない。


『既にこの世界は欺瞞と虚飾に溢れている。されど、それすら真理を読み解く導となるだろう。探すのだ、真理を。理解するのだ、世界を。その資格を持つ者、今世界にただ一人2つの魂をその身に宿す人間よ。』

「……ああ、」


なるほど。

どうしてここに呼び出されたのか、リデルは理解した。

逆行したリデルは、確かに1度目の人生の魂と2度目の人生の魂が混じった人間だ。

理から外れてしまったリデルは、世界にとって異質であり特異なのだろう。

神は過去もパパラチアを、選んでいたのかもしれない。

エゴイストの多いパパラチアは、今日に至るまでその神からの啓示を無視したに違いない。


そして、リデルもそうするに違いないのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ