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第32話「ギャルの逆襲、ギャル襲」

ラウンドナインから帰宅。


玄(・)関(・)に(・)は(・)麗(・)奈(・)が(・)仁(・)王(・)立(・)ち(・)し(・)て(・)い(・)た(・)。


女子高生って、あんまり仁王立ちしなくない?


「アンタがそうさせる」

「まだ何も言ってないぞ」


麗奈の俺の心を読む精度が上がっている。

普通にアウトソムニアより凄いのやめろ。


「ハブられたんだけど」


「え?」


「ハブられ!たんだけど!!」


麗奈は怒っているというより

拗ねているといった様子だ。

なんかちょっと涙目な気がするし。


「わかる?アンタら4人が楽しげにリムジンに

乗り込むさまを見せつけられた、私の気持ちが」


楽しげどころか、割とギスギスしてたんだけど…

ただ、麗奈が居てもおかしくない面子であったのは確かだ。


「いや違うんだって!

もう麗奈は校舎に残ってないと思ったし、

なんならバイトなのかなって思ったし…」


頑張って言い訳をしてみる。

なんか誰かが足りないなって、

頭のどこかで引っかかってはいたんだ。


「…バイトだったよ」

「だったらいいのでは…?」


どのみち行けなかったってことだよな…?


「良くないよ!声掛けなさいよ〜…!

実際に行けたかどうかは問題じゃないの!」

「というかちょっと待て、これは俺1人の責任か?

栞とイヴにだって同じく責任が…」


振り返ると、栞とイヴは既にいなかった。

あいつら、俺らに気付かれないように

ひっそりと居間に逃げたらしい。


おいイヴ、お前俺のボディガードなんだろ??

助けてくれ。もしかしてバケモン扱いしたことを

根に持っていらっしゃる…?


「確かにアンタ1人の罪じゃないかもしれない。

だけど、アンタの罪が消えるワケじゃないよね」


重い。


「この罪、どうすれば償えますかね…」

「他の子たちがやってたこと、私にもやらせてよ」

「エアホッケー、バスケットシュート、

ガンシューティング、ダンスゲームで40回戦った後、

パンチングマシーンで400kg

出してもらうことになるけどいいんだな?」

「は?そんなことしてたの?」


してたよ。イヴが。


「それは冗談として。ちょうど俺も麗奈と2人で

話したいことがあるんだ。今晩、夢にお邪魔していいか」

「えっ…いいけど」


俺から提案してくるのは

麗奈も予想外だったらしい。


「でも、みんなドア開けて寝てたら

誰の夢に入るかわからないんじゃない?」

「みんな同じ条件なら俺の意思で選べるはず。

栞と麗奈と3人で同じ部屋に寝た時、うまくいったし」

「ふぅん。じゃあ今晩、待ってるから」


麗奈は居間にスタスタと戻っていった。

なんとかご納得いただけたみたいだ。



////



「母さん、明日の朝にアメリカに帰るから」


各自風呂に入り終えた後、

不意に母さんが切り出した。


「もう帰っちゃうのか」

「三者面談も終わったしね。早く研究の続きをしないと」


それもそうか。アウトソムニアは

まだわからないことも多いらしいし。


「あと蒼、これ。期末テスト1位のご褒美よ」


母さんは、プレゼント箱を取り出した。

もしかして今日の三者面談が終わった後、

これを買いに行ってくれていたのだろうか。


「開けていいのか?」

「もちろん」


包みを開いてみると、高級そうな腕時計だった。

青い文字盤に金色の文字。

どこか天体を思わせる、綺麗なデザイン。


「随分高そうだけど…これを俺に?」

「蒼ももう高校生だしね。それにアウトソムニアを持つ者として、

いつでも時間は正確に把握できる方がいいわ。しかもこれ、

電波時計・防水な上にソーラーで電池切れもないのよ」

「ありがとう母さん。大切に使うよ」


さっそく腕に着けてみた。

程よい重さがしっくりくる。


「良かったね、兄貴」

「ああ。これ着けてたら学校でドヤれそうだ」

「アンタたち兄妹は、どうしても無双したい生き物なのね…」


麗奈には呆れられた。

なんにせよ、この腕時計を毎日着けることにしよう。


「それじゃ、おやすみなさい」


俺たちが居間にいると、いつまでも母さんが寝られない。

各自、自分の部屋に戻ることにした。



////



部屋に戻る間際、麗奈に引き止められた。


「夢に入ってこなかったら…アンタ、わかってるよね」

「はい…」


夢に入り損ねたら確実にシバかれる。

なんとしても麗奈の夢に入らないと。


「…というかもう、アンタのベッドで

寝ようかな。それが一番確実でしょ」

「は!?いやいやダメだろそんなの」

「でもさあ。栞ちゃんとも、イヴとも、月華とも、

一緒のベッドで寝てたよね?」


なんかそう聞くと、俺とんでもないな。


「栞は妹だし、イヴは母さんが勝手に許可しただけだし、

月華は無断で入り込んできただけだ!理由があるというか」

「…埋め合わせって理由じゃ、足りないワケ?」


麗奈が上目遣いでこちらを見てくる。

こんな小悪魔な麗奈、見たことがない。


「いやでも、明日の朝、絶対に栞に怒られると思うんだよな」

「もう怒るけど?」


普通に栞に聞かれており、自室から栞が出てきた。

兄貴を戒めるRTAでもしてるのかお前は。

ああそうか…律儀に今晩からドアを

開けておいてくれたおかげで、丸聞こえだったんだな。


「兄貴さあ、そんな簡単にクラスメイトの女の子と

同衾しちゃあダメじゃない?」

「誠に申し訳ございませんでした。じゃあやめます」

「アンタ弱すぎるでしょ…栞ちゃんさあ」


栞に向き直る麗奈。瞳に光がない。


「さっきは逃げられたけど、私をハブった罪は

栞ちゃんにもあるんだよ?」

「うっ!」

「それに、勝手にイヴに私のこと

トップオブギャルだとか吹き込んだでしょ」

「うっ!!」

「メイクもずっと教えてるし、バストアップ体操だって

教えてあげたのにな〜?」

「あっちょっ麗奈さん!兄貴の前で…!!」


栞がみるみる追い詰められていく。

てかバストアップ体操してたんか。


「生意気言ってすみませんでした。どうぞご同衾ください。

私は怖いのでイヴと一緒に寝ることにします…」


栞、敗北。お前も弱すぎるだろ。

栞はとぼとぼイヴの部屋へと入っていき、ドアを閉めた。


「さてと…これで安心して、一緒のベッドで眠れるね?」


悪戯っぽく笑う麗奈。

今日の麗奈、マジでちょっとおかしいぞ!?

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