第30話「激突!イヴ vs 九条院」
「我が九条院グループのラウンドナインに
遊びに来てくださるなんて、光栄ですわ」
「九条院家令嬢、九条院月華ですね。
私が来た以上、もう蒼には近づけませんよ」
俺と九条院の間に、イヴが割って入った。
そういえばイヴって、俺を九条院家から守る
ボディガードなんだった。忘れてた。
「ほう?あなたが先日SPから報告のあった、
謎の外国人女子高生ですわね」
「あなたの指示で、アオイとレイナを
尾行させていたんですか?悪趣味ですね」
イヴは険しい表情をしている。
えっ初耳なんだけど。俺尾行されてたの?
「いえ、あれはSP部隊の独断です。
とはいえ、部下の責任は私の責任。非礼をお詫びします」
九条院は、俺に深々と頭を下げた。
「別にいいよ…いや、よくはないけど。
今後は尾行しないんだな?」
「ええ、きつく言っておきましたから。
私はそんなアンフェアなことはいたしませんわ」
「俺が寝ている間に脳波計測しようとしてたよな??」
「もうしませんわ。それにあなたにデータを削除されて
しまいましたし。ご勘弁くださいませ」
若干納得いかないが…九条院も心を入れ替えたということか?
「九条院グループを素直に信じてはいけませんよ、アオイ。
この人たちは、お金を稼ぐためであれば何だって利用する」
イヴだけでなく、九条院も険しい表情になった。
「そもそもあなたは何者なの?本日転校してきたそうだけど」
「私はイヴ。それ以外に伝えることなどありません」
「私が神城蒼に危害を加えることはありませんわ」
「さあ、どうだか。危害というのは、
何も暴力だけではありませんから」
一触即発、バチバチだ。どうしたものか。
「落ち着けイヴ。別に俺は九条院と
縁を切ろうとは思っていない」
「まあ…!」
ぱあっと表情が明るくなる九条院。
イヴは対照的に、表情がコロコロ変わるしわかりやすい。
「それで?一体何の用だ、九条院」
「私は単に、あなたとゲーセンにご一緒したいの。
あの日の夢のようにね」
「夢のことは知らないけど、それくらいなら」
「アオイ!危険です」
イヴに咎められる。
「確かにラウンドナインは九条院グループの施設だし、
九条院は九条院家のご令嬢だけど…あ〜ややこしいな」
「わたくしのことは、月華と呼んで構いませんわよ?」
まあ栞も麗奈も月華って呼んでた気がするし、いいか。
「…月華は、本当に俺に危害を加える気はないと思う。
それに、いざとなったらイヴが守ってくれるんだろ?」
「それは、そうですが…」
俺からしたら、イヴも月華も
「当たり前に、幸せに過ごしてほしい女子高生」だ。
2人とも、根っこの部分で孤独を抱えているように思う。
片方を切り捨てたくはない。イヴには心配かけちゃうけど。
「じゃあ、さっさとラウンドナインに行こう」
「せっかくです、みなさんをリムジンでお送りします」
「少しでも妙な動きをしたら、運転手共々縛り上げます」
イヴが怖い。
かくして、俺・栞・イヴ・月華の4人は、
ラウンドナインに移動したのだった。
あれ、なんだか1人足りないような…
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ラウンドナインにやってきた。
関係者駐車場にリムジンを乗り付け、下車。
ゲーセンで遊びたいだけなのに、ご大層すぎる。
「全館貸切にして差し上げましょうか?」
「いらんいらん!それじゃ普通のゲーセンを楽しめないだろ」
「2人きりでも楽しかったじゃありませんか」
「なんの話だ!知らないぞ俺は」
月華の夢に入ってしまったことは、あくまで伏せる。
さて…どのゲームをやろうか。
できれば月華とイヴに交流して欲しいのだが、
月華には夢の中で一通りのゲームを教えてしまった。
普通に対戦ゲームで遊んだらおそらく月華が有利だ。
それはイヴが可哀想だから、イヴの身体能力や経験で
カバーの効きそうなものがいいだろう。
「イヴ、月華。こんなのはどうだ」
エアホッケー、バスケットシュート、
ガンシューティング、ダンスゲーム。
2人が良い勝負になりそうなものを選んで、
次々に戦わせてみよう。
「神城蒼に教わったのですから、
恥をかかせる訳にはいきませんわね」
「こんなことにも勝てないようではアオイを守れない...!」
なんか俺を理由に戦ってない?まあいいか。
だが俺の目論見通り、どれも接戦になっている。
「2人とも、兄貴のことが大好きなんだね…」
栞が少し呆れた様子でそう言った。
「これは果たして愛情なんだろうか…?」
これで少しはイヴと月華が仲良くなってくれるといいんだが。
2人とも顔が必死すぎる。無理かも。




