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強欲のダンジョンの作り方  作者: 夢兎
エルヴァリエル

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第91話 ルミシルヴァに必要な物

 交易から戻って報告をした後、族長と共に、ルミシルヴァで必要な物と将来的に欲しい物を整理する。

 やはり狩猟に使う金属類は欲しいということで、ある程度の数が揃うまではナイフを交換することになった。

 他は欲しくなったら都度注文することとして、他の意見も聞きにまわる。



 まずは今回多く交換した布を扱う服飾担当を訪ねてみる。


「わぁ、布にこんな模様をつけられるなんて!」


 巻かれていた布を広げ、みんなでどのような染料が使われているのかと話が広がっている。その話は後にしてもらい、今後も取引できるなら必要か問うと「欲しい」と回答がくる。


「ただ、こちらのフリルとレースは、作り手としては魅力的なのですが……これを使った服を着てもらえるかといったら、微妙ですね」


 服飾担当が試しにレースを服へ当てながら「着ます?」と問いかけてきたが……それを着ている自分が思い浮かばない……


「レースもフリルも、どちらかといえば女性向けでしょうしね」


 苦笑を浮かべながらも大事にしまわれていく。服の形を工夫することで似たような見た目にすることもあるようなので、そういう服を好む人向けに使うのだろう。

 とりあえず、普段の交易では様々な模様の布のみ交換することとなった。ただし、こちらも優先するわけではなく、交換する余裕があるのであれば、とのことだった。


 布などよりも、先に針があれば交換してきて欲しいらしい。すぐに壊れるものではないが、破損したときのために一式余分にあるといいらしい。

 今回の交易品の中になかったということは、普段は用意されていないのだろう。次回持ってきてもらう形になるから時間がかかると伝えておく。



 次に訪ねたのは工芸品担当だ。無事に全て売れたと伝えるとほっとしていた。


「全てということは……あれも売れたのですね……」


 微妙な顔になるのはわかる。人の間でも一部の好みらしく、数が多いと困るがあれくらいの量なら売れそうだと伝えると納得していた。


「では次も作ってきたらそのまま交易に預けますね」


 箱の彫刻についても、出来具合によっては箱だけでも売れるのではないかという話をしたら、今ちょうど打ち合わせに来ているというので、その席に混ぜてもらう。


「若長! 提案をありがとうございます」


 箱に施した見本を持ってきていたようで、一緒に見せてもらう。

 どうやら工芸担当者ごとに意匠を作って彫るようだ。

 同じ葉でも枚数を変えたり、葉脈のみを透かし彫りにしていたりとなかなか凝っている。こんなに凝った意匠だと数を揃えるのは大変なのではないか?


「一人で彫ると大変ですが、こちらも担当者を分けて彫る予定です」


 あの黒いの用は箱も黒い。わかりやすいが、箱にまで目はつけなくてもいいのではないだろうか。というか、これを持っていると、なんかありそうで……


「蔦はいいが、この目は……花か何かに変えられないか?」


 周りも苦笑を浮かべる。


「似たような形の花にしましょうか。立体的なつぼみと葉で目のような形にしたらいい感じになりそうです」


 ……どうやら、目だけは譲れないらしいな……


 箱の彫刻の他にも彫刻したものがあるか尋ねると小物がいくつかあるようだ。それらを交易に出さないかと持ち掛けると快く了承を得られる。


「それらと交換で彫刻刀があれば交換して欲しいです」


 どうやら研ぎながら長く使っていたらしく、その刃もずいぶん短くなってきていたようだ。近いうちに交易担当から取り寄せようと考えていたようで、部族で交易が始まるのであれば真っ先に要望しようと考えていたのだとか。

 こちらも時間がかかることを説明しておく。


 これは……道具に金属を含むところは全て交易で入手してほしいと要望が出るのではないか?


「そうですね。いままで交易に参加していなかったので、壊れでもしない限りは購入していませんでしたからね」


 金属のものは高いから、交易を始めたとはいえ一度に揃えることはできない。これは優先度を決めて購入しないと、工芸品が足らないな……

 マジックバッグ分の支払いを終えた後ならインゴットで払えばすぐ揃えられそうだが……それをやるには族長にアレの稼働を認めさせなければならない。


「アルシェイラを追放したのに自分で使うことは、しないだろうな」


 どの口が言う、と自嘲の笑みがこぼれる。アレを入手したいと考えて追放の選択肢を足したのは自分だというのに。そして、真名の契約をしてまで使っている。


 よく考えたらおかしな話だ。

 そもそも、最初にアレを欲したのはなぜだったか……


 横にそれた思考を頭を振って追い払う。



 まずは交易で入手したい物の一覧を作成して、優先順位を決めなければ。

 次の交易で作成した一覧を見せて、どれくらいの工芸品が必要かも確認しておかなければならないな。専用の道具だと高価なものもあるかもしれない。


「部族内で作れるのであれば作るのだが……金属を扱える者がいないな……」


 金属の道具類は交易に頼るしかない。全て揃うまでに時間はかかるが……一年程度であれば文句は出ないだろう。今までも依頼を出してから入手できるまで時間はかかっていたはずだからな。



 部族を周り終えて要望品一覧を見ると、これほど多くの金属を使っていたのかと改めて思う。自分の周りでは金属なんてほとんど見かけないものだったのだが……


「これは全て揃うころには一年どころか二年は経っていそうだ」


 そして全て終わる頃には、消耗が早いものは次を要望される、と……交易というものはよくできているものだな。


 族長に作成した一覧を見せたら驚いていた。


「これだけ不足しているとは思わなかった……もっと早く交易を再開すべきだったな」


 苦笑を浮かべながら、交易については全面的に任されることとなった。毎回交易に参加するための口実作りだったはずなのだが、部族のためになるのであればこれはこれでいいことだな。

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