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強欲のダンジョンの作り方  作者: 夢兎
地下農業迷宮

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第9話 地下農業迷宮のコア

「これがダンジョンコアか」


 陛下から送られてきた真っ赤な魔石を銀の魔導金属が複雑な紋様を描いて包み込んでいる。

 周りの魔導金属は今はただの飾りでしかないけど、エネルギーと繋がると魔導金属が魔力の色で輝くはずだ。鉱山を調査した時に見た感じだと白で輝くのではないかしら?


「セドリック。ベルグリム鉱山村へ七日後に畑を展開すると通達を。ベルノルト子爵には十日後くらいを目安に農民が着くように手配してもらってくれ」


「かしこまりました」


 あたしとしては明日にはダンジョンを展開して調整したいところだけど、今もベルグリムには普通に村民が生活している。準備期間はあってしかるべきよね。


「ダンジョンの中はどのくらいの期間で出来上がる?」


「半日もあれば終わりますよ?」


「……半日?」


 辺境伯様もセドリックさんも驚いた顔して見てるけど、設計図の通りに展開するだけなので問題ないですよ?ほぼ畑で開けた土地のままですし。植物を生やした状態ならもう少し時間はかかるけど。

 ゴーレムも中の建物もダンジョンを掘る際の土を使うから新たに作らなくていいし、ガーゴイルも岩盤を使う石作りだから問題ない。

 ゴーレムとガーゴイルの頭脳部分は掘る際に出てきた材料で錬成しないとだからそこだけ時間がかかるかな?


「種や苗は揃ってますか?」


「先にもらった設計書に基づいて手配はしてある。それぞれ十個しか用意してないが、よかったのか?」


 急にこれだけの広さに植える種をって言ったって、用意する人が困るでしょ?


「エネルギーや魔力は使いますがクローン――同じものを作り出す技術を使うので問題ないです」


 クローンは何にでも使えるわけじゃないけど、植物は比較的容易にできる。

 困っているのは生物なのよね。花粉受粉のためにもミツバチは欲しいのだけど、クローンで体ができても魂が宿らない。クローン成形の魔導陣化はできたのだけど、魂って何をどうやったら宿るものなの?

 しかたないからコアから魔力伝達で遠隔操作をさせるのだけど、ずっとそんなことをしていたらリソースがいくつあっても足りなくなるわ。

 ラノベのダンジョンみたいに魂の循環ができれば内部のエネルギー循環も幅広くなりそうなのだけど……うーん……


「アルセラ?」


 はっ!


「申し訳ありません。少し別のことを考えていました」


 なんのお話でしたっけ?


「ガーゴイルに攻撃させないように認識させる証は入り口で配るのだな?」


「そうですね。通いで毎日のように出入りする人は認識証を持ち出しさせない方が管理はしやすいと思います」


 なくしてそれを悪用されればセキュリティの意味はなくなる。持ち出しされたら効力が無効になるくらいの機能を持たせられたらいいのだけど、数を作るとなるとそれはちょっと非効率なのよね。

 毎日のチェックも手間だろうけど、出入りする人が変わった時にこの方法は臨機応変に対応しやすいのよね。


「それならば見習い上がりの騎士に認識証の管理を当番であたらせるか」


 そうですね。騎士様にとっては退屈な任務でしょうけどね。ガーゴイルやゴーレムはダンジョンの外には出られませんし、何かあった時に連絡に走れる人は必要だと思います。

 騎士様が常駐してると認識証を持っていこうとする人は少なくなるだろうし。


「あと、これは辺境伯様が管理してください」


 辺境伯様にメインキーとサブキーを渡す。


「これは先日宝石店に作らせていたものか」


「これを持っているとダンジョンコアを操作することができます」


 ずっとあたしがいられるとは限らないから作ったこと。

 通行証が壊れたなど、新たな通行証を決めたいときに登録が可能なこと。

 ダンジョンの稼働を止めたいときに壊さなくても止められること。再開もできること。


 要点をまとめて話したけどあまり理解されてない気がしたから、適当なもので通行証として実際に登録して、登録したものを消してもらった。


「こんな風になっているのだな……理解は……難しいな」


 まぁ、そういうものということで。コアに記憶させているシステム全部にアクセス権限があるけど、通行証登録くらいが限界だと思います。キーは大事にしまっておいてくださいね。

 本当は天候操作や階層入れ替えも簡単にできるようになっていたらもっとよかったのだけどね。試しに空間ディスプレイを表示させて中身を見せてみたら辺境伯様たちが動かなくなっちゃったからそっ閉じしておきました。

 やっぱり教えるのは無理ね。



 そうそう、セドリックさんに許可をいただきたいことがあったんだわ。


「セドリックさん、ダンジョンに居住を移す時にミアも一緒に連れていってもよろしいですか?」


 まだミア本人に確認はとっていないのだけどね。断られたら諦めます。


「ミア本人が了承するのであればお願いします。こちらの事情でもありますのでミアの雇用条件は今のまま維持させていただきます」


 あ、それは大事ね。そういえばあたし収入ないからお給料払えないわ。なんだかんだでずっとマティアス様や辺境伯様にお世話していただいていて生活に困ってないから、お給料のことをすっかり忘れていたわよ。

 ありがとう〜、セドリックさん。


「いえ、教育が行き届いておらず申し訳ありません」


 ちなみにセドリックさんはどこまで把握されていらっしゃるのでしょう?

 ……ちょっと、その黒い笑みは怖いですよ?


「ミアには申し訳ないのですが、とてもいい試金石となっていただきました。見えていなかった膿を全て掻き出せそうです」


 なんだか背中に黒いオーラの幻影が見える気がするわ……ほんとに怖いって!

 許可も難なくとれたし、これならミアにはしばらく地下畑にいてもらって、城の人員整理が終わったら戻す手もありそうね。

 その辺りも含めてミアとお話ししないとね。

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