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強欲のダンジョンの作り方  作者: 夢兎
地下農業迷宮

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第6話 初めてのベルグリム2

 トビアスとカイルを連れて鉱山に近づく。本当は入り口から入って中で調べたいのだけど、作業中の鉱夫と会ってまた揉め事になっても嫌だから入り口を避けて周りこんだ。

 適当なところで地面に手をつけて地の精霊に働きかける。エルフと地の精霊は相性があまりよろしくない。精霊から送られてくる曖昧な情報を、集中して整理しながら読み解いていく


 やはり思った通りこの鉱山は死んでない。おそらく人が掘れる範囲内を掘りつくしただけで地下には多くの鉱脈が眠っていそうだ。

 コアを作るための魔石次第だけど、気候管理する層を五階層くらいは余裕で作れるだけのエネルギーはある。鉱山自体も大きいし、広さも充分に作れるわね。

 農地を作ってエネルギー余剰がありそうなら地下深層の鉱石の採掘や鍛冶場の作成を提案するのもありだわね。それができれば鉱山としての機能が復活することになる。これは下手に期待を持たせるといけないから住民にはできるとわかるまで公表できない内容だけど……辺境伯様にはお伝えした方がいいだろう。


 鉱山の状態を見終わりふと周りに意識を戻すと数人の鉱夫に取り囲まれていた。

 ……いつの間に……相性の悪い地の精霊を通して集中していたから全然気がつかなかったわ……


 取り囲んでいる鉱夫は「鉱山の調査など必要ない」「まだ採掘できるから廃坑にするな」など、概ねそんな内容を口々に発しているようだ。普段から廃坑にする方向で話が出ていたのかしらね。それをあたしに訴えられても、決定権は辺境伯様なのよね。

 トビアスとカイルがあたしに近づかないように壁になってくれているのだけど、困ったな。どう抜ければいいのかしら……


「ベルグリム鉱山のことは辺境伯様が決定されることです。ご意見は全て私を通していただきます」


 鉱夫の輪の外からセドリックさんの声がすると、鉱夫の輪が少し緩む。その隙間を縫うようにこちらにきて小声で確認をとる。


「アルセラ様、調査は終わりましたか?」


「はい、鉱山で知りたいことは調べ終わりました」


 あとは材料や人員がそろうかどうかの問題だから城でも検討できる内容だし。というか辺境伯様と打ち合わせないといけないことだからもう帰る。怖い怖い。エルフは生粋のひきこもりなんだってば。


「では帰りましょう」


 セドリックさんを先頭にトビアスとカイルの三人であたしを囲って守ってくれる。

 うう、辺境伯様、二人をつけてくれてありがとうございますぅ! いらないと思ってたけど絶対に必要でしたぁ! もう涙目ですよ。怖いよぅ!



 辺境伯邸で割り当てられた部屋に戻ってソファーにぐったりと倒れ込む。本当はすぐにでも辺境伯様に報告をするべきなのだろうけど、人の不満や悪意を真正面からぶつけられるのはものすごく疲れる。無理。


 一通り身体を弛緩させて落ち着かせてからミアに辺境伯様へお伺いをお願いすると、セドリックさんが直接お迎えにきたからそのまま後に続いて執務室にお邪魔する。


「セドリックから概ねの話は聞いた。大変だったようだな」


「すぐご報告に上がらず申し訳ありません」


「こちらの不手際が招いたことだ。気にしなくていい」


 そのためのセドリックさんと騎士二人だものね。それでもやっぱり怖かったけど。


 それはさておいて、直接鉱山を見て分かったことを順番に報告していく。

 まだ鉱山は生きていてエネルギーは十分にあることを伝えるとかなり安堵したようだ。

 コアになる魔石の大きさや質によっても変わるけど、余剰エネルギーが出たら深層の鉱石も掘り出すことができるかも、と伝えたら驚いていた。


「エネルギーがたくさんあっても鉱山としては機能しなくなると思っていたが……」


「全て畑にするという案もありますが?」


「いや、バルディウス領はドラグナール帝国との国境だ。帝国は鉱石を狙って何度か侵攻してきているから、武具を整えるためにもある程度の鉱石は必要になる」


 ふぅむ、それならこの案は通るかな?


「ダンジョンの入り口はガーゴイルを設置して警備を固めようと考えています。国防の武具作成は農場層と発掘層の間に鍛冶層を作ってそこで作成するのはいかがでしょう?」


 外に材料も出来上がったものも運び出さなければ軍備の機密保持にもなるからね。

 鉱山の麓にあった村なら鍛冶に携わっていた人もいるだろうし、人材は確保できるだろう。まぁ、ただ――


「農業層を作ってみて確実にエネルギーが余るとわかるまで情報は伏せた方が良いですが」


 期待させてできませんでしたってなると暴動が起こるし、せっかく機密保持ができる環境なのにできる前から情報が漏れては意味がない。

 鍛冶場と情報機密の有用性はすぐに理解してもらえたようでこの点は承認がすぐにおりた。


 続けて農業化反対派との接触を避けるためにダンジョンができたらあたしとベルノルト領からくる農民はダンジョン内に住む場所を作ることも承知してもらう。今日の様子を見る限り根強く摩擦は残りそうだから避けられる衝突はできるだけ避けるに限るからね。

 まぁ、あたしがダンジョン内に住むことはあらかじめ報酬の一つとしてあったのだけど。やっぱり長く住むなら森がいいのよ。


「アルセラが設計をしている間にベルグリム鉱山村に説明はしておこう。鉱山ではなくなっても働く場所があると分かれば全員反対の立場ではなくなるはずだ」


 鉱山でなければ嫌だって人は一定数いると思うけどね。そこの説得は辺境伯様の統治能力によるところだからあたしはノータッチの方向で!


 とりあえずの農業層のみのバージョンと鍛冶場と採掘場を含めたバージョンのそれぞれ設計と必要材料の試算を出しますね。

 さて、ガーゴイルとゴーレムはいくつ作ろうかしらね?

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