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強欲のダンジョンの作り方  作者: 夢兎
ドラグナール帝国

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第46話 砦戦2

 まったりと依頼のあった回復ポーションを作っていたらセドリックさんが来たとミアから連絡があった。

 こんな日も暮れようという時間に珍しいわね?

 それだけ急ぎなのかもしれないと森の入口に作った部屋へと早足で向かった。


「アルセラ様、ドラグナール帝国との戦端が開かれました」


 ドラグナール帝国が攻めてきた?

 あ! だから回復ポーションがたくさん欲しかったのね! もう、そう言ってくれればもっとたくさん作ってたのに!


「いえ、今の数でも十分ですから」


「でも兵の数に対して全然足りませんよね?」


 セドリックさんがため息を交えつつ思案してから、言い聞かせるようにゆっくりと言葉を重ねる。

 あ、これマジックバッグのことで説得されたときの空気だわ……


「アルセラ様が中級とおっしゃっている回復ポーションは、一般的な上級ポーションと同じ効果があります」


 え? そうなの?

 だって、レシピには中級って書いてあったのよ?


「こちらが準備できた一般的な上級ポーションは百です。それに対してアルセラ様の中級ポーションは千。十分な在庫が確保できています」


 ん~でも回復ポーションは、あればあるだけ助かりますよね?


「あまりに大量に在庫を抱えても報酬が払えませんから」


「練習で作っているのだし報酬はいらな……」


「受け取ってください!」


 は、はい。ものすごく被せるように怒られてしまった。

 でも材料を生成するエネルギーはダンジョンからもらってるからなんだか申し訳ないのよね。この付近に生えていないものも無理やり生やしてるから結構エネルギー使ってるのよ。


「それはこちらが望んだものを入手するための必要経費ですから問題ありません」


 ん~……とりあえずさっきできた初級ポーションはあとで渡しますね?

 で、攻めてきたんですよね?


「はい。それでベルグリム村の住民を地下農業迷宮へ避難させたいのです」


「そうですね。ここまでくるかはともかく避難はしていたほうがいいでしょうね。たしか以前聞いたときの住民は50人ほどでしたよね?」


「はい。二階層にしばらく過ごす場所を広げていただくことは可能ですか?」


「大丈夫ですよ。住居は長屋のようにつながったものとなりますけどいいですか?」


「十分です」


 住む場所はいくらでも作ることができるし、水は問題ない。食べ物も野菜だけなら賄える量が収穫で得られるし、その収穫は避難してきた人で頑張ってもらえばいいからね。ダンジョン機能で簡単に作れない身の回り品は避難と同時に持ってくるだろう。うん、生活は通常レベルで継続できるわね。


 荷物を運びこむには入口が狭いでしょうし、明日は搬入口を解放しましょうか。村人以外の人が入らないように村人を把握している人と騎士に出入りを見張らせてください。


「助かります。村人に周知してきます」


「では、あたしは二階層の準備をしますね」


 うーん、50人分全部平屋にするとさすがに広大な場所が必要になるわよね?

 アパートのような造りにして、二階、いや三階建てにしようかしらね? 体力ある人に3階にいってもらえば大丈夫よね? ダメだったら建て直そう。

 食事は休憩所でとってもらうこととして、寝る場所とトイレ、くつろぐスペースがちょっとあればいいかしらね。

 一時的に出入りの記録までは管理しきれないけど、緊急時だし仕方ないわね。


 村人に周知する頃にはもう日も暮れ始めていたため夜は避難の準備に充てることとして、住民の移動は翌朝から開始することとなった。



 日が沈み暗闇に包まれた頃、砦の一角で悲鳴が上がった。


「敵襲ー! 壁に注視せよ!」


 敵は黒の装束に身を包み、音の少ない革鎧に身を包んだ兵がカギ爪を使って登攀してきていた。すぐに弓隊が対応しようとするが姿がはっきりと見えず効果は薄い。岩を落として邪魔をしようとするが、振り子のように体を揺らして避けられていた。


 10人ほど壁の上に登攀を許し、各所で迎撃が始まると壁への注意が薄くなり、あちこちから登ってくる。砦の守り手も分散して対応するしかなかった。

 幸い奇襲前提の軽装なため撃破することは難しくはなかったが、そこに火矢が飛び交うようになり消火作業にも人手を割かれることになる。


「門だ! 門を守れ!」


 同じように黒装束に身を包み、煤で黒くした丸太を持ち、門を叩く部隊が現れた。矢を降らせるが盾を頭上に構えられてしまい届かない。


 隊長格の精鋭が壁上へ駆けつけ、登攀で侵入してきた敵を一掃していく。動きを阻まれていた投石部隊も動けるようになり、門を叩く部隊に岩を落として潰していく。

 門を攻める部隊が沈黙すると静かに敵の攻勢が止み引いていった。


「……なんとか凌いだか……」


 今回の夜襲では不意打ちをくらった数名が命を落とした。

 事前に準備されたポーションのおかげで命さえ助かっていれば戦線に復帰は可能だが、重傷であればあるほど休息が必要となる。

 夜襲がこの一回で終わるとは限らない。警戒は続けなければいけないだろう。

 こうして砦の長い夜が始まった。



 アルドレウスは夜襲の様子を見ながら満足げに頷き、側に控える部下に聞く。


「次の準備は?」


「できています」


「砦の上が静かになったら仕掛けろ」


「はっ!」


 まだ始まったばかりだ。次も耐えて見せろよ。

 だが思っていた以上にあちらの損害は少なく見える。指揮官が優秀なのか、防衛練度が意外と高いのか。


「そうでなくては攻めるのもつまらない」


 夜闇に紛れてあちらの発見が遅れたのもあるが、カギ爪は有効だということはわかった。明日の昼間にも取り入れるのはありだろう。

 門をもう少し叩いて緩ませておきたいが、その度に岩を落とされれば通行の邪魔になる。その点を考えて次は通用門を狙う手はずとなっているが、どうなるか。

 こうして必死に抵抗する様を見るのも楽しいものだ。

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