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強欲のダンジョンの作り方  作者: 夢兎
地下農業迷宮

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第4話 バルディウス辺境伯領到着

 ベルノルト子爵領を出てから馬車に揺られること三日、バルディウス辺境伯領に到着した。ああもう、体中が痛い!

 満員電車の通勤もなかなかの辛さだったけど、体が痛くならない分快適だったのね。……いや、どっちもどっちか。辛いものは辛いわね。


 辺境伯邸に近づくと遠くからでもすごい存在感。城だわ、西洋の小城。辺境だから戦闘も度々あるのだろう。要塞タイプの重厚な城で城壁は修復跡で若干ツギハギ感がある。


 馬車が玄関前に止まると中から執事っぽい人が出迎えてくれた。 


「お待ちしておりました、アルセラ様。私はバルディウス辺境伯家執事頭、セドリック・ハルフェンにございます。お部屋へご案内いたします」


 使用人の頭が出てきたよ。あたしそんな偉い人じゃないんだけど。

 恐縮しながら歩き始めたら階段から侍女を伴ったご婦人が下りてきた。これはお話できる距離に近づいていらっしゃるまで待った方がいいやつよね。


「バルディウス領へようこそ。はじめまして、私はエルドリック・バルディウスの妻クラリッサですわ。自分の家と思ってくつろいで下さいね」


 ふんわりと包まれて抱きしめられる。

 わわわっ、いきなりのゼロ距離〜! 元日本人の記憶がある身としてはどう対応したらいいのかものすごく困る。エルフもそんなにフレンドリーなスキンシップをとる文化はないのよ。


「奥様、アルセラ様が困っております」


 あああ、セドリックさん、ありがとう〜!


「あら、ごめんなさいね。こんな辺境だから年頃のかわいい女の子に接する機会が少なくて、つい」


 つい、で抱きつかないで下さい。心の中で抗議しつつも作り笑顔でやり過ごす。

 落ち着いたらお茶しましょうね、とクラリッサ様が去っていったのでセドリックさんについてお部屋へと向かった。



「滞在中はこちらの部屋をお使い下さい」


 豪華な客室の一室に案内される。こんな豪華な部屋じゃなくていいのだけど、客人扱いだから仕方ないよね。造りが城だからグレードの低い客室なんてものがないのだろうし。

 部屋の中では若いメイドさんが頭を下げて待機していた。


「こちらはアルセラ様付きのメイドとなります。ミア、ご挨拶を」


「ミアです。至らぬこともあると思いますがよろしくお願いします」


 とても緊張した様子で挨拶をしてくれる。こんな初々しい子が客室付きになるなんて珍しいな。


「ミアは平民の出で貴族作法が少し疎いところがありますが、アルセラ様はあまりかたい作法を好まないと伺っております。お見苦しいようでしたら担当を変更しますのでいつでもお知らせ下さい」


 なるほど。あたしのことを考えての人選なのね。それは助かるわ。


「わたくしも平民ですからその方が気安く過ごせて助かるわ。よろしくね、ミア」


「困ったことがありましたらお気軽にミアか私にお伝えください」


「わかりました。ありがとう」


 セドリックさんはここで退室していく。気配が遠ざかって行くのを確認して大きく伸びをする。


「あ〜、肩凝った〜!」


 部屋の中にあるソファにぽすんと座ってミアを見る。


「ごめんね〜ミアの前では素でいさせてね」


 口の前に人差し指を立てて内緒ねってしておく。メイドさんだからある程度情報が回ってしまうだろうけど、ここにいるのはダンジョンができるまでの短い期間だから問題ないわね。

 さて、何をどう進めて行くか計画を立てないとね。辺境伯様にできるだけ早く鉱山を見せて欲しいことはお伝えしないといけないわね。


「ミア、早速だけど辺境伯様にご挨拶と今後の打ち合わせでお時間をいただきたいんだけど、お伺いをお願いできる?」


「はい、かしこまりました」


 返事が微笑ましいわね。客室メイドとしては及第点に微妙に届かないかなー。しかしなかなか思い切った人選をしたものね。ミア、妬まれるのではないかしら?

 平民とはいえ主人が客人として扱う相手なら本来は侍女がつくものだからね。ミアに対する態度次第ではダンジョンに引き抜いていこっかな。そうしよう。



 辺境伯様は今日ならいつでも時間をとれるように調整してくれていたらしく、すぐに対面することができた。


「お忙しい中お時間をいただきありがとうございます」


「アルセラの計画は私にとっては最優先事項だ。問題ないよ」


 挨拶はそこそこに軽く済ませて早速鉱山の状態を見に行きたい旨を伝える。どれくらいエネルギーがあるのかわからないと細かい計画が立てにくいのよね。

 その状態を見た上でどのくらいの規模のダンジョンにしていくのか設計をすることを伝える。


「魔石の準備がもう少しかかりそうだからその間に設計が完成していると順調に進むだろう」


 辺境伯様もこの進め方で問題ないようだ。


「セドリック、明日アルセラをベルグリム鉱山へ連れて行ってくれ。その時の護衛騎士も選出して準備しておくように」


「かしこまりました」


 護衛騎士! そんな大それたものはいりませんけど?


「アルセラ、君の持つ技術はこの国だけでなく様々な国から狙われるような技術だ。その自覚は今のうちから持っておいた方がいい」


 ええ? まだ鉱石と植物を生やすくらいのことしかできないのに? しかも周りからエネルギーを吸収しないと維持できないレベルなんだけど……


「そのエネルギーだって廃坑でも生まれ変わる可能性がすでにある。捨てた財産が蘇るのであれば欲しくなるだろう?」


 なるほど? ここで採掘量の落ちている辺境伯領の鉱山がなんらかの利益を得るように蘇るのであれば次はうちの領もってなるわけか。

 これはセキュリティをしっかりとしておかないとダンジョン引きこもり生活も怪しくなるわね。んー、古代遺跡に使える技術があったかしら?

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