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強欲のダンジョンの作り方  作者: 夢兎
地下農業迷宮

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第38話 ガーゴイル1

 うーん、ドワーフにガーゴイルの動きを見せるなら出口の方がいいわね。壁になるのと追いかけるの、どっちもいるし。あ、でもあたし姿を見せちゃダメなのに階層をそのまま通り抜けるわけにはいかないわよね? それならば……


「トビアス、あたしは姿を消してついていくからドワーフを出口に案内して」


「姿を消す?」


「村人に姿を見られちゃいけないんでしょ? 光の精霊、お願いね」


 光の精霊にお願いして姿を見えなくしてもらう。地球でいうところの光学迷彩よね。どう? 見えないでしょ?


「そんな魔術があるんですね……でもそこにいるとわかってると気配がある?」


「風の精霊で気配を消すこともできるけど、村人相手にそこまでは必要ないわよね?」


「それもそうですね。ではまいりましょう」


 本当はあたしの姿を消すのならドワーフも隠した方がいいと思うのだけどね。技術の希少性でいえばドワーフの方が狙われるでしょうし。


「そんなもの、技術を欲しがる奴は殺しはせんのだから逃げればいい」


 ものすごく自信満々ね~自分でなんとかできるなら問題ないわね。



 出口を守っていた騎士にカイルを呼んできてもらい、そのまま見張りを交代してもらう。

 え? 騎士様にも姿を見せちゃダメなの?


「念のためです。声を出せるのであれば姿を消す魔術はそのままでお願いします」


 はぁい。まぁいいけどね。ドワーフも精霊の気配であたしがどこにいるのかはわかっているみたいだし。


「じゃあトビアス。一般の認識証だけ持って出口のガーゴイルに近づいて形状を変化させて」


 トビアスが歩いてガーゴイルに近づくと壁のように変化して出口をふさぐ。


「……発想はいいが……」


 グランダルが片手で頭を押さえながら唸る。

 えー、どこが悪いっていうのよ。


「まず素材。なんで岩なんだ?」


「岩盤なら硬いし、いっぱいあったから?」


「お前、これを壊そうと思ったら壊せるだろう?」


「……そうですね。時間と手段を問われないのであれば……」


 そんなの、どんな素材でも一緒じゃない。一応魔術でコーティングして強度は上げてあるのよ?


「防衛で使うのであればまず壊せないとわからせて心を折れ」


 ……まぁ、それは確かに?


「あと形状。これだと身軽な者なら上から飛び越えられるだろう。やるなら全部塞げ!」


 それはそうね。とりあえず普通の村人の通行を止められればよかったから身体能力のある人の対策は考えてなかったわ。というか、飛び越えても外から来たなら動くガーゴイルに任せるつもりだったしね。


「別の動きのやつがあるのか」


 トビアスが認識証を地面に置いて二階層へ近づくと出入口にいたガーゴイルが動いて追い出しにかかる。

 その動きを見てやっぱりグランダルは頭を抱える。


「あんな鈍重な動きなんぞ牽制にもならんわ!」


 ええ? でも石像が動いたらびっくりして逃げるわよね?


「……迫力はありますが、横を抜けられるかと問われればいけますね」


 むう……ダメ?

 ドワーフはそもそも侵入しようとする奴がちょっと石像が動いたからってすぐに諦めないとかいろいろ喚いている。

 だけどとりあえずその言い分はスルーしておく。今欲しい言葉はそれじゃないのよ。


「もういい! 儂に作らせろ! 壁になるのと戦うのでいいんだな?」


「ええ、その二つでいいわ」


 よしっ! 作ると言ったわね。これでガーゴイルが強化されるわ。


「素材は好きなものを使わせてもらうぞ!」


「あ、オリハルコンだけはやめて。制御コアに使ってるから境界があいまいになると困る」


 大丈夫だと思うけど、素材から分けておく方が安全よね。この大きさの外側に使うほどの量はないはずだけど。


「あとは戦う方の動きをもう少しなんとかしろ!」


「外側をなんとかしたならそれでいいんじゃないの?」


「どんな優れた素材でも避けられたら意味がない。すぐ側に動きの参考にできるやつがいるだろ。それを元にしろ」


 トビアスを見る。ふむ……そうね。


「それなら……手甲のところから剣が飛び出るように仕込み刀を入れることってできるかしら?」


「それくらい簡単だ。形はこちらで決めてもいいんだな?」


「動きに影響するから、大まかにどういう形にするか聞いても?」


「壁は壁に沿って植物がいいだろう。中の畑にも合うし、通行の邪魔もせん」


 ふむ。それならセンサーを手前の壁に仕込んでおいて感知したら発動するようにした方がいいわね。


「戦うやつは騎士の動きを取り入れるなら、無理の出ない人型だな」


 動く条件は壁を乗り越えてきたらがいいわね。


「あとこの認識証だが、毎日認識証を入れ替えない者、特に騎士のは魔力認証しておけ。そういうのは得意だろう?」


 できるわよ。あたしがいなくなった時のためにも登録の仕方をセドリックさんに覚えてもらわないといけないけどね。

 それなら認識証と魔力が合わない人にも反応するようにしないとね。ああ、日帰りの人用のは保管場所と回収箱に魔力錠をつけておきましょうか。騎士の認識証を持っていて認識証と魔力が合っているかどうかを鍵にしたらいいわね。


「数は入口と出口の一組ずつでいいか?」


「搬入口にもあるから全部で三組ね」


「では戦うのも三体だな」


「……壁になるのは奥にももう一組作っておいて連動させたら抜けるの諦めないかしら?」


「素材があれば作るのは問題ない」


「ならそれでいきましょう」


 これでかなり出入口の警備が強化されるわね。

 トビアス、明日からカイルと戦ってもらうわよ。


「それは構いませんが……それならローデリック隊長も巻き込みませんか?」


 自分たちはまだ稽古をつけてもらうくらいでそこまで強くないという。そうかしら? そんな戦闘に不安がある人に護衛を任せないと思うけど……データは多い方がいいから問題ないわ。


 場所は採掘場を広くして、そこで戦ってもらえば、あたしが直接戦闘データを取るのも問題ないわよね。

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