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強欲のダンジョンの作り方  作者: 夢兎
地下農業迷宮

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第33話 アルセラの暴走は止めるもの

 一通り話して落ち着いたかな?と気を抜いたら、セドリックさんから次の話題が振られた。


「アルセラ様、地下に鍛冶場を作る計画ですが、畑を倍に広げてもまだ可能でしょうか?」


 計算上は大丈夫なのよ。今、果物を急速に成長させているエネルギーを広げた畑に回したら変わらないか、ちょっとだけ少なくすむはずなのよね。


「その判定を出すのは果物の急速成長が全て止まってからでもいいですか? 予測では大丈夫なはずなのですが……」


 全部合ってるとはさすがに言えないわよ。不具合ってのは作った本人が予測していないところから起きるのだから。


「承知しました。また確定の判定が出ましたらご連絡ください」


 はぁい。その時はまたカイルに走ってもらいます。

 打ち合わせはこれで終わりかな?



「あの、果物の方にくる作業員の人数は何人ほどになりますか?」


 おすおずとフリードリヒさんが発言する。管理者の一人なのだからもう少し強気で大丈夫ですよ! 頑張って!


「収穫には道具、特にハサミが必要なのですが今まで使っていた家族の分しかないので用意しないといけないのですが……間に合うかどうか……」


 道具か〜日用品なら街でも在庫があるだろうけど、収穫用って少し特殊よね。


「そういえば注文をいただきましたね。とりあえず十個という話でしたが?」


「足りないなら補佐などに回っていただければと……」


 ふんふん、話を聞いている限りでは数が多くなるには構わない感じかしらね?


「フリードリヒさん、使っているハサミを持ってきていただけますか?」


 快く了解していただいて部屋を出ていく。

 あたしも少し準備してきますので、お二人はここで少しお待ちください。



 銀の板と魔導インク、鉄を持ってくる。合金だと他の素材はわからないから魔力で補完したらいいわね。

 机の上に並べて銀の板に魔導インクでクローンよりもう少し簡単な複写魔法陣を多重起動するように描いていく。イメージは3Dプリンターね。


「お待たせしました。こちらがいつも使っているハサミで……す?」


 ん? なんで最後疑問形?

 ありがとうございます。ちょっとお借りしますね。


 フリードリヒさんが持ってきてくれたハサミを魔法陣に置き、繋げた素材陣の上に鉄のインゴットをのせる。

 最初はゆっくり、ちゃんと陣に途切れなく魔力が流れているか確認しながら流す。うん、問題なさそうね。

 問題がないことを確認したら作成に必要な魔力を一気に流す。んん、わりと鉄じゃない物も含まれているものなのね。結構な魔力を持っていかれたわ……


 魔力を流し終わると魔法陣の上には二つのハサミがあった。よし、成功ね。


「経年劣化の部分もコピー……真似てしまうのであまりおすすめはできませんが、一時的に使う分だけならこのように準備できますよ」


 でもたぶん、この中だとあたししか魔力もたないと思います。倒れちゃうから準備はあたしがしますね。


 あら? なんだか三人とも動きが固まっているような? 大丈夫ですかー?


「あ、ああ、失礼しました。作成には魔力をたくさん使うのですね?」


 そうですね。皆さんだと倒れてしまうくらいには。


「では無理のない程度に一日二本までにしてハサミを作っていただけますか?」


 四、五本はいけると思うけど……


「一日二本までです!」


 珍しく声を荒げて念を押してくるセドリックさんの言葉にみんなして一斉に頷く。ミアまで……これは見張りがつくわね。

 ……はぁい、二本までにしておきまーす。


「発注をいただいていた分は揃い次第、本数が足りなくても送るように手配しておきます」


「ありがとうございます」


 元の使っていたハサミは返して複製したハサミをコピーしてみる。コピーを重ねると劣化が気になるのよね。使い勝手悪くなってないか確認してください。


「大丈夫です。いつも使っているハサミとどう違うのかわからないくらいです」


 では次からはこの最初に複製したものを元にして作りますね。ミア、できたもののお届けはよろしくね。


 さて、もう通いのみんなが帰る頃ですよね。食事をしたら畑をささっと広げてしまいますか。




 朝となり、朝食を食べるために早めに休憩所へ向かっていると違和感を感じた。

 なんだ? 目の前にはいつも通り畑に野菜が青々と葉を揺らしている。見回すようにそのまま横に視線を動かすと、何も植わっていない場所が広々と続いていた。


 ……目の錯覚か? 寝ぼけているのか?


「ハンスさん、おはようございます。こんな入口に立ってどうしたんです?」


「俺の気のせいかと思ってな……畑が広くなっているように見えるのだが……」


「え? 畑が広くってそんなすぐには――」


 同じように何度も見たり、瞬きをしてみたり……そうなるよな。そうか、目の錯覚ではなかったか。忙しくなりそうだ。




「気づいているかもしれないが、夜のうちに畑が広くなりました」


 気づいていなかったメンバーが遠くを見ては驚きの声をあげている。そうだよな。この広さを掘ろうとしたら普通は何ヶ月どころか何年もかかるものだ。

 それが一晩たったら広がっているとかありえないからな。……どうなってんだ?


「葉物野菜が収穫できるくらいに成長してるから、収穫組と耕作組で二手に分かれてくれ」


 作業の希望進捗を詳しく聞いてみると麦と芋の二階層は耕したいらしいから、収穫は一チームだけで受け持ってもらうか。


「ディートの班で収穫の説明を聞いて作業を進めてくれ」


 ディートは了承したと頷く。無口だが仕事は正確だ。収穫のような気をつかう仕事には向いている。


「リーナも牛さんゴーレムと一緒に耕すよ!」


 それ牛だったのか……てっきり見たことのない魔物なのかと……


「収穫まで時間のかかる麦階層から耕してくれ。麦階層は広げた半分だけ耕して、他の階層も含めて種まきまで終わったら、残り半分を耕す予定だ」


 了解だ。野郎ども、とっとと耕すぞ!

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