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強欲のダンジョンの作り方  作者: 夢兎
地下農業迷宮

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第21話 トラブル発生

 今日はV字を使った畝立てを教えて、作業は二階層と四階層で分かれてもらう。

 麦類は収穫まで時間がかかるからな。早めに取り掛かりたい。


 まずは四人に畝立てを教える。どこに道具を当てるか、畝の幅はどれくらいがいいか。均す時に使う道具と心がけることなど。

 ここでゴーレムをうまく誘導できないと畝がきれいに作れない。だからリーナにも手伝ってもらってGSへの指示の出し方を参考にしてもらう。


「この作業なら……ディートとエミールの班で受け持ってくれ。クラウスの班と俺は四階層でひたすら耕すぞ」


 鉱山チームは判断が早い。この作業と決めたらすぐに分かれて進めてくれる。これなら明日には種まきもできそうだ。

 種まきはエルナとリーナにも手伝ってもらう予定にしている。細かい作業で力も要らないが、種の数が多いからな。


「ゴーレムがなかったらこの土を盛り上げるのは手でやるんだよな?」


「どうやってやるんだ?」


 自分がやったことのない作業ってのは不思議なもんだよな。楽させてもらってるし、一番端だけ手で作って見せるか。


「手でやる時は鍬で土を持ち上げて盛り上げていきます」


 長年やっていた作業だからすぐにできる。だがやはりゴーレムのあの早さにはかなわないな。


「器用なもんだな」


「ゴーレムがなかったらこの広さを手でやってたわけか」


「終わる気がしねえな」


 今はゴーレムがあるから笑い話だが、ここについて各階層を案内された時は広さに絶望したもんだ。農作業の経験のない人たちに教えながら全部やれと言われてもやれる気がしなかったからな。

 とんでもない貧乏くじの計画に参加したな、と思っていたことは家族にも言えない。まあ、ある意味とんでもない計画だったわけだが。


 畝の高さを出すのはすぐに終わったのだが、均す作業は手でやるため時間がかかり二階層が終わる頃には夕方となる。

 均す作業もゴーレムでできたらいいのに、と思うのは楽を覚えたが故の我儘だろうか。



 今日は畝ができたから種まきをしていく。

 エルナとリーナも加わり全員で種を蒔く。やることは単純だから全員の前でまずは一列、家族だけで実際に蒔いて見せる。


「種こんななんだな」


「土と同じような色してるからどこに落としたかわからなくなるぞ……」


 種まきの時に高いところから種を落とすととんでもないところから芽が出てきたりする。だからできるだけ土に近いところから、かたまらないように蒔いていく。


 今回種まきをするのは、レタス、キャベツ、ホウレンソウ、トマト、ナス、ピーマン、キュウリ、トウガラシ、パセリ、セージ、バジル。

 レタスとキャベツはたくさん欲しいから二人ずつ担当。あとは一人ずつ担当して種を蒔いていく。


 ちまちまと細かいこと以外は難しいことは何もない。黙々とみんなで蒔いて行くと午前中で終わる。


 種を蒔き終わると普通なら水を撒くのだが、ここでは井戸横にある窪みに水を貯めると土に水が含まれるらしい。

 まだ俺も見ていないから実際にはどうなるのか知らないのだが……井戸から汲み上げて石で囲われた窪みに水を貯めていく。


「トーマスさん、こんなに水浸しでいいものなのか?」


 いや、よくねぇな。ミアさんに連絡してもらわないとな。ちょっとこのままで、みんなは休憩に入ってくれ。



 トーマスさんから畑の水分がおかしいと聞いてアルセラ様の元へと急ぐ。

 今日のアルセラ様は錬金でいろいろ作っているようだ。レンガ造りの錬金研究所に入って声をかける。


「アルセラ様、畑の調整をお願いします」


「畑の調整?」


 畑の窪みに水を貯めたところ、畑が水浸しになってしまったことを話すと慌てて板のようなものを見ている。


「ああ、数値の設定が逆だわ。水80%じゃ水浸しになるのは当然ね」


 いろいろと呟きながら設定していただけたようなので、トーマスさんの元へ確認に戻る。


「トーマスさん、畑の水分を確認してください」


 調整が終わったことを伝えて確認してもらうともう少し水が少なくてもいいらしい。あと麦畑は今の畑の半分がいいそうだ。

 再びアルセラ様の元へと行き調整してもらう。


「ふむふむ……普通の畑は15%で麦は10%がいいのかな。記録しておこう」


 アルセラ様はこういった情報が集まると嬉しそうにされるのよね。きっと芽が出た後は育成具合も自分で見て回られるのだろう。


 再びトーマスさんに確認してもらい、これで大丈夫だと返事をもらえてホッとする。

 何に困っていてどうしたいのか。情報がちゃんとアルセラ様に伝えられるかドキドキする。連絡役って簡単なようで難しいのよね。


 作業員の方々が休憩所から畑に出てきた。


「おお、もう水が元通りになってる」


「あんなに水浸しだったのにな」


「一体どういう仕組みなんだ」


 作業員の方々が不思議そうにいろいろと考えを出しているけど、仕組みは考えるだけ無駄だと思いますよ?

 ここは不思議なことが起きる空間なのだと、考えるのを放棄した方が楽に現象を受け入れられます。


「悪いがもう一度窪みに水を貯めてくれ」


 トーマスさんが作業員の方々に出す指示を聞きつつ、私はエーリカさんのお手伝いに戻っていった。



 再び水を窪みに貯めた後、みんなで四階層へ移動し、小麦、大麦、えん麦を蒔いていく。小麦は粉にもするから蒔く範囲も広くとる。優先して蒔くのはパン用の小麦だ。

 大麦とえん麦は二人で担当し、残りで小麦を蒔いていく。麦はある程度までなら密集していてもいいから一列にばらばらと蒔いていく。


「麦は畝にしないんだな」


 畝にする植物とそうでない植物があるからな。麦の他にネギや芋の類は畝にしなくてもいい。

 麦畑は広い。大麦とえん麦は一人二列蒔いたら小麦に合流してもらう。

 さすがにこの人数で蒔くと早いな。作業終了時間の少し前に終わったので、ここでも窪みに水を貯めてもらう。

 今度は水浸しにならず、少しだけ湿る程度におさまる。ほんの少しの調整で求める結果を出してしまうところがアルセラ様だな。頼りになる。


 まだまだ驚く仕掛けは出てくるのだろうと思うと、いつもの農作業も楽しみになってくるのが面白いな。

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