↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
強欲のダンジョンの作り方  作者: 夢兎
地下農業迷宮

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
18/125

第18話 地下農業迷宮の搬入風景

「エーリカさん、こんばんは~ご飯をいただきにきました」


「いらっしゃい。準備するから座って待っててね」


 休憩所にエーリカさんが来てくれたのだけど、まだ農具や食器が揃っていないから今はトーマスさん一家とあたしの専属シェフのようになっている。食材も辺境伯様のところから来ているし、とても贅沢だわ。


「はい、おまたせ。アルセラ様にはお野菜多めにしてあるからたくさん食べてね」


 やった。さすがエーリカさん、わかってる。いただきまーす。


「あの荷車のゴーレム、すごく便利ね。食べる人数が増えてきたら積み方を考えないと走ってるうちに崩れちゃうかもしれないけど」


 ふむ、横に支える手があるといいかしら?


「崩れなくていいかもしれないけど、見た目が怖いかもしれないわ……」


 そうかな?

 とりあえずは普通の荷車と同じように縄で縛ることにして手を付ける案は没となった。小型の荷物でこぼれるようなものは箱型のゴーレムに入れたらいいしね。

 人数が増えた時のために二台くらい荷車ゴーレムを増やしておこうかな。



 今日はもうすぐ来るであろう果物農家さんの住居をつくろうと設計図とにらめっこしている。

 あまりコアに近くなるのはよろしくないからあたしの家の反対側かな。魔法陣の小屋もできたから人の出入りが激しいものは離しておきたいよね。

 何人家族かわからないけれど、家の設計はトーマスさん一家と一緒でいいわよね。もちろん家の中は独立空調で過ごしやすい気温に設定済み。ちょいちょいっと追加して、あとはコアに読み込ませてよろしくね。


 スリム型ゴーレムも三十体作って各階で分散させて待機させてあるし、耕す櫛と畝を作るV字は十個ずつ作ったからきっと足りるでしょう。足りなくてもこれくらいはすぐ作れるしね。


 ゴーレムといえば、リーナから要望のあった牛型ゴーレムを試しに作って渡してみた。


「アルセラ様ありがとう。他のゴーレムみたいにとても力強そうな牛さん!」


 ぐっ……ゴーレムだからね……ああ、リーナだけでなくトーマスさんたちまで生暖かい目をしているわ……うん、大丈夫。自分でもわかってるから……出来上がりが思ってたのと違うのよ。

 あたしに美術芸術を求めないで。



 休憩所で何気ない話をしていると入口からカイルが歩いてくる。


「アルセラ様。村の鍛冶場から農具が届きました」


 農具の納品! カイル、連絡ありがとう。

 トーマスさーん! 農具がきましたよ~!


「荷車を搬入口に向かわせるから、トーマスさんと一緒にそちらに誘導してください」


 あたしはできるだけ人に会わないようにって言われてるのよね。引きこもりだから大歓迎だけど。どのみち農具の検品はトーマスさんにやってもらわないとだから、ぜーんぶお任せしちゃう。よろしくねー!



「アルセラ様、バルディウス家から食器と布団が届きました」


 わわ、一気にきたわね。エーリカさん、ミア。受け取りお願い~! 荷車と箱型のを搬入口に向かわせまーす。食器は落ちないように箱型に入れてくださいね。



 これだけ揃ったなら届いたものの確認をして作業を始められるのかしらね?

 トーマスさんとエーリカさんを交えて今後の日程打ち合わせをしてセドリックさんへ予定報告しないとね。一気に忙しくなりそうね!




 鉱夫のヨハンは鉱山に入らなくなったら気が抜けたようにのんびりしていた。二日ほどそうしていたら、農具を作るために鍛冶場が忙しいという話を聞いて以来ずっと手伝いに入っている。

 言われた材料を運んだり、使い終わったものを片付けたり、そんな雑用ばかりだったけど、ぼーっとしているよりは充実した毎日だった。


 雑用をこなす毎日の中、今日は急ぎの分の農具を納入するため、元鉱山まで運ぶ手伝いにきている。

 遠目からでもずいぶん変わったな、とは思ってはいたけど、近くに来たら元の鉱山の面影は全くなくなっていた。こんな短期間で立派な建物みたいになるものなのだろうか? どんな技術を使ったらこんな風になるのだろう?


 納入の責任者となっているエドガーさんもしばらく呆気にとられたような表情で元鉱山に掲げられた家紋を見ていたが、思い出したように警備している騎士様に農具の納入に来たと声をかける。


「担当者に知らせてきますのでこのままここでお待ちください」


 納入なのだから、もしかして中に入ってどうなっているのか見られるのだろうか? まだ村の人は誰も入っていないはず。

 そんなことを考えていたら騎士様と一緒に日に焼けたがっしりとした体格の男の人が出てきた。


「農具の製作をありがとうございます。畑の管理担当のトーマスです。そちらの大きい入口が搬入口になっていますので農具はそちらへ運んでください」


 指示された方へ農具を運ぶとそこには土でできた荷車があった。

 ……土?

 え、これ荷車、だよな?


「軽く検品しながら荷車に移し替えますので少々お待ちください」


 トーマスさんが一つ一つ持ち手や接合部分を確認しながら土の荷車に移し替えていく。

 当たり前のように乗せてるけど、それ、動くのか?


「はい、確認できました。受け取りのサインなどは必要ですか?」


「あ、こちらにお願いします」


 エドガーさんもきっと同じように疑問に思って見ていたのだろう。声をかけられて慌てて受領のサインをもらう。


「N1、二階層の搬入口まで行ってくれ」


 トーマスさんが声をかけると土の荷車が一人で動き出して中へ走っていく。

 え? え? 誰もいない、よな?


 さらに空の荷車と箱の形をした荷車が一人でこちらに向かってきて近くで止まる。

 ど、どうなっているんだ……これは……


「トーマスさん、農具の受け取りは終わりました?」


「はい、終わりましたよ」


「あとで打ち合わせがあるそうなのでお時間あけておいてください、とのことです」


「わかりました。連絡ありがとうございます」


 女の人の後ろには辺境伯家の馬車が続いている。きっとあれもこの土の荷車に乗せて中に入っていくのだろう。


 中に入れなかったのは残念だったけど、この入口だけでびっくりすることだらけだったな……これだけでも今日お手伝いにこれてよかったけど、村の誰かに話しても信じてもらえなさそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。